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【緊急 要請および質問】ベトナム・ギソン2石炭火力発電事業に係る漁船の強制立退き、および、漁民の生計手段への影響について

【緊急 要請および質問】
ベトナム・ギソン2石炭火力発電事業に係る漁船の強制立退き、
および、漁民の生計手段への影響について

2018年5月31日

国際協力銀行 代表取締役総裁 近藤 章 様

メコン・ウォッチ
国際環境NGO FoE Japan
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク

 貴行が今年4月13日に融資契約を締結したベトナム・ギソン2石炭火力発電事業について、現地から日本のNGOに対し、以下のとおり、漁船の強制立退きが差し迫っている状況との情報が入ってきております。

・ 事業予定地のHai Haコミューンでは、住民が先祖代々利用してきた小型漁船の停泊地があり、現在も数百隻が利用している。
・ 2017年11月頃、当該地で土砂搬入トラックが往来を始め、一部の漁船が撤去されたことなどから、住民は何らかの工事に伴い漁船撤去が行なわれることを初めて知ったとされる。それ以来、昼夜を通して毎日、大勢の住民が停泊地に留まり、漁船が撤去されないよう監視を続けている。
・ 2018年5月18日付のHai Haコミューンによる住民への通知によれば、Tinh Gia District人民委員会が2018年5月9日付で、ギソン2発電所のために緊急撤去通知を発出しており、漁船を異なる停泊地へ移動するよう、また、従わない場合は強制的に移動するとされている。その後も、住民には2018年5月31日までに移動しない場合、強制的に移動させるとの説明がなされている。
・ 移動を指定された停泊地は、漁獲物の荷揚げに不便で、また、停泊地としての自然条件が劣悪(強風等により漁船が破損する恐れもある)等の理由から、多くの住民は合意できないとし、漁船の移動を拒否。現在の停泊地に留まり続けている。
・ この間、漁民は停泊地からの撤去を恐れ、漁に出ることができておらず、生計手段への影響が生じている。

こうした状況は、「非自発的住民移転及び生計手段の喪失」にあたって、「対象者との合意」や「以前の生活水準や収入機会、生産水準において改善または少なくとも回復」、「対策の立案、実施、モニタリングには、影響を受ける人々やコミュニティーの適切な参加」等を規定する『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン』(以下、ガイドライン)に明らかに違反しています。したがって、私たちは、貴行が融資契約に基づき、同事業に対する現時点での貸付実行を停止すべきと考えます。また、現在差し迫っている漁船の強制立退きに関して早急に事業者に事実確認を行なうとともに、ガイドラインに基づく適切な参加や住民協議を求めるべきです。

さらに、貴行は環境チェックレポートにおいて、社会配慮面を「本プロジェクト実施に伴う新たな用地取得及び住民移転は発生しない」としていますが、事態の緊急性に鑑み、以下の事項に関して6月8日(金)までにご回答いただけますよう宜しくお願い致します。

1. ギソン2石炭火力発電事業の港湾設備の位置関係を地図でご教示いただきたい。
2. ESIA報告書において、漁船の立退きや漁民の生計手段への影響に関する記述箇所をご教示いただきたい。
3. 貴行は環境レビュー時に漁民の存在、漁船の立ち退き、漁民への協議状況等について把握されていたか。
4. 貴行は環境レビュー時に実査を行なわれたか。行なわれたとすれば、何年何月か。その際、漁民の影響についても確認をされたか。

なお、本件に関する事業者への事実関係の確認等に際しては、当該漁民等に対する当局からの嫌がらせなど人権侵害が起きぬよう、貴行として十分かつ適切な配慮をしていただけますよう宜しくお願い致します。

以上

Cc: 財務大臣 麻生 太郎 様

連絡先

国際環境NGO FoE Japan(担当:深草)
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9 Tel:03-6909-5983 Fax:03-6909-5986

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