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小泉新環境大臣の地元・横須賀での石炭火力発電所行政訴訟

先月9月23日、国連事務総長の主催でニューヨークでの国連気候行動サミットが開催され、日本からは小泉新環境大臣が大臣初の外遊デビューを果たした。しかし、各国に対して温室効果ガス削減目標を引き上げや石炭火力発電所の脱却を強く求めていたグテーレス国連事務総長の要請に残念ながら日本は答えることができなかった。石炭火力を推進する立場の日本が世界から厳しい目にさらされていることは、小泉大臣はこのサミットを通じて身を持って感じたことだろう。

一方、小泉大臣の地元である横須賀において、株式会社JERAによる大規模石炭火力発電所建設計画が進み、住民たちが今年5月27日に国を提訴した裁判がようやく第一回目の期日を迎えた。横須賀火力発電所建設計画における環境アセスメントの手続きで確定通知を出した国(経済産業省)に対して、その取消を求める裁判である。国内外で気候変動問題や石炭火力に対しての注目が集まる中、10月2日の第一回期日には、大法廷の傍聴席を大幅に上回る120名の原告・サポーターが集まり、法廷の外に傍聴できない人があふれる事態となった。

裁判では、最初に鈴木陸郎原告団長から意見陳述が行われた。意見陳述は、甥御さんが公害認定患者となり、長い闘病生活の後に先立たれたという辛く悲しい思い出からはじまる。鈴木さんは、二度とこのような状況をつくってはいけないと心に誓った矢先に、地元横須賀での巨大な石炭火力発電所の建設計画を知り、環境アセスメントのプロセスをすべて追ってきた。旧火力発電所は長期停止に入って、徐々にきれいな大気を取り戻しつつある横須賀の空気をまた再び汚染し、喘息をはじめとする健康被害が懸念されると訴えた。また気候変動が深刻化する中で、大量の二酸化炭素を放出する石炭火力の建設など許されるはずがない、と主張し、「気候変動を緩和する日本の転換点となったと評価される歴史的な判断を下される」裁判になることを求めた。

次に、小島延夫弁護団長からの意見陳述が行われた。小島弁護士は、横須賀火力発電所建設計画の環境影響評価における問題を次の3つの論点で主張した。第一に、本来環境影響評価はベスト追求型でなければならないところ、本件ではベストを追求しているとは言い難いこと。つまり、最善の努力がされているかどうかを検討した、といえるためには、環境影響評価 においては、環境影響を回避するための措置、低減するための措置等について、具体的に複数案が検討されなければならない。さらに、環境アセスメントの手続きでは、市民の参加権を確保し、その意見を環境影響評価に検討・反映すべきことを義務づけているが、それも行われていない。事業者には、高度の説明責任が求められているが、それも不十分だった。

第二に、長期停止となっていた旧火力発電所と比較して、新規計画案件が「改善リプレース」だとして審査されたことは明らかに瑕疵であること。これは、温室効果ガスの排出量についても、2011年以降に旧火力が運転していた3、4号機の年間排出量は年間326万トン-CO2に対して、現在計画されている設備が年間726万トン-CO2と400万トンも上回ることから明らかだ。

第三に、この莫大なCO2排出をする石炭火力発電所の温室効果ガス対策に係る検討が不十分であり、本来であれば事業を実施しないという選択肢を含めて検討すべきであったが、事業者はそれをしていない。国はその点の是正を求めることが、環境保全への適正な配慮がなされることを確保するため特に必要であったと主張している。

被告(国)からは、この訴えに対して、①評価書確定通知は行政処分行為ではなく、取消訴訟の対象ではなく、取消訴訟提起は不適法であること、②原告適格(法律上保護された利益)を欠くことから速やかに却下されるべきとの18ページにわたる答弁書が提出されている。法廷では説明はなかった。

詳しくは、第一回期日の文書(こちら)を参照していただきたい。なお、第二回期日は2019年12月23日午後2時からとされた。長期にわたる闘いになり、その間にも工事が進んでいくことがもどかしい限りだ。

地元愛にあふれる小泉環境大臣は、地元での石炭火力発電所建設をめぐるこの訴訟をどうご覧になっているだろうか。日本の石炭火力発電所問題にどのように対処するか、国内外から注目される中、ぜひ大臣にはこの裁判の決着を待たずに、脱石炭に向けた動きをつくっていってほしいものだ。

写真:第一回記事後の報告会・勉強会の様子