No Coal,Go Green!日本の海外石炭融資にNO!

日本政府・JICAに要請書を提出 「インドネシア石炭火力計画を支援しないで!」(世界34ヶ国1,218個人・107団体署名)

11月12日、世界の公的金融機関が参加する国際会議「Finance in Common Summit」(11月11-12日)で国際協力機構(JICA)の北岡伸一理事長がスピーチを行なう機会に合わせ、インドネシアと日本の市民団体は、JICAがインドラマユ石炭火力発電事業・拡張計画(100万kW)への支援を行なわないよう求める要請書(世界34ヶ国1,218個人・107団体署名)を日本政府・JICAに提出しました。

要請書の手交は、インドラマユ県から首都ジャカルタを訪れた住民ネットワークJATAYU(ジャタユ/インドラマユから石炭の煙をなくすためのネットワーク)の皆さんから日本大使館に対し、またFoE Japanから東京の外務省及びJICA本部に対して行ないました。JATAYUの皆さんは2016年からインドネシア・日本政府に対して同計画の中止を求めています。

要請書では、西ジャワ州インドラマユ県における石炭火力発電所の建設を支援すべきでない理由として、以下の6つの問題点を指摘しています。
(1)住民の生計手段への悪影響
(2)大気汚染の悪化
(3)住民協議等の不備
(4)建設反対の声をあげる住民への深刻な人権侵害
(5)ジャワ・バリ電力系統における電力の供給過剰の状態(将来世代への負担)
(6)気候変動対策に逆行/座礁資産リスク(将来世代への負担)

先日、菅首相は2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする方針を表明しました。また、石炭火力発電所の輸出支援について、日本政府は今年7月、脱炭素化への移行方針等が確認できない国へは「原則支援しない」との新方針を「次期インフラシステム輸出戦略骨子」の中で決定しました。一方、インドラマユ県での新規石炭火力の建設は、すでにインドネシア政府側との話し合いが進んでいる案件として例外扱いとされています。

しかし、同発電所の本体工事は依然始まっておらず、このまま適切な検証もなく、約2,000億円もの巨額を投じて必要のない、また、環境社会負荷なども大きい石炭火力発電所の建設を進めることは理に適いません。

日本政府・JICAは、インドラマユ現地のコミュニティー、また将来世代のために、同石炭火力発電所に対する支援停止に踏み切るべきです。

要請書本文

内閣総理大臣 菅 義偉 様
外務大臣 茂木 敏充 様
国際協力機構 理事長 北岡 伸一 様

日本政府はインドネシア西ジャワ州の
インドラマユ石炭火力発電所・拡張計画を支援しないでください

私たちは日本政府と国際協力機構(JICA)に対し、インドネシア西ジャワ州のインドラマユ石炭火力発電所・拡張計画(1,000 MW)(以下、同事業)を支援しないよう要請します。現地コミュニティーと国際市民社会は、かねてより同事業に対する懸念と強い反対を表明してきました。この石炭火力発電所を建設してはならない理由は、以下のとおり、主に6点あります。

(1) 同事業は、発電所を農地の中、且つ漁場に沿った場所に建設するため、現地の何千人もの農民や漁民の生計手段を奪う、あるいは、悪影響を及ぼします。小作農や日雇い農業労働者は、先祖代々、年間を通してこの農地でコメやさまざまな野菜、果実を育て、生活を営んできました。零細漁民は季節が来ると、「レボン」と呼ばれる小エビを沿岸で獲ってきました。金銭補償、また、家畜の飼育や技術トレーニングなど生計回復計画は、提供されたとしても、住民の生計手段を回復するには不十分であり、したがって、真の解決策ではありません。

(2) 同事業によって、現地コミュニティーが健康被害を受けるリスクはより高くなります。同発電所は硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、PM2.5を含む大気汚染物質を排出するにもかかわらず、日本の石炭火力発電所のほとんどで大気汚染対策として備えられているBAT(利用可能な最良の技術)を一切使用しないからです。

(3) 同事業は、現地の農民と漁民に対する適切な協議や十分な情報公開を確保できていません。彼らは同事業によって甚大な影響を受けるにもかかわらず、環境アセスメント(EIA)報告書の策定にあたり、協議会への招待を一切受けませんでした。 同様に、土地収用・移転行動計画(LARAP)の策定にあたっても、影響を受ける小作農らの参加は一切ありませんでした。こうしたプロセスにおける不備は、明らかにインドネシア法に照らして違法なものです。

