インドネシアNGOが日本大使館前アクション、要請書提出「日本は石炭火力への融資ストップを」

1月15日、インドネシア首都ジャカルタの日本大使館前で、現地NGOインドネシア環境フォーラム(WALHI:FoEインドネシア)が主体となり、インドネシアでの石炭火力発電事業に日本政府・企業が投融資をしないよう求める抗議アクションを行ないました。

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写真:大使館前での抗議アクションの様子(2016年1月15日、WALHI撮影)

アクション後、WALHIらは、安倍首相のほか、現在、インドネシアの各地で建設が予定されている各石炭火力発電事業への融資を検討中の国際協力銀行(JBIC)、および、国際協力機構(JICA)に対し、緊急要請書を提出しました。

同要請書では、2015年12月下旬にインドネシア国家人権委員会が日本政府に対し、中ジャワ州バタン石炭火力発電事業に伴い起きている多くの人権侵害の問題を指摘し、同事業へのJBICによる融資供与を慎重に検討するよう求めた書簡についても言及。改めて同事業への懸念を示すとともに、JBICに同事業への融資をしないよう求めています。

また、西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業、中ジャワ州ジュパラ(タンジュン・ジャティB)石炭火力発電事業、東ジャワ州パイトン石炭火力発電事業といったJBICがすでに融資を供与した既存の石炭火力発電所が、周辺コミュニティーに問題をもたらしていることを指摘。バタン事業を含め、以下の大型発電所計画への融資を日本が行なわないよう求める内容となっています。

・中ジャワ州バタン石炭火力発電事業
(2,000MW。JBIC融資検討中。伊藤忠、J-POWER出資)
・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業拡張計画
(1,000MW。JBICへの融資要請が想定される。丸紅、中部電力出資)
・西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電事業拡張計画
(1,000MW。JICA円借款検討中。)
・中ジャワ州ジュパラ(タンジュン・ジャティB)石炭火力発電事業拡張計画
(2,000MW。JBICへの融資要請が想定される。住友商事、関西電力出資)

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写真左:チレボン石炭火力発電所1号機(JBIC融資。丸紅出資)。小漁業、塩づくり、農業など、生計手段への影響や粉塵の飛来などが指摘されている。

写真右:タンジュン・ジャティB石炭火力発電事業1~4号機(JBIC融資。住友商事出資)。農民、漁民の生計手段への影響、周辺住民の健康被害などが報告されている。 (2015年FoE Japan撮影)

以下、今回、駐インドネシア日本大使館に提出された現地NGO、および、影響住民グループの緊急要請書の和訳です。

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(英語の原文を和訳)

2016年1月15日、ジャカルタ

内閣総理大臣 安倍 晋三 様
国際協力銀行 代表取締役総裁 渡辺 博史 様
国際協力機構 理事長 北岡 伸一 様
駐インドネシア日本国大使 谷﨑 泰明 様

インドネシアにおける石炭関連事業への投融資停止を求める
インドネシア市民社会から日本政府・企業への緊急要請

私たちは、インドネシア国家人権委員会(Komnas HAM)が日本の安倍晋三 内閣総理大臣宛てに公式書簡を提出し、土地収用における人権侵害が起きていると報告されている中ジャワ州バタン県の発電所に対する公的支援を見直すよう求めたと聞いています。

私たちは、インドネシアの市民社会組織、および、石炭関連事業の影響を受けるコミュニティーを代表し、石炭関連事業への日本の投融資を巡る問題への注意喚起を図るとともに、以下の案件への投融資計画を止めるよう要請します。

1.インドネシア中ジャワ州バタン石炭火力発電所計画
2.インドネシア西ジャワ州チレボン石炭火力発電所拡張計画
3.インドネシア西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電所拡張計画
4.インドネシア中ジャワ州ジュパラ石炭火力発電所拡張計画(訳者注:タンジュン・ジャティB石炭火力発電所拡張計画)

私たちはこれらの事業に、以下のような非常に明白な理由から反対しています。

バタン発電所計画は、潜在的に影響を受けるであろうコミュニティーの何千人もが猛反対し、多くの地権者が同事業への土地売却を拒んできていることなどから、すでに遅延に悩まされ、論争を巻き起こしてきました。結果として、融資調達期限はすでに4回延期されており、同事業の資金面での実行可能性に問題が出ているほか、社会的合意にも問題があります。同事業は年間約1,080万トンの二酸化炭素や大量の水銀を排出することで、地球規模での深刻な影響を伴うだけでなく、非常に深刻な地元での影響を引き起こします。JBICは、同事業への融資を供与するのではなく、インドネシアの電力ニーズを満たすために、地熱や風力、太陽光など、クリーンな再生可能エネルギー事業を模索するためにインドネシア政府と協働すべきです。

チレボン、パイトン、ジュパラといった日本が融資した既存の石炭火力発電所はすべて、地元コミュニティーに負の影響を及ぼしてきました。これら日本の石炭火力発電所の影響を受けてきた私たちコミュニティーは、日本の総理大臣、JBIC総裁、JICA理事長に対し、インドネシアにおいて汚染を伴う石炭関連事業への日本の投融資を止めるよう要請します。

私たちは日本政府・企業、JBIC、JICAに対し、バタン石炭火力発電所計画、チレボン石炭火力発電所拡張計画、インドラマユ石炭火力発電所拡張計画、ジュパラ石炭火力発電所拡張計画に関する私たちの上記の懸念を見直し、現在、および、将来の石炭関連投融資を再考するよう、心から要請します。

最後に、私たちは日本政府・企業、JBIC、JICAに対し、上述の懸念を真摯に考慮するよう求めるとともに、JBIC、JICAに対し、以下を要請します。
 インドネシア・バタン石炭火力発電所を含む、すべての石炭関連事業計画への投融資を見直すこと。
 石炭関連の投融資を止め、よりクリーン、かつ、より持続可能なエネルギー事業への融資支援を行なうという、公式な政策ステートメントを出すこと。
 インドネシアやその他のあらゆる発展途上国・貧困国において、地元の住民を犠牲にして、利益を得るのを止めること。

ご配慮に感謝するとともに、本書へのご回答をお待ちしております。

以上

(署名済)
インドネシア市民社会を代表してPius Ginting

WALHI (Wahana Lingkungan Hidup Indonesia) / Friend of the Earth Indonesia
JATAM (Jaringan Advokasi Tambang)
Greenpeace Indonesia
350.org
Kruha
Paguyuban UKPWR (バタンのコミュニティー)
RAPEL (チレボンのコミュニティー)
インドラマユのコミュニティー
ジュパラのコミュニティー

(以上)

※インドネシア・バタン石炭火力発電事業に関する詳細はこちら
http://www.foejapan.org/aid/jbic02/batang/index.html