Don’t go back to the 石炭〜石炭火力発電に反対 |石炭発電|石炭火力発電|反原発

仙台港の石炭火力発電所計画に市民が「待った!」  仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会発足、12月にシンポ開催

関電・伊藤忠が仙台港で石炭火力発電所計画?

今から2年前の2014年9月、仙台市宮城野区での石炭火力発電所建設計画があることが報道で明らかになりました。この計画は、関西電力と伊藤忠商事の子会社によってつくられた「仙台パワーステーション」による計画です。設備容量は11.2万kWと、環境影響評価法に基づく環境アセスメントの対象規模をわずかに下回る、いわゆる「小規模火力発電」にあたります。計画が明らかになってからこれまで、事業者から住民に対しての説明会開催は一切行われておらず、石炭火力発電所が地域に与える影響を含め情報はほとんど明らかにされていません。しかし、建設予定地に行ってみるともう着々と工事が進められている様子が伺えます。

Exif_JPEG_PICTURE
(写真)2016年2月13日の仙台パワーステーション建設予定地:
右の方にクレーンが見えるが、建物自体は見えていない。

Exif_JPEG_PICTURE
(写真)2016年8月25日の仙台パワーステーション建設予定地:
クレーンが高く伸び、着々と建屋の工事が進んでいる様子が伺えた。

事業者に説明会開催を求めても「必要なし」!?

この状況を市民は黙って見過ごしていたわけではありません。いえ、むしろこの計画がメディアなどにもとりあげられ、事業者側の対応も含めて、石炭火力発電所の建設に大きな疑問を抱く人が増えてきました。この1年間の地道な市民の働きかけを振り返ってみたいと思います。

昨夏、仙台市民有志および気候ネットワークでは、親会社である関西電力と伊藤忠商事に対して工事着工前に説明会の開催を要請しました(地元説明会の開催依頼書提出)。先方からは何の連絡もなく、関西電力本社、東京支社と伊藤忠商事の電気事業担当や広報など窓口が明らかにされないまま「うちでは回答できない」と数カ所たらい回しにされ、仙台パワーステーションの現場所長に電話をかけると「法的な手続きはとっているので、説明会を開催しないと確認している」と言われ、説明会の開催は実現しませんでした。そうこうしているうちに現場では着工がはじまっているようでした。

宮城県や仙台市など7つの市町村と事業者とでは、「仙台パワーステション株式会社の公害防止に関する協定書」を結んでおり、その中で住民とのコミュニケーションの必要性もうたわれています。そこで、今年8月になって仙台市や宮城県の環境担当課を通じて、あらためて事業者に対しての説明を求めました。仙台市や宮城県の担当者が直接仙台パワーステーションを訪ね、住民に対して説明するように要請してくれました。しかし、それでもなお事業者はその要請には応じず、「疑問点があれば文書で送付するよう」にとの文書を送ってきました。その後も郵便でのやり取りを繰り返してきました。

疑問を抱く市民は増えていき、「仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会(考える会)」としてこの問題を考える市民グループに発展しています。共同代表には、東北大学の長谷川公一教授と明日香壽川教授が名前を連ねています。宮城県議会議員の与野党が合同で仙台パワーステーションの建設に関する問題を扱う勉強会を行い、宮城県議会でも取り上げられました。

仙台石炭火力発電所の何が問題なのか

石炭火力発電所が新たに稼働すれば、たとえ「小規模火力発電所」であろうと年間約60万トンCO2を排出する大規模な排出源となり気候変動を引き起こす汚染源となります。しかし、仙台石炭火力発電所がかかえる問題点や住民の疑問点はそれだけではありません。この計画では、年間約 32 万トンの石炭(硫黄含有率 0.673%)を使用するので年間 2000 トンを超える硫黄を排出することになります。また、硫黄酸化物(SOx)のみならず、窒素酸化物(NOx)、オキシダント、PM2.5なども増加させます。環境アセスメントを実施しないがために、以下のような周辺環境への影響がどれほどのものかもわからずに、住民たちを困惑させているのです。

★復興の象徴、奇跡の干潟に隣接

建設地の数百メートル南には、津波で流されながらも、自然の力で奇跡的に再生した、水鳥の楽園「蒲生干潟」があります。この干潟は、国の鳥獣保護区特別保護地区に指定されている全国的にみても貴重な生態系で、住民たちにとっては「復興」の象徴であり、大切な「奇跡の干潟」です。石炭火力発電所がこの干潟にどんな影響を及ぼすのか明らかにされていません。

