No Coal,Go Green!

【要請書】インドネシア・チレボン石炭火力発電事業 拡張計画 貸付実行の一時停止と贈収賄疑惑に係る徹底調査・説明責任を求める要請書提出

インドネシア・チレボン石炭火力 2号機事業の贈収賄疑惑
地元の捜査当局、現代建設の役員に渡航禁止措置下で調査 ― JBICは貸付停止と徹底調査を!

丸紅とJERA(東電と中部電力の合弁)が出資し、国際協力銀行(JBIC。日本政府が全株式保有)が公的融資を注ぎ込んでいる西ジャワ州・チレボン石炭火力発電事業(2号機。100万kW)。建設工事を請負っている韓国・現代建設(Hyundai Engineering and Construction Co., Ltd.)が地元の前県知事に多額の不正資金を供与していたとされる贈収賄疑惑の件で、10月4日、同前県知事がインドネシア汚職撲滅委員会(KPK)から容疑者認定されました。また、現代建設の役員も今年4月からインドネシア国外への渡航禁止措置を受けており、10月8日にKPKの調査を受けています。KPKによれば、同事業の許認可関連で贈収賄が疑われる資金のやりとりがなされたとのことです。

こうした動きを受け、10月11日、日本のNGO 3団体から財務省及びJBICに対し、公的資金の貸付を一時停止した上で、事実関係について徹底的な調査を行ない、その調査結果について透明性のある形で説明責任を果たすよう求める要請書を提出しました。詳細は以下の要請書をご覧下さい。



(写真左)2019年7月 1号機の隣接地で進められている2号機の建設工事。住民の生活の糧である多くの塩田が奪われた。
(写真右)2019年10月 ジャカルタにあるインドネシア汚職撲滅委員会(KPK)のビル前で、「汚染/汚職にまみれたチレボン石炭火力2号機」「Hyundaiの汚職に関するKPKによる徹底調査を支持する」と書かれた横断幕を持ち、KPKの調査を呼びかける現地グループ

要請書本文

2019年10月11日

財務大臣 麻生 太郎 様
株式会社国際協力銀行
代表取締役総裁 前田 匡史 様

インドネシア・チレボン石炭火力発電事業 拡張計画
貸付実行の一時停止と贈収賄疑惑に係る徹底調査・説明責任を求める要請書

国際環境NGO FoE Japan
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク

 私たちは、国際協力銀行(JBIC)が2017年11月14日以降、貸付を実行しているインドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業 拡張計画(2号機。1,000 メガワット)について、本年8月5日付で「インドネシア・チレボン石炭火力発電事業 拡張計画 関係者の不正行為に関するJBICによる説明責任と貸付実行停止を求める要請書」をJBIC代表取締役総裁宛てに提出しました。しかし、その後のJBICの対応については、本年10月1日に開催された第71回財務省・NGO定期協議の場における財務省及びJBIC担当者の回答から、JBICが本贈収賄疑惑に係る事実関係の確認を第三者には行なっておらず、本拡張計画の事業関係者のみに行なった結果、贈収賄の事実を確認できなかったため、本拡張計画への貸付実行を継続していると理解しております。

今般、前チレボン県知事がチレボン石炭火力・拡張計画も含む複数のマネーロンダリングの件で容疑者認定された(脚注1)こと、また、本拡張計画のEPC契約者である韓国企業・現代建設の役員が本贈収賄疑惑に関連して本年4月からインドネシア国外への渡航禁止措置下にあり(脚注2)、本贈収賄疑惑に係る証人としてインドネシア汚職撲滅委員会(KPK)の尋問を受けた(脚注3)ことが明らかになったことを受け、私たちは改めて、JBICが本拡張計画に対する貸付実行を速やかに一時停止した上で、本贈収賄疑惑の事実関係に係る徹底的な調査を行ない、同調査結果について透明性のある形で説明責任を果たすよう要請します。

前チレボン県知事については、複数の贈収賄の容疑で昨年10月に逮捕され、本年5月22日にチレボン石炭火力・拡張計画ではない別件に係る贈収賄事件において、5年の実刑判決がすでに言い渡されていました。本拡張計画に係る贈収賄疑惑については、その前チレボン県知事の別件の贈収賄事件に係る判決文(2019年5月22日付)(脚注4)のなかで、情報が詳細に記載されており、その後もKPKによる調査が続けられてきました(脚注5)が、本年10月4日に開かれたKPKの記者会見の場で、本拡張計画を含む複数のマネーロンダリングに関わったとして、前チレボン県知事が再び容疑者認定された形となっています。

