No Coal,Go Green!

「インドネシア石炭火力計画を支援しないで!」菅首相の訪米前に日本政府に方針転換を求める要請書を提出

「インドネシア石炭火力計画を支援しないで!」菅首相の訪米前に日本政府に方針転換を求める要請書を提出(114ヶ国8,221個人・34ヶ国112団体署名)

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日本の市民団体は4月5日、菅首相が4月15日から訪米するにあたり、日本政府が海外の石炭火力発電所への公的支援を例外なく停止する方針を明確に示し、JICAがインドラマユ石炭火力発電事業・拡張計画(100万kW)への支援を行なわないよう求める要請書(114ヶ国8,221個人・34ヶ国112団体署名)を日本政府・JICAに提出しました。要請書の手交は、FoE Japan等から内閣府の担当官に対して行ないました。

要請書では、西ジャワ州インドラマユ県における石炭火力発電所の建設を支援すべきでない理由として、以下の6つの問題点を指摘しています。
(1)住民の生計手段への悪影響
(2)大気汚染の悪化
(3)住民協議等の不備
(4)建設反対の声をあげる住民への深刻な人権侵害
(5)ジャワ・バリ電力系統における電力の供給過剰の状態(将来世代への負担)
(6)気候変動対策に逆行/座礁資産リスク(将来世代への負担)

日本政府は国内外からの強い批判の声にもかかわらず、依然として海外の石炭火力発電所への公的支援を続けようとしています。「新規の石炭火力には原則支援しない」という方針を掲げていますが、こうした新しい方針をインドラマユ石炭火力やバングラデシュのマタバリ石炭火力発電事業フェーズ2(60万 kW × 2基)には適用しないとしています。

4月16日に行なわれる予定の菅首相とバイデン大統領の首脳会談では、気候変動対策も重要な議題の一つになる見通しですが、日本政府が海外の石炭火力発電所の公的支援を依然として行なおうとしている事実はパリ協定の1.5度目標にも沿わないことから、再び国際的な批判を浴びることになるでしょう。

日本政府・JICAは、インドラマユ現地で同事業に反対し続けているコミュニティー、また将来世代のためにも、同石炭火力発電所に対する支援停止に踏み切るべきです。

詳細は以下の要請書本文をご覧ください。

要請書本文

>脚注を含む要請書全文はこちら(PDF)

内閣総理大臣 菅 義偉 様
外務大臣 茂木 敏充 様
国際協力機構 理事長 北岡 伸一 様

日本政府はインドネシア西ジャワ州の
インドラマユ石炭火力発電所・拡張計画を支援しないでください

私たちは日本政府と国際協力機構(JICA)に対し、インドネシア西ジャワ州のインドラマユ石炭火力発電所・拡張計画(1,000 MW)(以下、同事業)を支援しないよう要請します。【1】 現地コミュニティー【2】 と国際市民社会【3】 は、かねてより同事業に対する懸念と強い反対【4】 を表明してきました。この石炭火力発電所を建設してはならない理由は、以下のとおり、主に6点あります。

(1) 同事業は、発電所を農地の中、且つ漁場に沿った場所に建設するため、現地の何千人もの農民や漁民の生計手段を奪う、あるいは、悪影響を及ぼします。【5】 小作農や日雇い農業労働者は、先祖代々、年間を通してこの農地でコメやさまざまな野菜、果実を育て、生活を営んできました。零細漁民は季節が来ると、「レボン」と呼ばれる小エビを沿岸で獲ってきました。金銭補償、また、家畜の飼育や技術トレーニングなど生計回復計画は、提供されたとしても、住民の生計手段を回復するには不十分であり、したがって、真の解決策ではありません。【6】

(2) 同事業によって、現地コミュニティーが健康被害を受けるリスクはより高くなります。【7】 同発電所は硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、PM2.5を含む大気汚染物質を排出するにもかかわらず、日本の石炭火力発電所のほとんどで大気汚染対策として備えられているBAT(利用可能な最良の技術)を一切使用しないからです。【8】

(3) 同事業は、現地の農民と漁民に対する適切な協議や十分な情報公開を確保できていません。彼らは同事業によって甚大な影響を受けるにもかかわらず、環境アセスメント(EIA)報告書の策定にあたり、協議会への招待を一切受けませんでした。【9】 同様に、土地収用・移転行動計画(LARAP)の策定にあたっても、影響を受ける小作農らの参加は一切ありませんでした。【10】 こうしたプロセスにおける不備は、明らかにインドネシア法に照らして違法なものです。【11】 【12】

