No Coal,Go Green!

事業者及び国際協力銀行(JBIC)に対しカナダ及びオーストラリアの新規ガス事業に関与しないようエンゲージメントを求める要請書を送付

国内外の市民団体の連名で、新しく計画されている3つのガス事業(LNGカナダ、バロッサ、ウェイトシア2)について、各事業者の株主、近年のJBIC債発行主幹事、JBIC債を保有している金融機関160社に対し、事業者ならびにJBICがこれらの事業を推進しないようエンゲージメントを求める要請書を送付しました。詳細は以下の要請書本文をご覧ください。

【要請書本文】

2021年7月27日

投資家の皆様

事業者及び国際協力銀行(JBIC)に対して
カナダ及びオーストラリアの新規ガス事業に関与しないよう
エンゲージメントを求める要請書

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGO 350.org Japan
メコン・ウォッチ
Anthropocene Fixed Income Institute (AFII)
Conservation Council of Western Australia
Jubilee Australia
Solutions for Our Climate (SFOC)
The Environment Centre NT (ECNT)
Cas Yikh (Wet’suwet’en Nation)
Stand.earth
Wilderness Committee

私たち市民団体は、新しく計画されている以下3つのガス事業について、事業者ならびに日本の公的金融機関である国際協力銀行(以下、JBIC)に対してエンゲージメントをお願いしたく、各事業者の株主、近年のJBIC債発行主幹事、JBIC債を保有している金融機関、計160社(添付資料参照)に対して本要請書を送付しています。

新しく計画されている3つの化石燃料事業とは、カナダのLNGカナダ事業(以下、LNGカナダ)、オーストラリアのバロッサ洋上天然ガス開発事業(以下、バロッサ)、そしてウェイトシアガス田開発ステージ2事業(以下、ウェイトシア2)(※1)で、私たちはこれら事業を推進しないよう求めています。

表1:各事業の事業実施者(出資比率)

気候変動は喫緊の課題で実効性ある対策が求められています。今年5月に国際エネルギー機関(IEA)が発表した報告書「Net Zero by 2050, A Roadmap for the Global Energy Sector」(※2)によれば、2050年までに温室効果ガス排出のネットゼロを達成するには、新規の化石燃料採掘事業へのファイナンスを即時に停止する必要があるとしています。つまり、化石燃料事業を新たに推進する余地はありません。

これらの3つの事業が進めば、すでに気候変動による甚大な影響を受けてきた世界にさらに膨大な量の温室効果ガスをもたらし、気候危機に取り組む国際社会の努力を反故にします。表2で示すように、3事業から合計で年間5,917万トンもの温室効果ガス排出が見込まれ、これは日本の温室効果ガス排出量の約4.9%に相当します(※3)。

表2:3事業による年間温室効果ガス排出量(単位:MtCO2e=百万トンCO2換算)
出典:各事業計画書(※5)

これら3事業では、気候変動リスクに加え、多くの問題が指摘されています。LNGカナダはブリティッシュ・コロンビア州で採掘したガスを液化し、アジアの市場に輸出するカナダ最大規模の大型LNG事業です。この事業は、1) JBICが融資を検討しているLNGカナダ液化施設・ターミナル事業、2) 天然ガスを採掘するモントニー・シェールガス開発事業、3) 採掘場から輸出ターミナルに天然ガスを運ぶためのコースタル・ガスリンク・パイプライン事業(CGL事業)の3つの案件で成り立つものです。LNGカナダ液化施設・ターミナルと不可分一体であるガスパイプライン敷設事業は、先住民族Wet’suwet’enの土地を使用するため、環境、生活、文化への影響を懸念する多くの先住民族の中で強い反対の声が上がっており、先住民族の権利に関する国際連合宣言(UNDRIP)で求められている全ての先住民族からの「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC: Free, Prior and Informed Consent)」をカナダ政府・事業実施者が得られていないことが指摘されています。また、環境・気候へ大きな負荷を与えることから、Wet’suwet’enや現地NGOから事業への反対の声が上がっています(※6)。

