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<3>どうして石炭がこんなに使われているの?

3.どうして石炭がこんなに使われているの?

石炭火力を進める政府方針とエネルギー政策

(1)石炭発電をつくりやすくする規制改革
2013年6月、政府の規制改革会議は、経済成長のための規制緩和の一つに、「石炭火力発電に対する環境アセスメントの明確化・迅速化」を挙げ、「環境アセスメントの手続期間を短縮する(従来3年程度かかる火力のリプレースを1年強程度に短縮等)と答申しました。そして、石炭火力発電所を新しく建てようとしたとき、環境アセスメントも短くして建てやすくしてあげましょう、というわけです。
また、2016年2月には環境大臣と経済産業大臣が、石炭火力発電の環境アセスメントについて「合意」をとりかわしました。この合意では、排出係数0.37kg-CO2/kWhという業界の自主目標を2030年に達成することを前提として、省エネ法等の基準・運⽤を行うことを前提に石炭火力の計画がすすめられることを約束しています。その後つくられた「省エネ法」のゆるい基準や運用制度は、すべての石炭計画を遂行できるようなものになっています。2030年に業界の目標が達成されることすら危ぶまれる状況であるにもかかわらず、事実上、この合意によって、環境大臣は環境アセスメントへの意見書で石炭火力の計画に対して「是認できない」ということすらできなくされたのです。その後、いくつもの石炭火力発電所の新設で環境アセスメントの手続きが行われていますが、環境大臣の意見書では「再検討」を求めながらも、事実上は容認された状況となり、計画が次々と進んでいる状況になっています。
電気の供給1kWhあたりのCO2排出量

(2) 石炭発電を推進するエネルギー政策
日本のエネルギー政策の中心となる「エネルギー基本計画)は、石炭火力が原発とともに海外では時代遅れとなっている「ベースロード電源」として位置づけられています。「パリ協定」が締結したあと、2018年7月に「第5次エネルギー基本計画」として改定されましたが、その位置づけはまったく見直されませんでした。2015年に経済産業省でまとめられた「長期エネルギー需給見通し」では「2030年の電源構成」として、石炭を26%とすることが定められています。
石炭火力を推進する事業者は、新規で石炭火力発電を建設することが「パリ協定」に逆行する行為であるという指摘を受けても、「石炭火力は、日本のエネルギー基本計画でベースロード電源と位置づけられている」ことを拠り所にして、計画をすすめています。

これまで安かった「石炭」燃料

石炭火力発電はCO2を多く排出しますが(<5>を参照)、政府は、そのために石炭発電の利用を控えることはしてきていません。2003(平成15)年には、環境問題への認識の高まりを受けて、石油税にあらたに石炭が加えられました(石油石炭税)が、それでも石炭が安いという実態はかわっておらず、利用が増える傾向は止まっていません。 EU(欧州連合)では、CO2排出に上限をかけるしくみ(キャップ&トレードの排出量取引制度)があり、CO2を多く出す事業は抑制する動機づけがあります。また、アメリカのオバマ大統領も、石炭火力発電のCO2排出規制を検討しています。しかし日本には、そのような動きはまだありません。

環境対策は「技術革新」で解決?

石炭火力発電はCO2を多く排出しますが、政府は、そのために石炭発電の利用を控えることはしてきていません。2003(平成15)年には、環境問題への認識の高まりを受けて、石油税にあらたに石炭が加えられました(石油石炭税)が、それでも石炭が安いという実態はかわっておらず、利用が増える傾向は止まっていません。 EU(欧州連合)では、CO2排出に上限をかけるしくみ(キャップ&トレードの排出量取引制度)があり、CO2を多く出す事業は抑制する動機づけがあります。近年、石炭のようにCO2の排出量の大きなものには、CO2の排出に価格をつける炭素税はキャップ&トレードの排出量取引制度のような「カーボンプライシング」を政府が導入する動きがますます大きくなっていますが、日本では導入に向けた動きが全く進んできませんでした。

地球温暖化対策と矛盾する石炭推進

2015年11月に気候変動対策のための世界的なルールである「パリ協定」がCOP21で採択されました。パリ協定では、地球の平均気温を産業革命前に比べて2℃を十分に下回り1.5℃を目指すことを掲げています。そのためには、事実上今世紀の半ばには人為的な温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることが求められています。
日本は、2030年の温室効果ガス削減目標として、「2013年度比26%削減」を国連に提出しています。現状では、各国が提出している削減目標をすべて足し合わせても2℃目標には届かず、すべての国がもっと目標を高めることが求められているのです。特に日本は、国際的な環境NGOなどから、日本の目標が非常に不十分であると指摘されているところです。
そのような中において、今の石炭火力発電所の新規計画は、この目標すら守れない可能性があることを環境省も指摘しており、目標達成と整合する排出量よりも6800 万トン程度上回るといいます。今後新しい火力発電所をつくることは、その火力発電所を40年程度動かすことが前提となり、2030年の目標達成どころか、2050年に80%削減するという日本の長期目標の達成も危うくします。
今、日本の政策では、一方で石炭火力が推進されていますが、温暖化対策とは完全に矛盾した状況を生み出しているのです。