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まさか「石炭火力」にFIT!? 迷走する経産協議会 ~そもそも石炭は優遇すべき“次世代”のエネルギーなのか?

6月16日、経済産業省の主導で、「次世代火力発電の早期実現に向けた協議会」なるものが設置され、これまでに3回にわたる会合が開催されました。設置の趣旨は、長期エネルギー需給見通し案で「火力発電所について石炭火力やLNG火力の高効率化を進めていく」ことになっているので、早期実現を目指す産官学からなる協議会を設置したとしています。そして、「次世代火力発電の関連技術につき、早期に技術確立し、実用化するための方策を議論し、技術開発のロードマップを策定、官民一体となって技術開発を加速化する」のだそうです。

 

●会合では世界の「脱石炭」の動きも紹介されたけど・・・・

第一回目の会合においては、世界の脱石炭に向かう動きも紹介されています。例えば、米国では、オバマ大統領が発表した「気候変動行動計画」に基づき、「CCS付ではない石炭火力につき、国内新設を抑制し、海外向け公的支援を停止」とか、「公的金融支援につき、他国や多国間開発銀行にも早急に同様の阻止を採ることを求める」ことなどです。

また、欧州石油メジャーが、世界ガス会議で次のような声明を発表したことも取り上げられていました。「石炭は環境保護を後退させる汚染物質であり、石炭に代えガスの使用を促すことが重要。」「政府は炭素税等により、石炭燃料コストを押し上げるべき。」といった、石炭からの脱却の方向性にインセンティブをかけるという方向性です。

しかし、この協議会では、こうした世界の動きを「石炭火力に対する逆風」ととらえるだけで、同調していこうなどという空気はまるでありません。なぜ今、世界的にこうした「脱石炭」の流れになっているのかという根本的課題設定が欠けたまま、推進に向けた議論が進められているのです。

 

●結局、効率が良くなってもCO2排出量の多い、次世代火力発電

では、ここで対象にしている「次世代火力発電」とは何をさしているのでしょうか。

石炭火力について言うと、先進超々臨界圧(A-USC)、石炭ガス化複合発電(IGCC)、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)などで、A-USCやIGCCは、これまでの技術ロードマップでは2020年代に、またIGFCについては2030年代の実用化を目指すこととされているものです。これらのCO2排出量は、A-USCが710g/kWh、IGCCが650g/kWh、IGFCが590g/kWhとされています。現状で稼動している最新鋭の石炭火力発電所USCで820 g/kWhですから、若干排出量は減少することにはなります。しかし一方で、同じく、この協議会で議論の対象となっているLNG火力では、現状のガスタービン複合機発電(GTCC)でCO2排出量が340 g/kWh程度と、高効率の石炭火力の半分以下で、さらに今後開発される次世代火力発電の超高温ガスタービン複合発電では310 g/kWh、ガスタービン燃料電池複合発電では280 g/kWhとされていますから、いかに石炭のCO2排出が多いか、この会合の資料を見ただけでもよくわかります。

 

●見通しを約5年前倒し、まさかの石炭火力へのインセンティブ付与論

7月6日の第三回目の会合では、ロードマップ案の個別技術の開発方針として、「A-USCが2016年頃」「IGCCが2018年頃」「IGFCが2025年頃」の技術確立を目指す案が示されました。従来よりも5年ほど前倒ししたスケジュール感です。そして、これに対して、東京大学生産技術研究所の金子祥三特任教授の意見は、驚くべきものでした。それは、「”石炭火力の高効率に挑戦する志の高い人“に対しては、その努力をしっかりと評価し、努力にふさわしいインセンティブを与える制度を1日も早く整備することが必要」というもので、「特に電力自由化の下では、絶対にこの支援策が必要」とし、努力に相応する評価額、年間30億円の費用を新たなFITとして認定するか、環境税の財源を充てて支援し、これを“志の高い人に与えられるプレミアム“と考えるべき」というのです。

こうした金子委員の発言に乗じてか、事業者からは「国の補助金を」「公的資金の低金利政策を」といった発言が次々に出てきました。

世界では、Divestment(化石燃料撤廃)運動が巻き起こり、石炭火力発電への融資停止や投資からの引き上げなどの動きが起きているというのに、FITの認定だとか、環境税を充てるだとか…、はるか昔にタイムスリップしたような感覚さえ覚えます。
7月17日、第四回目の会合が行なわれ、ロードマップがまとめられることになっています。まさか石炭にFITなんていう恥ずかしいまとめをするなんてこと、ありませんよね???

次世代火力発電の早期実現に向けた協議会の資料