また、バロッサ事業(※7)やウェイトシア2事業でも事業実施者はFPICの原則を遵守していません。オーストラリアで最もガス生産単位当たりのCO2排出量が多い洋上ガス田開発のバロッサ事業において特に懸念されるのが、オーストラリア本土に接続するパイプラインの新規建設です。同パイプラインは、先住民族であるティウィ族が暮らすティウィ諸島から6km以内のエリアに敷設される計画ですが、事業実施者によるティウィ族のコミュニティとの協議プロセスは不十分です。事業計画書では、事業実施者がティウィ族のコミュニティと協議をしたり、事業の情報を提供した形跡がありません。西オーストラリア州の陸上ガス採掘・処理施設を建設するウェイトシア2事業においても、事業実施者は事業計画エリアの土地を伝統的に所有する先住民族であるヤマジ族のコミュニティとの協議を実施していません(※8)。

さらに、オーストラリアの市民団体はバロッサ事業に関してJBICに提出したレター(※9)の中で、同事業によってオーストラリアで最も重要な2つの漁場へのアクセスが失われるとともに、当該地域の生物多様性に悪影響を与える可能性があることを指摘しています。パイプライン建設により、絶滅危惧種のヒメウミガメとヒラタウミガメの生息地を破壊する可能性があります。

つきましては、事業者の株式及びJBICの債券を保有されている皆様に、事業者及びJBICに対して以下のエンゲージメント及びダイベストメントを行うことを要請します。

  •  3事業(LNGカナダ、バロッサ、ウェイトシア2)の開発または支援を行わないよう働きかけること。
  • パリ協定の1.5度目標と整合性を持った事業方針または投融資方針を持つよう働きかけること。
  • 上記エンゲージメントを⾏っても、事業者及びJBICが各事業から撤退しない場合は、事業者及びJBICからのダイベストメントを⾏うこと。

大変お忙しい中、誠に恐縮ではございますが、ご回答フォームを活用頂き、本要請に対する貴機関の対処方針・ご意見を下記の担当者宛に9月3日までに頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。

本要請書に関するご返答・お問合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
プログラムディレクター 田辺有輝
〒107-0052 東京都港区赤坂1-4-10 赤坂三鈴ビル2F
tanabe@jacses.org

脚注

※1:ウェイトシア2事業は2021年6月29日にJBICの融資決定。https://sekitan.jp/jbic/2021/07/01/5116
※2:https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050
※3:2019年度の排出量は12億1,200万トン(CO2換算)https://www.nies.go.jp/gio/archive/nir/jqjm1000000x4g42-att/NIR-JPN-2021-v3.0_J_GIOweb.pdf
※4:2006年IPCCガイドラインに基づくと、燃料としてLNGを使用した場合LNG1トンあたり2.693トンのCO2を排出する。
※5:LNGカナダ:https://www.jbic.go.jp/ja/business-areas/environment/projects/page.html?ID=62412&lang=jaバロッサ: https://www.jbic.go.jp/ja/business-areas/environment/projects/pdf/62018_1.pdf
ウェイトシア2: https://www.jbic.go.jp/ja/business-areas/environment/projects/pdf/62572_1.pdf
※6:https://www.foejapan.org/aid/jbic02/lngcanada/pdf/210327_en.pdf,
https://www.foejapan.org/aid/jbic02/lngcanada/pdf/210528.pdf
※7:https://ieefa.org/wp-content/uploads/2021/03/Should-Santos-Proposed-Barossa-Gas-Backfill-for-the-Darwin-LNG-Facility-Proceed-to-Development_March-2021.pdf
※8:https://drive.google.com/file/d/157VoqD6T4oU9ffGfcvm8gcjvkEzJPXs7/view?usp=sharing
※9:https://www.jubileeaustralia.org/storage/app/media/uploaded-files/jbic-submission-on-santos-barossa-project-2021.pdf

添付資料:
要請書送付先一覧

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