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<5>いまさら石炭、ありえない3つの理由

5.いまさら石炭、ありえない3つの理由

「高効率」でも、排出されるCO2がとても多い

日本では、効率のいい石炭発電のことを「クリーン・コール」とよんだりします。ぜんそくなどの健康被害を引き起こす大気汚染物質(NOx、SOxなど)の約9割を除去することができるようになり、CO2排出も以前よりは少なくなったからです。
しかし、いまでも、たとえ最新鋭の石炭発電(USCと呼ばれる現在の大半の計画で採用されている技術)でも、化石燃料の中ではもっともCO2排出量が多く、天然ガスと比べると2倍以上もあります(下図)。また、石炭ガス化複合発電(IGCC)という次世代の高効率石炭発電を導入したとしても、石油発電と同じくらいのCO2排出になる程度で、やはりたくさんのCO2を排出します。CO2をたくさん出す設備を、「クリーン」と呼ぶのは、おかしいでしょう。
一つの大規模な石炭発電所のCO2排出量は、1000万トン程度にもなります(なんと100~200万人の1年間の排出量に相当!)。建設したら、一人ひとりの省エネ努力なんて吹き飛んでしまいます。
CCS(二酸化炭素回収・貯留技術)という地下にCO2を埋め込む技術も、実験は行われています。しかし、日本国内に埋められる土地も少なく、埋めるときのエネルギーも大きく、漏れや環境影響の大きさなども、計り知れないリスクがおおきなものです。また、今すぐできることでもないので、いま建設を進めようとしている石炭発電に使えるものでもありません。<電源別CO2排出量>

「安い石炭」は、過去のもの

いま、石炭発電が進められる大きな理由のひとつは、安いということです。
しかし、これからはその保障もありません。
まず、石炭の燃料価格。最近のトレンドは研究機関の予測を超えて上がっていますし、中国やインドなどの需要の増加もあって、これからさらに上昇していくと予測されています。
建設コストも、IGCCやCCSのような新しい技術をつかえば、石炭発電は今までよりももっと高くなっていきます。
さらに、CO2を多く排出する設備は、この先、たくさんのお金をかけてCO2削減対策を取らなくてはならなくなります。CO2対策が世界的にさらに厳しく求められていくことに間違いはないからです。
今安いから、という理由はもう成り立たず、逆に、将来の大きなコストとなって私たちに降りかかってくる可能性もあります。

新しい石炭発電がなくても電気は足りる

2011年3月の福島第一原発事故以降、原発が順次停止していき、2012年は一年間原発が動きませんでした。この間、心配された夏も冬も、停電になることなく乗り越えましたね。
いまのところ、今ある発電所だけで、私たちの今の生活で必要な電力需要は十分まかなえています。しかも省エネが進み、電力需要は2010年頃に比べて1割程度も減ってきており、この先も省エネをもっとすすめれば、電力量は全体としてもっと抑えることができます。現在、政府は、日本でも再生可能エネルギーを「主力電源化」にしていくことをめざしています。実際その割合も増えており、新たに石炭のように環境に最も悪い電源をつくっていく意味は見いだせません。