STOP 日本の化石燃料融資にNO!

インドネシアのタンジュンジャティB石炭火力発電所 再拡張事業への融資締結発表を受け環境団体が非難を表明

コミュニティーや環境活動家の反対に直面しているにもかかわらず、
日本およびシンガポールの銀行がインドネシアの石炭火力発電所への融資を決定
フランスの銀行2行の撤退後も融資に関わるすべての銀行を、
BankTrack、FoE Japan、350.org Japanが強く非難

以下が国際環境団体による非難声明の日本語訳になります。

プレスリリース
2017年2月28日

東京およびナイメーヘン(オランダ)発

2月27日、インドネシア・中ジャワ州タンジュンジャティB石炭火力発電所の再拡張事業(TJB再拡張事業)への融資締結が発表されたのを受け、BankTrack、FoE Japan、350.org Japanは、同TJB再拡張事業を支援する国際協力銀行(JBIC)および複数の日本とシンガポールの民間銀行への非難を表明します。(1)

JBICによる同TJB再拡張事業への約17億ドルの融資契約は、三大メガバンク(みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行)やその他の日本の銀行、シンガポールのOCBCとの協調融資ですが、2016年12月にフランスの銀行ソシエテ・ジェネラルとクレディ・アグリコルが同再拡張事業の銀行団から撤退した後に承認されました。(2)

2基の新規石炭火力発電所の建設は、既存のタンジュンジャティB石炭火力発電所によってすでに生じている深刻な影響をさらに悪化させるだけです。 タンジュンジャティB石炭火力発電所の操業開始後、漁獲量の減少、サンゴ礁への被害、石炭輸送船の往来による漁船への影響、取水口へのフィルターが不十分なために魚が冷却装置に吸い込まれるなどの被害が発生しており、地元の漁業コミュニティーは、タンジュンジャティBの再拡張に最も強く反対しています。(3)。また、この再拡張事業は大気汚染の影響も悪化させます。グリーンピースの報告書によれば、既存の4基により生じている大気汚染による呼吸器感染症が、年間1,020人の早期死亡の原因となっていると推定しており、恐ろしい側面を示しています。(4)

国際環境NGO FoE Japanの開発金融と環境プログラム調査担当の波多江秀枝は、以下のとおり述べました。 「私たちは、JBICや日本の民間銀行団によるTJB再拡張事業への融資を強く非難します。アジア地域で新規の石炭火力発電所の建設を支援している日本政府および銀行は、パリ協定や2度目標とまったく整合性をとれておらず、新たな汚点を作り出しただけです。今回の融資決定は、多くの物議を醸したインドネシア・バタン石炭火力発電所の融資決定から1年を待たずに決定され、またインドネシアのもう一つの発電所であるチレボン石炭火力発電事業拡張計画に関しても同様の金融機関によって融資が検討されています。気候変動の観点にくわえ、各々の事業において、すでに地域住民らが農業や漁業などの生計手段に深刻な影響を受けてきました。JBICやその他の銀行は新たな発電所への融資を決める前に、事業者に対し、実効性のある対策をとり、すでに生じている既存の問題をまずは解決するよう強く求めるべきです。 」(5)

BankTrackの気候・エネルギーキャンペーンコーディネーターであるYann Louvelは、以下のとおり述べました。 「当初はフランスの銀行も銀行団に入る予定でしたが、BNPパリバが2015年に同再拡張事業から撤退し、また、新規の石炭火力発電所には融資を行わないという新たな気候変動へのコミットメントを果たすため、昨年12月にソシエテ・ジェネラルとクレディ・アグリコルも撤退しました。こうした経緯から、この危険な融資契約を締結するために、シンガポールの銀行であるOCBCや日本のその他の銀行が、(撤退したフランスの銀行に)すかさず取って代わったのは非常にショックです。関与するすべての金融機関は同再拡張事業の気候変動影響や健康影響に対して、責任を負うことになるでしょう。この先数十年にわたり、インドネシアの石炭火力依存を強めるのではなく、むしろ、金融機関は再生可能エネルギーの大きな潜在性の開発支援を行なうべきです。私たちは銀行に対し、方針転換とチレボン拡張計画についても、いますぐ撤退するよう求めます。」

注:
1. タンジュンジャティB石炭火力発電所の再拡張事業は1000MW x 2基からなる。住友商事、関西電力株式会社、PTユナイテッド・トラクターズが出資するPT. ブミジャティパワー(BJP)が開発。詳細は JBIC によるプレスリリース(2017年2月27日)、および、FoE Japanのウェブサイトを参照。2. 全融資者(総融資額33億55千万ドル)は次のとおり:JBIC、三菱東京UFJ銀行、みずほ、三井住友銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、農林中金、OCBC。
3. こちらのウェブサイト参照(インドネシア語)
4. グリーンピースによるレポート‘Human Cost of Coal Power’参照
5. クライメートアクショントラッカーによるレポート‘The Coal Gap’参照。また、バタン石炭火力発電事業チレボン石炭火力発電事業に関してはFoE Japanのウェブサイトを参照。

●関連情報
「JBICの石炭発電融資にNo!」プログラム ファクトシート3:日本の公的資金が支援する石炭火力発電所事業の概要と問題(リンク