No Coal,Go Green!日本の海外石炭融資にNO!

バングラデシュ

バングラデシュの石炭火力発電事業

バングラデシュにおいて、2019年9月時点に運転中の石炭火力発電所はバラプクリア発電所(525MW)のみであるが、少なくとも29の石炭火力発電事業が計画中または建設中で、その発電容量は合計で33,200MWに相当する。これらの事業は、その運転期間を通じて4,600MtものCO2を排出することになる。

アメリカの環境NGOであるGlobal Energy Monitorによると、石炭火力発電の計画中及び建設中の国別規模ランキングにおいて、バングラデシュは2016年7月時点の12位から2019年7月に6位まで浮上し、国際的な脱石炭の流れに逆行している。

バングラデシュで計画されている29の石炭火力発電事業のうち、日本からの出資は他国より比較的少ないものの、日本のJICA融資によるマタバリ港開発事業によって、2040年までに最大4,100万トンの石炭の輸入が計画されており(現在の輸入量より4000%増)、さらなる石炭火力発電所の増設を可能にしてしまう。日本の大型円借款案件として開発が進んでいるのは、バングラデシュ南西部のマタバリ超々臨界圧石炭火力発電所と深海港の開発だが、マタバリ地区で計画されている石炭火力発電所による発電総容量は12,344MWになり、これは29の発電事業の総発電容量(33,200MW)の約37%にあたる。

JICA融資で進められているマタバリ石炭火力発電事業(フェーズ1)では、以下の通り、さまざまな環境・人権問題が起こっており、早急な問題解決が必要である。

  1. 事業に伴う浸水害の悪化(浸水の長期化)で、家屋、畑、水田、学校等が浸水し、食料、飲料水が十分に確保できず、子どもの溺死事故が生じたとの指摘がなされている。
  2. 水路の破壊によって稲作、塩田、エビ養殖に影響が生じ、これらに従事し生計を立ててきた住民が失業し、多くが再就業できないままである。
  3. 影響を受けているにもかかわらず住民に適切な補償が支払われていない。また、代替家屋の提供が予定されているが、大幅に遅延している。
  4. 工事関係車両によるコミュニティ道路での交通事故が多く発生し、死亡者が出ている。
  5. 事業地から大量の土砂を含む水が排水され、コヘリア川に大量の土砂が堆積し、船の運航などに影響を及ぼしている。

また、JICAはマタバリ石炭火力発電事業フェーズ2(1,200MWの石炭火力発電所の増設)のフィージビリティ調査を支援中であり、今後、フェーズ2事業に対して円借款を供与する可能性がある。

一方で、バングラデシュにおいても、再生可能エネルギー開発の妥当性が高まっている。バングラデシュにおいては最大53GWの太陽光発電のポテンシャルがあり、計画されている石炭火力発電の電力容量を十分に上回る供給が期待される。太陽光発電のコストは$91/MWhであるのに対し、石炭火力発電では$110/MWh、マタバリ石炭火力発電(フェーズ1)では$160/MWhの発電コストがかかっていることから、経済面からも石炭火力を続ける妥当性はなくなっている。