STOP 日本の化石燃料融資にNO!

【NGO共同声明】三菱UFJが石炭火力への融資を厳格化するも、日本政府の2050年ネットゼロ目標とは依然乖離

【NGO共同声明】
三菱UFJが石炭火力への融資を厳格化するも、日本政府の2050年ネットゼロ目標とは依然乖離

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGO 350.org Japan
メコン・ウォッチ

4月26日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク(※1)」を改定し、石炭火力発電セクターへのファイナンスについて、新設に加えて既存発電設備へのファイナンスにも方針を適用すること、例外的に検討する場合もCCUS、混焼等の技術を備えた石炭火力発電所に限定すること、を発表しました。私たち環境NGOは、MUFGの方針の一定の前進を歓迎するものの、依然として日本政府が掲げている2050年ネットゼロを達成するための目標からは乖離しており、更なる改善が必要だと考えます。

2020年10月に国際エネルギー機関(IEA)が発表した World Energy Outlook 2020 によれば、既存の化石燃料エネルギーインフラおよび現在建設中のすべての発電所が、その寿命まで継続して使用された場合、それらの排出量は2070年までに世界の平均気温を1.65度上昇させるとのことです(※2)。気候変動対策の国際的な枠組みであるパリ協定の1.5度目標を達成するためには、石炭のみならず石油やガスを含めた化石燃料の拡張事業へのファイナンスを止めることが必要です。

4月16日に日米両政府が発表した「野心、脱炭素化及びクリーンエネルギーに関する日米気候パートナーシップ(※3)」では「日米両国は、公的国際金融を、2050年までの地球規模の温室効果ガス排出実質ゼロ達成及び2020年代の大幅な排出削減に整合的なものとし、官民の資本の流れを、気候変動に整合的な投資に向け、高炭素な投資から離れるよう促進することに取り組む」と述べられています。MUFGの方針は、依然として日本政府の掲げた目標の水準に追いついていないことは明らかです。

また、プロジェクト・ファイナンスのみならず、化石燃料の拡張事業を行っている企業へのコーポレート・ファイナンス、株式・債券の保有や引受についても撤退方針を示すことが必要です。CCUSや混焼についても、単にそれらの技術を備えていることを例外扱いするのではなく、パリ協定の1.5度目標と整合的かどうかを厳格に判断する基準が必要です。

なお、MUFGのみならず、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、三井住友トラスト・ホールディングス等のメガバンク、東京海上ホールディングス、MS&ADホールディングス、SOMPOホールディングス等の損害保険会社についても、上記の点を含めた包括的な方針表明が必要です。

脚注

※1: https://www.mufg.jp/dam/pressrelease/2021/pdf/news-20210426-001_ja.pdf
※2: International Energy Agency (IEA), (2020), World Energy Outlook 2020, pp. 102, IEA, Paris, https://www.iea.org/reports/world-energy-outlook-2020/achieving-net-zero-emissions-by-2050
※3: https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100178078.pdf

本件に関するお問い合わせ

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、担当:田辺
tanabe@jacses.org