No Coal,Go Green!

インドネシア・インドラマユ:JICA援助のインドネシア石炭火力―農民が地元インドラマユ県議会に中止要請

1月20日、国際協力機構(JICA)が援助を続けるインドネシア・西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電事業・拡張計画(100万kW)の中止を求め、地元の農民ら100名超がインドラマユ県議会の建物前で抗議活動を行ないました。


写真左:インドラマユ県議会の建物前までデモ行進するJATAYUメンバー(2020年1月20日。WALHI西ジャワ撮影)
写真右:インドラマユ県議会の建物前で抗議活動を行なうJATAYUメンバー(2020年1月20日。WALHI西ジャワ撮影)

同計画の問題を訴えたのは、住民ネットワーク JATAYU(Jaringan Tanpa Asap Batubara Indramayu:インドラマユから石炭の煙をなくすためのネットワーク)の小農民です。「同計画によって農地や漁場が奪われれば、生活ができなくなる。」と、インドネシア政府側の反対運動への弾圧にも屈することなく、これまでも地元の建設予定地から県都、州都、首都ジャカルタ、そして日本にまで赴き、同計画に強い反対の声をあげてきました。

現場では、土地収用が終わった建設予定地に「立入禁止」や「罰金」を記したインドネシア国有電力会社(PLN)の看板が立ち、その境界もフェンスで仕切られている状況のなか、小農民らが今も稲や野菜を栽培し、生活を営み続けています。

写真左:フェンスで仕切られた建設予定地のなかで耕作を続ける小農民(2019年12月。FoE Japan撮影)
写真右:再開された発電所の関連設備の工事(2019年12月。FoE Japan撮影)

一方、土地造成中に違法工事が発覚して作業が止まっていた発電所の関連設備の工事が、この12月から再開されました(※)。これに不安と危機感を抱いた小農民らが今回、2019年に新しく選出されたばかりの県議会議員に対し、同計画の中止を求め、対応をとるよう訴えました。

日本政府・JICAは、現在も同拡張計画の基本設計等にエンジニアリング・サービス借款を支払い続けています。また、同拡張計画の本体工事に対する円借款要請がインドネシア政府からなされれば、借款供与の検討を行なうとしています。

しかし、地元の住民が望まず、強い反対の声をあげている同計画を私たちの税金を使って日本の援助として推進する理由がどこにあるのでしょうか。同計画が進められているジャワ島では、すでに電力の供給過剰の状況も見られます(「ジャワ-バリ系統における電力事情と新規石炭火力発電所への日本の公的支援」(PDF)を参照)。また、気候危機への対策の観点から、海外の石炭火力発電所の建設支援をつづける日本は、国際的な批判の的にもなっています。日本政府・JICAは同拡張計画への援助を早急に停止するべきです。

(※ 発電所などの本体工事に先立つ変電設備の工事。2018年2月から始まった土地造成により、すでに10ヘクタールの農地が土砂で埋められ、建設用の資材が搬入・保管されていた。)

以下、住民ネットワーク JATAYU、および、現地NGOによるプレスリリースの和訳です。

プレスリリース本文(原文はインドネシア語。以下は、FoE Japanによる和訳)

プレスリリース
2020年1月20日

ムカルサリ村の住民(JATAYU)
生活環境を奪う汚染発電事業の中止をインドラマユ県議会議員に要請

2019年の新たな県議会議員の選挙以降、住民ネットワーク JATAYU(Jaringan Tanpa Asap Batubara Indramayu:インドラマユから石炭の煙をなくすためのネットワーク)に参加するムカルサリ村の住民は、今後、県議会議員が対応して取り組むべきコミュニティーのさまざまな問題や要望を住民が伝えることのできる議員が誰なのか、依然わからない状況にある。直面している問題の解決に向け、コミュニティーのあらゆる要望を受け入れ、コミュニティーの意思や要請のために立ち向かえる、そうした主要な任務に従って動く県議会議員のことである。

数十年間も生計手段としてきた自分たちの生活空間を維持しようと、ムカルサリ村の住民が活動を始めてから、これまでに5年が経った。JATAYUの住民メンバーは土地、そして良好かつ健全な環境を維持しようと活動している。それは、1945年憲法や環境保護および管理に関する2009年法律第32号、人権法に則った基本的人権の一つである。しかし、住民の権利を擁護し、良好かつ健全な環境や生計手段を維持する自由については、依然、中央政府からも地方政府からも適切な解決策を得られていない。

ムカルサリ村の住民にとって、現在推進されているインドラマユ石炭火力発電事業・拡張計画における発電所の建設は、将来にわたる重大な脅威である。小農民や漁民が生計手段を失うことに加え、石炭火力発電所近くのコミュニティーの環境・健康・社会生活にも被害を及ぼす危険があるからだ。住民が自分たちの要望を公に表明する表現の自由の権利は頻繁に抑制され、住民に対して2件の冤罪が起こるほど、あらゆる形態の脅迫によって住民を恐れさせてきた。法的手段を通じた努力や仲裁の努力は、往々にして、政府や企業の輩からの良くない反応や脅迫に終わった。

ムカルサリ村のJATAYUメンバーであるドモは、次のように述べた。 「現時点では、私たちの村における石炭火力発電所の建設問題への取組みを支援してくれる県議会議員が誰か定かではないが、私たちの問題に関連して、県議会議員がコミュニティー中心に動き、まさに私たちのために問題の解決を進めることを期待する。議員は私たちの代表として、私たちの要望のために立ち向かうべきだからだ。加えて、私たちの国は民主国家なのだから、住民の声を抑圧し、住民を脅迫しようとする動きが再び起こらないよう願う。誰しもが反対の意を伝える権利を有しており、石炭火力発電所の建設の影響を受ける私たち住民はなおさらである。」

インドネシア環境フォーラム(WALHI)西ジャワのワヒュディンは、次のように述べた。 「現県議会議員らは、コミュニティーのために確固たる態度をとるべきだ。ムカルサリ村で石炭火力発電所の建設に反対してきた住民は、政府の事業に反対しているわけではない。石炭火力発電所の影響が将来にわたり環境に与える脅威やこれまでに住民の生計手段に及ぼしてきた脅威がどのようなものか、さらに、発電所が将来にわたり健康に影響を及ぼし、良好かつ健全な環境の質に損害を与える石炭を燃料として使うことを政府は考慮し、検討を行なうべきだ。」

インドネシア・西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電事業
200万kW(100万kW ×2基)の超々臨界圧石炭火力発電所を建設(275.4 haを収用)し、ジャワ-バリ系統管内への電力供給を目的とする。1号機(100万kW)に国際協力機構(JICA)が円借款を検討予定(インドネシア政府の正式要請待ち)。すでにJICAは2009年度に協力準備調査を実施し、基本設計等のためにエンジニアリング・サービス(E/S)借款契約(17億2,700 万円)を締結(2013年3月)。現在もE/S借款の支払いを続けている。E/S借款は「気候変動対策円借款」供与条件が適用されたが、2014年の第20回気候変動枠組条約締約国会議(COP20)では、同石炭火力事業を気候資金に含んだ日本政府の姿勢が問題視された。

関連資料

インドネシア・インドラマユ石炭火力発電事業(ファクトシートPDF)