複数の報道(脚注6)によると、同記者会見におけるKPKの発表内容には、チレボン石炭火力・拡張計画に関連した以下のような情報が含まれています。
・ 前チレボン県知事が受領した510億ルピア(約3億8,700万円)にものぼる不正資金のうち、約60億4,000万ルピア(約4,600万円)は本拡張計画の許認可関連のものである。
・ 本拡張計画のEPC契約者である現代建設のゼネラルマネージャー Herry Jung氏、および、チレボン県ブブル郡長のRita Susana氏は、本年4月26日から10月26日にかけての6ヶ月間、インドネシア国外への渡航禁止措置がとられている。
・ 同2名は、KPKが9月13日以降に調査を行なっている146名の証人のなかに含まれている。

そして、今週10月8日には、現代建設ゼネラルマネージャーのHerry Jung氏がKPKの調査を受け、チレボン石炭火力・拡張計画に関連して贈賄疑惑のある資金が供与されるに至った経緯や本拡張計画の許認可に係る尋問を受けたことが、複数の報道(脚注7)で伝えられています。

加えて、上述のような本贈収賄疑惑に係るインドネシアでの調査の動きと前後して、今週10月7日には、韓国国会の国政監査の場で、チレボン石炭火力・拡張計画に係る質疑がなされ、本贈収賄疑惑については、現代建設の役員が出席して、資金提供に関する説明を行なった(脚注8)とのことです。

チレボン石炭火力・拡張計画に係る許認可は、本拡張計画の初期段階から違法性に係る重大な懸念が示されてきた問題の一つです。JBIC等の銀行団が2017年4月18日に本拡張計画に係る貸付契約を締結した後も、2017年11月14日まで初回貸付を実行できなかった(脚注9)のは、貸付契約締結日の翌日4月19日に出されたバンドン地裁による環境許認可の取消判決が理由であり、同取消判決の根拠は、チレボン県空間計画への違反でした。

JBICはその後、2017年7月17日に発行された新たな環境許認可を『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン』(以下、ガイドライン)に則り精査の上、ガイドライン適合性が確認できたことから初回貸付を実行したと説明(脚注10)してきました。しかし、現在、上述のとおり、本贈収賄疑惑がチレボン石炭火力・拡張計画の許認可に関連したものである旨をKPKが明言しており、また、2019年5月22日付の判決文(脚注11)のなかでも、前チレボン県知事がチレボン県議会議長に対し、チレボン県空間計画に関連して資金を供与したことが言及されています。

チレボン石炭火力・拡張計画の許認可に関連した贈収賄疑惑で、前チレボン県知事がKPKによってすでに容疑者認定され、また、EPC契約者である現代建設の役員がKPKの調査を受けていることを重く受け止め、JBICはまず、本拡張計画に対する貸付実行を一時停止し、より厳格なデューデリジェンスを実施すべきです。貸付実行に係る適切な可否判断を行なうためにも、本拡張計画に係る許認可のガイドライン適合性の再精査を含む、本贈収賄疑惑の事実関係に係る徹底的な調査が行なわれなくてはなりません。

また、JBICは本贈収賄疑惑に係る調査を行なうにあたり、事業関係者からの情報のみに依存するのではなく、KPKなど第三者への聴取やインドネシアにおける裁判関係書類の入手も行ないながら、事実関係を確認すべきです。本年6月10日に開催された第70回財務省・NGO定期協議(脚注12)において、JBICは、「JBIC の行為に帰責性ありとして(現代建設から)損害賠償請求がなされる」可能性から、捜査当局であるKPKに「政府機関であるJBIC が接触することは適切ではないとの弁護士からの助言」があるため、KPKへの聞取りや情報請求は難しいとの見解を示していました。しかし、現代建設の役員がすでにインドネシア国外への渡航禁止措置下でKPKによる尋問を受け、また、韓国国会の質疑の場に現代建設の別の役員が招聘されている現段階に至っては、JBICが捜査当局と接触したことに帰責性があるとして損害賠償請求が起こされる可能性は低いと考えられます。