(4) 同事業は、現地で深刻な人権侵害を引き起こし、また、表現の自由を脅かしてきました。同事業に反対の声をあげてきた複数の農民が冤罪の犠牲者となりました。つまり、でっちあげの罪状で起訴され、5、6ヶ月間、刑務所に収監されました。インドネシア法に基づけば、インドネシア政府は環境を守ろうとする農民らを保護しなくてはなりませんが、それを怠っています。

(5) 同事業は、電力の供給過剰が指摘されているジャワ・バリ電力系統には必要ありません。インドネシア政府の計画 でも、同電力系統の2028年までの電力供給予備率は30~45%で推移することが示されています。新型コロナウイルスによる経済への甚大な影響を考慮すれば、電力需要の伸びも鈍化するでしょう。同事業がJICAの円借款を受けて推進されれば、インドネシア国有電力会社(PLN)乃至インドネシア政府は、そうした不必要な発電所のために、数十年もかけて借金を返済しなくてはならないでしょう。これは、将来世代に対する理不尽な負担を意味します。

(6) 同事業は、座礁資産になるリスクを抱えています。パリ協定の長期目標を達成するためには、途上国であっても2040年までに石炭火力発電所の稼働を完全に停止する必要があるからです。同発電所の建設は、高効率と言われる超々臨界圧(USC)の技術を利用するにせよ、パリ協定の目標と整合しないことは明らかです。気候危機に対処し、脱炭素社会に向けた信頼のおける移行を実現していくためにも、許容されるべきではありません。また、同事業がJICAの円借款を受けて推進されれば、PLN乃至インドネシア政府は、そうした座礁資産のために、数十年もかけて借金を返済しなくてはならないでしょう。これもまた、将来世代に対する理不尽な負担を意味します。

現地コミュニティーの生活や環境を犠牲にして、また、将来世代の機会や選択、そして地球規模の気候と引き換えに、同事業が推進されてはなりません。また、同事業は、脚注で詳述したように、日本政府の複数の方針と整合しておらず、JICAの環境社会配慮ガイドライン(脚注では「ガイドライン」と表記)も遵守していません。私たちは、インドラマユ現地のコミュニティー、また、インドネシアと世界の将来世代のために、日本政府とJICAが同石炭火力発電所に対して融資を行なわないと決断するよう強く要請します。

Cc: 財務大臣 麻生 太郎 様
経産大臣 梶山 弘志 様
環境大臣 小泉 進次郎 様
官房長官 加藤 勝信 様
外務副大臣 鷲尾 英一郎 様
外務副大臣 宇都 隆史 様
財務副大臣 伊藤 渉 様
財務副大臣 中西 健治 様
経済産業副大臣 長坂 康正 様
経済産業副大臣 江島 潔 様
環境副大臣 笹川 博義 様
環境副大臣 堀内 詔子 様
駐インドネシア日本国大使 石井 正文 様

呼びかけ団体:
インドネシア環境フォーラム(WALHI/FoEインドネシア)
インドネシア環境フォーラム(WALHI)西ジャワ
国際環境NGO FoE Japan
国際環境NGO 350.org Japan
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
メコン・ウォッチ

【個人署名33ヶ国1,218名】
(略)
【団体署名34ヶ国107団体/上記呼びかけ団体含む】
(略)

ダウンロードファイル

日本政府・JICAに要請書を提出 「インドネシア石炭火力計画を支援しないで!」(世界34ヶ国1,218個人・107団体署名)(署名・脚注を含むPDF)

本件に関するお問い合わせ先】

国際環境NGO FoE Japan(担当:波多江)
TEL: 03-6909-5986  Email: hatae@foejapan.org

補足情報:インドネシア・西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電事業

200万kW(100万kW ×2基)の超々臨界圧石炭火力発電所を建設(275.4 haを収用)し、ジャワ-バリ系統管内への電力供給を目的とする。1号機(100万kW)に国際協力機構(JICA)が円借款を検討予定(インドネシア政府の正式要請待ち)。すでにJICAは2009年度に協力準備調査を実施し、基本設計等のためにエンジニアリング・サービス(E/S)借款契約(17億2,700 万円)を締結(2013年3月)。現在もE/S借款の支払いを続けている。E/S借款は「気候変動対策円借款」供与条件が適用されたが、2014年の第20回気候変動枠組条約締約国会議(COP20)では、同石炭火力事業を気候資金に含んだ日本政府の姿勢が問題視された。
→「事業の問題」へのLink