★学校・病院・公共施設・集客施設等への影響

建設地から直線距離で 4km 圏内には、岡田小・鶴巻小・福室小・中野小・中野栄小・高砂中・中野中(以上仙台市立)、多賀城八幡小・城南小・多賀城小・天真小・高崎中・多賀城中(以上多賀城市立)、貞山高校、仙台育 英学園高校、東北学院大学工学部、仙塩病院・東北薬科大学病院、多賀城市役所、仙台港フェリーターミナル、仙台うみの杜水族館、三井アウトレット仙台港、夢メッセみやぎ、東北歴史博物館、多賀城市立図書館、多賀城市文化センター、陸前高砂駅・中野栄駅・多賀城駅、 陸上自衛隊多賀城駐屯地などのように、多数の学校・病院・公共施設・集客施設などが集中しています。こうした地域の拠点に石炭火力発電所がどのような影響を及ぼすのか明らかになっていません。

仙台市民にとってもっと納得しがたい点は、この計画の親会社が関西電力であり、「復興」の名の元に住民の意見を聞くこともなく関西からやってきて建設を勝手に進めていることです。現在、考える会では、こうした疑問点をまとめて、事業者側に送ったところ(考える会からの質問項目)、事業者側の回答はいずれも問題ないというものでした(事業者側の回答)。考える会では、この回答内容をふまえ、今後も引き続き仙台PSへの対応を求めていく予定としています。

工事計画についての情報は非開示から開示へ

こうした一連の動きの中で、工事計画の情報が非開示から開示に転じるということがありました。
気候ネットワークが2016年2月に行った関東東北産業保安監督部東北支部に情報開示請求では、当初開示された情報はボイラーに関する情報、ばい煙発生施設の情報、使用燃料の硫黄や窒素分の情報、排出ガス量、燃料分析値、工程表など多くが黒塗りにされていました(最初の工事計画届出書の情報開示)。ところが、10月になって一転し、ほぼ全ての情報が開示されたのです(不服申立て後の工事計画届出書の情報開示)。このことは、市民が粘り強く事業者側に働きかけてきたことで、事業者がプレッシャーに感じていることの証でしょう。

シンポジウム「みんなで考えよう!仙台港の石炭火力発電所建設計画」

今後、仙台パワーステーションの石炭火力発電所建設をめぐる様々な問題を、より地域の多くの人たちと共有していくために12月18日にシンポジウムが企画されています。これまでの経緯を振り返り、蒲生干潟への影響、地域住民や子どもたちへの影響、そして地球温暖化/気候変動への影響などについて一つ一つ考えていく企画です。まだ、地元の人たちはこの計画について知らない人が多くいます。石炭火力発電所の建設完了は来春で、2017年9月からは運転開始としてすすめられていますが、本当にこのまま進めてしまっていいのかと、地域からおおいに疑問が投げかけられているのです。

このまま事業者は説明会も開催することなく建設を進めていくつもりでしょうか。考える会からは、事業者側にぜひこのシンポジウムに参加して意見してもらいたいと参加を求めましたが、残念ながら「参加しない」との回答でした。

★シンポジウム「みんなで考えよう!仙台港の石炭火力発電所建設計画 ~知らなかった蒲生干潟すぐそばに建つなんて!~」
日時:2016年12月18日(日)14:00~16:30
場所:多賀城市民会館展示室
詳細はこちらから。

これまでの経緯

<市民の動き>
2015年8月14日 地元説明会の開催依頼書提出
2015年9月上旬  事業者への電話連絡/面会はかなわず
2016年2月5日  気候ネットワークより開示請求
(工事計画書/関東東北産業保安監督部東北支部)
2016年3月23日 工事計画届出書の情報開示 ◆黒塗り
(2016年3月 小規模火力発電に係る環境保全対策ガイドライン 改訂版公表)
2016年7月15日 気候ネットワークプレスリリース「小規模火力計画調査報告」
2016年8月12日 仙台市環境局環境対策課に申し入れ(地元住民が直接訪問)
2016年8月25日 仙台市・宮城県を訪問
*事業者側との話し合いの場の設定を求める
2016年8月31日 仙台PSからFAXが届く「仙台市環境対策課へのお申し入れの件について
2016年9月6日  仙台PSへ意見交換の場の再要請・文書にて送付
2016年9月27日 仙台PSから郵便が届き、「質問は郵送で送付するように」との内容
2016年10月4日 工事計画届出書の情報開示 ◆黒塗り部分の開示
2016年10月6日 仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会(考える会)発足
2016年10月12日 気候ネットワークプレスリリース「小規模石炭火力計画の調査報告書:追補版」
2016年10月14日 考える会から仙台PSへ質問項目を郵送
2016年10月28日 仙台PSから郵送で文書が届く「10月末までには回答できない」との回答}
2016年11月8日  仙台PSから郵送で回答が届く

<県議会の動き>
2016年2月25日 中嶋廉議員質問(本会議)
2016年9月30日 相沢みつや議員質問(本会議)
2016年10月12日 超党派県議による仙台PSに関する勉強会が開催される

<行政の動き>
2015年12月17日 仙台市環境影響評価制度に火力発電所追加
2016年3月2日 「仙台パワーステション株式会社の公害防止に関する協定書