さらに、前回提出した2019年8月5日付の要請書の繰り返しになりますが、JBICが関わるいかなる支援事業も、不正行為がない状態で適正に実施される必要があることは言うまでもありません。日本の公的輸出信用機関であるJBICの支援事業において、贈収賄等の不正行為が認められる場合、日本の公的支援事業に対する国民および国際社会の信頼を失うリスクもあります。したがって、私たちは、JBICが本拡張計画に対する貸付実行をこれ以上継続する前に、本拡張計画に係る贈収賄疑惑に関する調査結果について、JBICが透明性のある形で国内外への説明責任を果たすことを強く要求します。JBICが仮に本拡張計画に対する貸付実行を継続するのであれば、JBICは本拡張計画に贈収賄が関わっていないという信憑性のある証拠とともに、国内外への明確な説明を行なうべきです。

以上

Cc: 経済産業大臣 菅原 一秀 様
株式会社 日本貿易保険 代表取締役社長 黒田 篤郎 様
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ 取締役 代表執行役社長 グループCEO 三毛 兼承 様
株式会社三井住友フィナンシャルグループ 執行役社長 太田 純 様
株式会社みずほフィナンシャルグループ 執行役社長 坂井 辰史 様

(脚注1)https://m.cnnindonesia.com/nasional/20191004215727-12-436901/kpk-sebut-duit-korupsi-bupati-sunjaya-diduga-mengalir-ke-pdip ; https://m.detik.com/news/berita/4734206/rincian-sumber-rp-51-m-di-kasus-eks-bupati-cirebon-ada-terkait-pltu
(脚注2)https://news.detik.com/berita/d-4734251/2-saksi-termasuk-gm-hyundai-dicegah-ke-ln-di-kasus-eks-bupati-cirebon
(脚注3)https://cnnindonesia.com/nasional/20191008212212-12-437917/kpk-cecar-petinggi-hyundai-soal-aliran-dana-pltu-2-cirebon ; https://nasional.kompas.com/read/2019/10/08/21255111/periksa-petinggi-hyundai-kpk-dalami-dugaan-suap-ke-eks-bupati-cirebon ; https://news.detik.com/berita/d-4738774/periksa-gm-hyundai-kpk-dalami-izin-pltu-2-di-kasus-eks-bupati-cirebon
(脚注4)https://putusan.mahkamahagung.go.id/putusan/6395081793cc605eddda4c2add7e7545 。現地NGOは同ページでの判決文の公開を2019年7月22日に確認。
(脚注5)https://nasional.tempo.co/read/1214174/kpk-masih-telusuri-dugaan-suap-bupati-cirebon-dari-proyek-pltu-2 ; https://jabar.pojoksatu.id/cirebon/2019/06/21/nama-nama-pimpinan-dprd-kabupaten-cirebon-garapan-kpk/
(脚注6)脚注1及び2を参照
(脚注7)脚注3を参照
(脚注8)https://imnews.imbc.com/replay/2019/nwtoday/article/5535190_24616.html
(脚注9)https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2017/1114-58532.html
(脚注10)脚注9を参照
(脚注11)脚注4を参照
(脚注12)https://jacses.org/492/

(★)インドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業
1号機は、丸紅(32.5%)、韓国中部電力(27.5%)、Samtan(20%)、Indika Energy(20%)の出資するチレボン・エレクトリック・パワー社(CEP)がインドネシア国有電力会社(PLN)との間で30 年にわたる電力売買契約(PPA)を締結。総事業費は約8.5億米ドルで、融資総額5.95億ドルのうちJBICが2.14億ドルを融資した。2012年に商業運転が開始されている。2号機は、丸紅(35%)、JERA(10%)、Samtan(20%)、Komipo(10%)、IMECO(18.75%)、Indika Energy(6.25%)の出資するチレボン・エナジー・プラサラナ社(CEPR)がPLNとの間で25年にわたるPPAを締結。総事業費は約22億米ドルにのぼり、うち8割程度について、JBIC、韓国輸銀、日本・オランダの民間銀行団(三菱UFJ、三井住友、みずほ、ING)が融資を供与する(JBICはうち7.31億ドル)。現場では、アクセス道路の整備や土地造成作業などが終わり、本格的な工事が始まっている。2022年に運転開始見込み。
詳細はこちら →  https://www.foejapan.org/aid/jbic02/cirebon/background.html

要請書のPDF

インドネシア・チレボン石炭火力発電事業 拡張計画
貸付実行の一時停止と贈収賄疑惑に係る徹底調査・説明責任を求める要請書(PDF)

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