国際環境NGOが報告書「隠された石炭支援~政府や国際機関は石炭産業への多額の公的支援をどのように隠して来たのか?」を発表

2015年6月2日、Natural Resources Defense Council(NRDC)、Oil Change International、WWFの国際環境NGOが報告書「隠された石炭支援~政府や国際機関は石炭産業への多額の公的支援をどのように隠して来たのか?」を発表した(報告書本体<英語>はこちらからダウンロード可能)。報告書では、2007年から2014年までの各国の公的金融機関(日本では国際協力銀行<JBIC>や国際協力機構<JICA>)や国際機関(世界銀行やアジア開発銀行等)による石炭関連事業(採掘、発電等)への支援額を調査、分析している。

結果、2007年~2014年の国際的な石炭関連事業への公的支援は日本が最大で約200億ドル、第2位が中国で約150億ドルであった。機関別で最大の支援を行ったのは、約120億ドルを支援したJBICで、約60億ドルを支援した第2位の世界銀行の約2倍の支援額だった。

JBICや日本貿易保険(NEXI)、韓国輸出入銀行などOECDの輸出信用機関の石炭事業への支援は、国際的な公的支援の47%を占め、最大の公的金融機関である一方、中国やロシアの公的金融機関による国際的な石炭事業への支援は23%であった。ただし、中国やロシアの支援額は十分な情報公開がなされていないため、限定的な調査となっている。

OECDでは6月9日~12日に輸出信用機関の石炭関連事業への支援方針について交渉が行われる。欧米諸国が気候変動への影響から石炭関連事業への規制強化を求める一方で、日本政府は石炭火力発電の高効率化が必要として支援継続を求めている。

しかし、4月24日に発表された調査レポート「石炭はクリーンではない―検証:日本が支援する海外の石炭火力発電事業」では、JBICの支援した石炭火力発電設備の効率性は、世界で同時期に建設された設備の平均よりも低いことが明らかとなっている。また、高効率化といっても超々臨界圧と超臨界圧の効率性の違いは1%程度しかなく、石炭火力は最もCO2排出量の低い化石燃料発電であるガス火力の約1.5倍~2倍の排出をもたらすことから、石炭火力発電を支援し続けることは気温上昇を2度未満に抑えるとする気候変動の国際目標に逆行することは明らかである。

国際エネルギー機関(IEA)は、World Energy Outlook 2014において石炭火力発電の発電容量が2012年から2040年に1.46倍になると予測しており、日本政府も石炭火力発電の高効率化が必要だとする根拠として、この拡大予測を前提としている。しかし、発電事業立案時における電源選択は、電源の経済性によって大きく変わることから、炭素排出コストの内部化や公的金融支援の抑制等の政策的措置によって、石炭以外の電源へ誘導することが重要である。日本政府は、欧米諸国と共に、OECD交渉において石炭関連事業への規制強化に同意するべきである。

報告書本体<日本語版>はこちらからダウンロード可

報告書本体<英語版>はこちらからダウンロード可

文責:「環境・持続社会」研究センター(JACSES)田辺有輝