STOP 日本の化石燃料融資にNO!

西ジャワ州インドラマユ石炭火力 「JICAは人権侵害に加担せず、融資しないで!」住民が再要請(2017年2月10日)

現在、国際協力機構(JICA)の円借款供与が検討されている西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電所拡張計画(1,000MW)に関し、2月10日、住民ネットワークがJICAに再度レターを提出。住民が同拡張計画に強く反対していることを繰り返し伝えました。また、土地収用等の過程で人権侵害も起きていることから、JICAが同事業への融資を決めれば人権侵害に加担することになると警告し、これ以上、同事業に関与しないよう要請しました。

インドラマユ1インドラマユ2

インドラマユ3インドラマユ4

(写真解説)1月16日~18日の3日間、西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電事業の影響を受ける住民らが首都ジャカルタの大統領宮殿前で、抗議アクションを実施。1月15日にインドネシアを訪問中の安倍首相とジョコ大統領の首脳会談があったことを受け、両首脳が住民の反対の声をしっかり受け止め、同事業を中止すべきと訴えた。(撮影:WALHI西ジャワ、FoE Japan)

住民ネットワークは、前回のレター(1月6日付)提出後、1月末に地元インドラマユ県でJICAと面談を行ないましたが、同面談のなかで、「こうした状況下でJICAは同事業への融資を行なうのか」と質問し、JICAに2週間以内の回答を求めていました。今回のレターでは、その回答もJICAに督促していますが、JICAから住民ネットワークへの回答は依然ないままです(2月18日時点)。

JICAはこれまで同事業の事前調査を実施し、現在もインドネシア政府側の土地収用/生計回復措置の策定支援を継続していますが、住民の要請と問いかけをしっかり受け止め、まずは一切の支援を停止した上で、住民が強く反対する同事業への対応・関わり方を再考すべきです。

以下、住民ネットワークからJICAへのレター(和訳)です。(PDF)
———————————————————————
(同書簡の原文はインドネシア語。以下、WALHIによる英訳を和訳。)

2017年2月10日(於インドラマユ)

国際協力機構
理事長 北岡 伸一 様

表題:
インドネシア・西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電所拡張計画に関するJICAとの面談後のフォローアップのための書簡

私たちJATAYU(Jaringan Tanpa Asap Batubara Indramayu:インドラマユから石炭の煙をなくすためのネットワーク)は、去る2017年1月27日に貴機構のスタッフがインドラマユまで足を運ばれ、私たちとの面談を持ってくださったことについて大変感謝致します。インドラマユ石炭火力発電所拡張計画(同事業、もしくは、2号機)に関し、私たちの懸念と要求を貴機構のスタッフに直接お伝えすることができ、私たちにとっても貴重な時間でした。

要点を申し上げると、私たちは同事業に強く反対しており、私たちの立場は話し合いの余地がないということです。というのは、私たちの村にある既存の石炭火力発電所(1号機)の今も続いている経験から、私たちはこれ以上、農業や漁業など生計手段への悪影響を望みませんし、また、健康への悪影響も望まないからです。私たちの政府やPLN(インドネシア国有電力会社)、および、関連機関は、今日まで、1号機が引き起こした既存の問題を解決できていません。また、私たちの政府やPLN、および、関連機関は、2号機に関するAMDAL(環境アセスメント)や土地収用において人権を侵害しており、適切なプロセスを確保できていません。
したがって、私たちはJICAが同事業への関与や融資供与をこれ以上しないよう早急に決定することを要求します。もし、JICAが同事業に融資を供与するなら、それはJICAもそうした人権侵害に関与することになるということを示唆しています。

私たちは、貴機構が私たちの立場と現場での実態を十分に理解できたことを強く願います。貴機構がJATAYUからの主な主張を確実に理解できるよう、また、私たちのよりよい相互コミュニケーションのため、私たちは貴機構スタッフとの面談の議事録を添付資料にて送付させていただきます。同議事録は同面談にも同席したWALHI西ジャワ州のスタッフにより作成されたものです。また、JATAYUの構成図も添付致しますので、ご覧いただければ幸いです。同議事録に関してご質問や修正等がございましたら、お知らせいただけますよう宜しくお願い致します。

また、私たちは、同面談の最後に貴機構スタッフに対して私たちが質問したことに関し、注意喚起させていただきます。私たちは同質問に対し、貴機構が2週間以内にご回答くださるよう依頼しました。質問の内容は、「JICAが同事業に融資を供与するなら、それはインドネシア政府による人権侵害をJICAが支援することを意味する。また、JICAは地元コミュニティーからの強い反対についてすでにご存知である。こうした状況下において、インドネシア政府が同事業への公式な要請を(貴機構に)した場合、JICAは同事業への融資を依然として供与するのか否か」というものです。

貴機構のご配慮に感謝致します。貴機構の私たちに対するご回答を宜しくお願い致します。
(3名のJATAYUコーディネーターの署名)
Cc:
外務大臣 岸田 文雄 様
JICA環境社会配慮助言委員会各委員

(翻訳:FoE Japan)

—————————————————————

※インドラマユ石炭火力発電事業拡張計画について詳細はファクトシートをご参照下さい(掲載はこちら)。

(以上)