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商社に迫る脱石炭の波-丸紅がサステナビリティへの取組み方針・進捗を発表

丸紅株式会社(以下、丸紅)が石炭火力発電事業及び再生可能エネルギー発電事業に関する「サステナビリティへの取組み方針」を発表してから1年となった9月18日、世界各地の市民団体とNGOの15団体が連名で、丸紅の柿木真澄 代表取締役社長宛に、パリ協定目標達成に向けて、計画中・建設中案件全ての中止と、半減への削減計画及び進捗状況の公開を求める書簡を送付 しました。そして、この書簡に応じるように10月4日、丸紅が『サステナビリティへの取組み方針・進捗のお知らせ(石炭火力発電事業及び再生可能エネルギー発電事業について)』 を発表しました。

この発表において丸紅は、アフリカで計画していたモルプレB石炭火力発電事業(300MW)及びアジアにおける2件(案件名不明、計69MW)の開発から撤退したことを明らかにしています。私たちは、丸紅が石炭火力発電事業3案件からの撤退及びその進捗状況の公開に踏み切ったことを歓迎するとともに、計画中・建設中案件も含め、更なる撤退を可及的速やかに実行することを期待します。

今年2月には、伊藤忠商事が石炭に係る取組方針のなかで、また、今年8月には、住友商事も「統合報告書2019 」のなかで、今後、石炭火力発電事業と炭鉱事業の新規開発を行わない方針を発表しました。伊藤忠商事及び住友商事に対しても、建設中案件を含めた速やかな撤退とその進捗状況の定期的な公開を期待します。さらに、上述3商社と同様に新規石炭火力発電へ依然関与している三菱商事に対しても、撤退方針の表明と実施を求めます。

現在も東南アジアなどでは、以下のように、日本の商社が関わる新規石炭火力発電所の建設・計画が進んでいます。(括弧内は発電規模)

  • 丸紅:インドネシアのチレボン2石炭火力発電事業(1,000MW)及びベトナムのギソン2石炭火力発電事業(1,200MW)
  • 伊藤忠商事:インドネシアのバタン石炭火力発電事業(2,000MW)
  • 住友商事:インドネシアのタンジュン・ジャティB石炭火力発電事業・再拡張(計2,000MW)及びベトナムのバンフォン1石炭火力発電事業(1,320MW)
  • 三菱商事 :ベトナムのブンアン2石炭火力発電事業(1,200MW )及びビンタン3石炭火力発電事業(1,200MW )

これらの国における将来的な二酸化炭素排出の固定を防ぎ、また、石炭火力が座礁資産となるリスクを回避するには、新規計画からの撤退に限定せず、計画中・建設中の案件についても再考・撤退し、さらに既設発電所も含めたあらゆる石炭火力から撤退していかなければなりません。

私たちは丸紅に対し、引き続き、書簡で求めた要望の実行を求めるとともに、日本企業による気候変動対策への取組みを牽引していくことを求めていきます。

9月に提出した書簡に記した要望

  1. パリ協定への整合性をとるべく行動する。
  1. サステナビリティへの取組み方針を現在計画中・建設中の石炭火力発電事業にも適用させ、世界各地の建設計画を中止する。
    具体的には、以下の事業から速やかかつ完全に撤退することを求める。
    • インドネシアのチレボン2石炭火力発電事業(1,000MW)
    • 南アフリカのタバメシ石炭火力発電事業(630MW)
    • ベトナムのギソン2石炭火力発電事業(1,200MW)
    • 秋田港火力発電所(仮称)(1,300MW)
  1. 上述の事業の状況および3GWの半減に向けた進捗状況についての情報を公開する。