(4) 同事業は、現地で深刻な人権侵害を引き起こし、また、表現の自由を脅かしてきました。同事業に反対の声をあげてきた複数の農民が冤罪の犠牲者となりました。つまり、でっちあげの罪状で起訴され、5、6ヶ月間、刑務所に収監されました。【13】 インドネシア法【14】 に基づけば、インドネシア政府は環境を守ろうとする農民らを保護しなくてはなりませんが、それを怠っています。【15】

(5) 同事業は、電力の供給過剰が指摘されているジャワ・バリ電力系統には必要ありません。インドネシア政府の計画【16】 でも、同電力系統の2028年までの電力供給予備率は30~45%で推移することが示されています。新型コロナウイルスによる経済への甚大な影響を考慮すれば、電力需要の伸びも鈍化するでしょう。同事業がJICAの円借款を受けて推進されれば、インドネシア国有電力会社(PLN)乃至インドネシア政府は、そうした不必要な発電所のために、数十年もかけて借金を返済しなくてはならないでしょう。これは、将来世代に対する理不尽な負担を意味します。

(6) 同事業は、座礁資産になるリスクを抱えています。【17】 パリ協定の長期目標を達成するためには、途上国であっても2040年までに石炭火力発電所の稼働を完全に停止する必要があるからです。【18】 同発電所の建設は、高効率と言われる超々臨界圧(USC)の技術を利用するにせよ、パリ協定の目標と整合しないことは明らかです。【19】 気候危機に対処し、脱炭素社会に向けた信頼のおける移行を実現していくためにも、許容されるべきではありません。また、同事業がJICAの円借款を受けて推進されれば、PLN乃至インドネシア政府は、そうした座礁資産のために、数十年もかけて借金を返済しなくてはならないでしょう。これもまた、将来世代に対する理不尽な負担を意味します。

現地コミュニティーの生活や環境を犠牲にして、また、将来世代の機会や選択、そして地球規模の気候と引き換えに、同事業が推進されてはなりません。また、同事業は、脚注で詳述したように、日本政府の複数の方針と整合しておらず、JICAの環境社会配慮ガイドライン(脚注では「ガイドライン」と表記)も遵守していません。私たちは、インドラマユ現地のコミュニティー、また、インドネシアと世界の将来世代のために、日本政府とJICAが同石炭火力発電所に対して融資を行なわないと決断するよう強く要請します。

Cc: 財務大臣 麻生 太郎 様
経産大臣 梶山 弘志 様
環境大臣 小泉 進次郎 様
官房長官 加藤 勝信 様
外務副大臣 鷲尾 英一郎 様
外務副大臣 宇都 隆史 様
財務副大臣 伊藤 渉 様
財務副大臣 中西 健治 様
経済産業副大臣 長坂 康正 様
経済産業副大臣 江島 潔 様
環境副大臣 笹川 博義 様
環境副大臣 堀内 詔子 様
駐インドネシア日本国大使 金杉 憲治 様

呼びかけ団体:
インドネシア環境フォーラム(WALHI/FoEインドネシア)
インドネシア環境フォーラム(WALHI)西ジャワ
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGO 350.org Japan
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
メコン・ウォッチ

【個人署名114ヶ国8,221名】
(略)
【団体署名34ヶ国112団体/上記呼びかけ団体含む】
(略)

【連絡先】
国際環境NGO FoE Japan
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
Tel:03-6909-5983 Fax:03-6909-5986

本件に関するお問い合わせ先

国際環境NGO FoE Japan(担当:波多江)
TEL: 03-6909-5986  Email: hatae@foejapan.org

(※)インドネシア・西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電事業
200万kW(100万kW ×2基)の超々臨界圧石炭火力発電所を建設(275.4 haを収用)し、ジャワ-バリ系統管内への電力供給を目的とする。1号機(100万kW)に国際協力機構(JICA)が円借款を検討予定(インドネシア政府の正式要請待ち)。すでにJICAは2009年度に協力準備調査を実施し、基本設計等のためにエンジニアリング・サービス(E/S)借款契約(17億2,700 万円)を締結(2013年3月)。現在もE/S借款の支払いを続けている。E/S借款は「気候変動対策円借款」供与条件が適用されたが、2014年の第20回気候変動枠組条約締約国会議(COP20)では、同石炭火力事業を気候資金に含んだ日本政府の姿勢が問題視された。
詳細はこちら → https://foejapan.org/aid/jbic02/indramayu/