世界27地域で東京海上を含む世界の大手保険会社に対して化石燃料への保険引受停止を求めるアクション実施
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
国際環境NGO 350.org Japan
Insure Our Future
2月26日から3月3日にかけて、環境NGOの国際ネットワーク「Insure Our Future(※1)」では、グローバル・ウィーク・オブ・アクションと題し、気候変動を悪化させている化石燃料事業から巨額の保険を引き受けている世界の大手保険会社に対して、27以上の国と地域で合計90以上のアクションを実施しました。日本では、国内最大手である東京海上ホールディングス株式会社(以下、東京海上)に対し、東アフリカ原油パイプライン(EACOP)及びキャメロンLNGを含む化石燃料事業の保険引受を行わないよう求めるアクションを東京海上の本社前で行いました。
また、日本のみならず、他地域においても東京海上に対するアクションが行われ、市民が東京海上等に対して化石燃料への保険引受を停止するよう声を上げました。
東京海上は、国内の大手損害保険会社3社(東京海上・SOMPOホールディングス株式会社・MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社)の中で、化石燃料事業の保険引受を制限する方針の策定が最も遅れている保険会社です。東京海上による石炭・石油・ガス等の化石燃料事業の損害保険引受額は、世界第15位の規模であり、2022年には推定4億7,500万ドルもの収益を得たと言われています(※2)。
さらに、東京海上は、気候変動の悪化や、環境破壊、人権侵害等の懸念から世界中で批判の声が上がっている東アフリカ原油パイプライン(EACOP)について、保険引受者としての関与が疑われています(※3)。国内外の環境・人権団体及び市民社会は、東京海上に対し、EACOPへの保険引受を拒否し、これを発表するよう再三呼びかけてきましたが、東京海上はいまだに関与を否定していません。すでに、チューリッヒ、アクサ、アリアンツ、ミュンヘン再保険等28社が同プロジェクトへの関与を否定しています。融資面では、2023年6月に三菱UFJフィナンシャル・グループが「EACOPの支援に関与していない」と表明したことにより、大手邦銀3行全てが同事業と距離をとっていることが明らかになっています。
東京海上は、基準値を上回る大量のメタン等の大気汚染物質の排出や、度重なるハリケーンに脆弱な設備、地元漁業者の生計手段の損失等の問題を起こしている、米国ルイジアナ州におけるキャメロンLNG事業の保険引受者であることが判明しています(※4)。日本からは、三井物産及びジャパン・LNGインベストメント(三菱商事と日本郵船の合弁企業)がそれぞれ16.6%を出資しています。同事業では、フェーズ2の拡張が計画されており、年間最大生産能力675万トンのLNG設備1基の増加や、現在稼働中の3基の生産能力増強が行われる予定で、今後も東京海上が同事業の保険引受や保険契約の更新を行う可能性があります。
東京海上に対して、EACOP事業及びキャメロンLNG事業を含む化石燃料事業への保険引受停止を強く要請します。
脚注
※1:保険会社に対して化石燃料関連事業への引受や投融資を停止するよう求める国際キャンペーンで、世界の大手保険会社30社の化石燃料事業への保険引受等に関するランキングを2017年より毎年発表しています。JACSES、350.org、The Sunrise Projectを含む、約28の市民団体が参加しています。最新のランキングは以下のURLよりダウンロード頂けます。https://jacses.org/wp_jp/wp-content/uploads/2023/11/4792565e569abff408a4e38978460d86.pdf
※2:https://global.insure-our-future.com/wp-content/uploads/2023/11/IOF-2023-Scorecard.pdf
※3:https://www.stopeacop.net/insurers-checklist
※4:https://www.ran.org/wp-content/uploads/2024/02/RAN_LNG_2024_vF.pdf
本件に関する問い合わせ先
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、喜多毬香、kita@jacses.org