【共同声明】 ベトナム・ビンタン第4石炭火力発電所拡張案件への 国際協力銀行による融資決定に抗議

【共同声明】
ベトナム・ビンタン第4石炭火力発電所拡張案件への
国際協力銀行による融資決定に抗議
環境社会ガイドラインの遵守と市民社会への説明責任の徹底を

2017年4月11日

国際環境NGO FoE Japan
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
メコン・ウォッチ
350.org Japan

4月11日、ベトナム・ビントゥアン省ビンタン第4石炭火力発電所の拡張案件に国際協力銀行(JBIC)が融資決定を発表したことに対し、NGO5団体が共同で融資決定に抗議する声明を出しました。

以下に本文を掲載します。

<以下、声明文>

国際協力銀行(JBIC)は、2017年4月11日、ベトナム・ビントゥアン省ビンタン第4石炭火力発電所の拡張案件に対し、約5,000万ドル を限度とする融資貸付契約を3月31日に締結したことを発表した 。融資は三菱東京UFJ銀行との協調融資で行われ、同行の融資には日本貿易保険(NEXI)による保険も付保されている。

私たちはこれまで会合等を通じ、同案件の公害・安全対策の不備や海洋保護区への影響など、環境社会面の問題についてJBICに指摘してきた。直近では、3月23日にもJBICと会合を持ったばかりであったが、JBICが自身のもつ『環境社会配慮確認のためのJBICガイドライン』(ガイドライン)に則り、事業者が同案件に伴う環境社会影響を回避・最小化するために必要な対策をとっているかについて、依然十分な確認ができていない状況であったと理解している。したがって、私たちは、自身のガイドライン規定を蔑ろにし、また、市民社会に対する説明責任も果たさぬまま、JBICが拙速な融資決定を行なったことに対し、強く抗議する。

同案件(600 メガワット)は、ビンタン石炭火力発電所の第4発電所(600 メガワット×2 基)を拡張するもので、同地域に計画されている第1から第4までのすべての発電所の総発電容量は6,000メガワットにも上る。

第2発電所はすでに商業運転を開始しており、同発電所による深刻な粉塵被害が報告されている。地元住民らによる状況改善を求める大規模デモ等も起きており、ベトナム政府機関も、事業者であるベトナム電力公社(EVN)に対し改善を要求してきた 。 また、近隣地域では草木が突然枯れるという現象も発生しており、地元住民や現地NGOは石炭灰を貯めるアッシュポンドからの水漏れによる土壌汚染が原因ではないかと指摘している 。

JBICが2014年に 融資を決定した第4発電所は、現在試運転期間中であるが、2017年3月に工事現場で火災が発生し2名が負傷した 。また、この発電所は、上述の水漏れが疑われるアッシュポンドを使う予定となっている。

さらに、発電所近くにはホンカウ海洋保護区(Hon Cau MPA)も存在し、ウミガメの生息やサンゴ礁をはじめとした豊かな生態系の存在が確認されている。

こうした状況を踏まえ、私たちは JBICに対し、ビンタン第4発電所、及びその拡張案件がもたらしうる環境社会影響を指摘してきた。すでに多くの問題を抱えている第2発電所と同じく、第4発電所の事業者がEVNであることからも、JBIC自身のガイドラインに則り、事業者に十分な環境社会配慮を求めるよう要求してきた。しかし、これまでの議論では、たとえば海洋生態系への影響に対する対策について、JBICからは「海洋保護区への影響はない」という以外、回答は得られず、「重要な自然生息地の著しい転換または著しい劣化を伴うものであってはならない」等のガイドライン規定の遵守を裏付けるのに十分な根拠となる説明はなされていない。また、JBICは近隣地域の草木への影響の疑いについては把握していなかった。

すでに現地で既存の発電所に起因する多くの環境・社会問題が発生し、解決していない以上、同じ事業者による拡張案件についても適切な環境社会配慮がなされているとはいえない状況のなかで、今回の拡張案件への融資に踏み切ったJBICの姿勢には疑問を持たざるを得ない。

気候変動の観点からも、2015年に採択されたパリ協定の気温上昇を1.5度に抑える目標を達成するためには、高効率といえども最も温室効果ガスを大量に排出する石炭火力発電への投融資は避けるべきであり、世界でも多くの機関投資家が化石燃料関連企業や事業からの融資撤退(ダイベストメント)を始めている。さらに今回の案件が実施されるベトナムは、気候変動の影響を受けやすい国の連合である気候脆弱性フォーラム(CVF)の構成国として、再生可能エネルギー100パーセントを目指す目標も含めた共同声明(マラケシュビジョン)に署名をしている 。同国バクリュウ省は環境などの観点からJICAが支援を検討していた石炭火力発電事業を撤回した 。

ビンタン第4発電所・拡張案件は日本政府が推進する「質の高いインフラ輸出」政策の一つと位置づけられているが、気候変動対策に乗り出し再生可能エネルギーへのシフトの兆しが見られる ベトナムにおいて、既存の発電所による環境社会影響が深刻な中、JBICがさらなる拡張への融資を決定したことに深刻な懸念を表明する。JBIC・NEXIは環境社会配慮ガイドラインに基づいて適切な再調査を行い、深刻な影響が回避・最小化できないと認められる場合は、貸付等を停止すべきである。

ダウンロードはこちらから

お問い合わせ

国際環境NGO FoE Japan(担当:深草)
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
Tel:03-6909-5983