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【報告書】「活況と不況2019」 世界で石炭火力発電事業への投資減速が続く一方、中国電力事業が新規発電所の建設を推進

報告書「活況と不況2019」
世界で石炭火力発電事業への投資減速が続く一方、中国電力事業が新規発電所の建設を推進

トランプ政権の石炭保護政策にもかかわらず、米国が世界の石炭火力発電所の閉鎖を牽引

[ワシントンD.C.]グローバルエナジーモニター(旧称CoalSwarm)、グリーンピース・インド、シエラクラブは、報告書「活況と不況2019:世界の石炭火力発電所の計画の追跡(原題:Boom and Bust 2019: Tracking the Global Coal Plant Pipeline)」を発表し、2018年、世界の石炭火力発電所の計画数は、3年連続で急速に減少したと発表した。本調査は、石炭火力発電所計画の年次調査としては5回目となる。今回の調査では、新たに完成した石炭火力発電設備は前年比で20%減少(過去3年間で53%の減少)、建設開始は39%減少(同84%の減少)、建設前案件は24%減少(同69%減少)していたことが判明した。

石炭火力発電所の閉鎖は記録的なペースで続いている。世界で閉鎖された石炭火力発電所のうちの半数以上は米国によるもので(17.615ギガワット、45基)、この数は、トランプ政権が老朽化した発電所の閉鎖を止めようとしていたにもかかわらず、米国の史上2番目の規模となった。

石炭火力発電所の増加に歯止めがかかったことは、石炭火力発電所の計画に対する政治的・経済環境の制約が強まっていることを反映した結果であり、それには100以上の機関・団体が石炭への経済的規制を設けていることや、31カ国が石炭火力の全廃を計画していることも含まれている。

世界の石炭火力発電事業計画が減少している中で明らかな例外は、中国である。衛星画像からは、中国で保留されていた多数の発電所建設が密かに再開されたことが見てとれる。中国の電力事業を束ねる中国電力企業連合会(CEC)は新たな報告書で、国の石炭火力発電容量の上限(キャップ)を1300GWとするよう提案したことを示した。これは、新規の発電容量として290GWが追加できることを意味しており、米国のすべての石炭火力発電所の合計(259GW)を上回る規模である。中国の金融機関は、国内に留まらず、隣接する他国の新規石炭火力発電事業にとっても最大の資金源となっている。

中国同様に国内外で石炭火力発電事業を推進しているのは、日本である。日本は2018年に597 MWの新規石炭火力発電設備の運転を開始したが、まだ15GWもの計画案件が計画中あるいは審査中、建設中となっている。2017年以降、新規の石炭火力発電事業の計画は追加されていないとはいえ、この数は世界7位の規模である。海外への公的資金提供者としても、中国、韓国に次ぐ3位であり、世界が脱石炭に進む中、逆行する姿勢を崩していない。

「活況と不況2019」報告書は、新規石炭火力発電事業をすべて中止とし、現在稼働中の石炭火力発電所を早急に廃止しなければ、世界の気候目標を達成できる見込みはないと警告している。

グローバルエナジーモニターの研究員のChristine Shearerは、「2015年以降、計画中の石炭火力発電所の発電容量は60%減少しました。しかし、既存の石炭火力発電所が稼働し続ければ、それだけで世界の気温上昇を2℃未満に抑える目標を超えてしまいます。私たちは、パリ協定の目標に到達するための軌道に乗るべく、これから10年の間に既存の発電所の利用を早急に減らしていかなければなりません。」と述べている。

シエラクラブ国際プログラムのNeha Mathew-Shahは、「風力発電や太陽光発電といったクリーンで再生可能なエネルギー対策のコストが、時代遅れの化石燃料による発電コストをはるかにしのぐようになっている以上、世界で石炭が過去のものとなるのは時間の問題です。米国は、2030年までに完全に石炭火力を全廃し、100%再生可能エネルギーによる経済に移行することに向けて順調に進んでいます。私たちの運動、特に南の発展途上国(グローバル・サウス)の国々における脱石炭を目指し、さらにクリーン・エネルギーへの公正な移行を高め、支援していくための草の根運動は、重要な転換期を迎えています。」と述べている。

また、グリーンピース国際大気汚染ユニットのリード・アナリストであるLauri Myllyvirtaは、「中国政府が今後10年間のエネルギー目標の検討を始めたため、電力事業者は多数の石炭火力発電所の建設計画を推し進めようとしています。それは、パリ協定の下に定めた中国の目標に反するだけでなく、さらなる石炭火力発電所を増設すれば、世界の気温上昇が最悪の事態を招くことを避けるための排出量抑制をほぼ不可能にしてしまいます。中国のエネルギー目標は、他のどの国の政治決定よりも大きな影響を世界の排出量に及ぼすことになります。」と述べている。

注:平均的な石炭火力発電設備の発電容量は350メガワット(MW)であるが、ほとんどの発電所はこのサイズの発電設備を2基またはそれ以上有している。

参考情報

レポート全文はこちら(EndCoalへのリンク)(英語PDF)(日本語PDF
EndCoalの要約一覧(Summary Statistics)はこちら
グローバル石炭発電所トラッカー(Global Coal Plant Tracker)による分析方法はこちら

執筆団体

シエラクラブ(Sierra Club)について

シエラクラブは、会員と支援者数が350万人を超える全米で最大規模を誇る草の根環境保護団体であり、最大の影響力を有している。シエラクラブは、さまざまな人々が自然や野外遺産を探訪する支援をするとともに、クリーン・エネルギーを推進し、地域社会の健全を守り、野生生物を保護し、残された自然をそのままの形で保護するために、草の根活動、公共教育、ロビー活動、法的措置などに取り組んでいる。(リンク

グローバルエナジーモニター(Global Energy Monitor)について

グローバルエナジーモニター(旧称CoalSwarm)は、化石燃料およびそれに代わるエネルギー資源に関する情報資料を共同開発している研究者のネットワークである。現行の活動としては、「グローバル石炭発電所トラッカー(Global Coal Plant Tracker)」、「グローバル化石燃料インフラトラッカー(Global Fossil Infrastructure Tracker)」、「コール・ワイヤー・ニュースレター(CoalWire newsletter)」などがある。(リンク

グリーンピース(Greenpeace)について

グリーンピースは、非暴力的で独創的な論争を通して、地球規模の環境問題に脚光を当て、環境に優しく平和的な未来に向けて欠くことのできない問題の解決に取り組んでいる、独立した組織団体である。グリーンピースの目的は多種多様なすべての生命を育ててくれる地球の恵みを守っていくことにある。ゆえに、グリーンピースは、すべての種類の生物の保護、海洋、陸地、大気、及び淡水域への汚染および乱用の防止、核脅威の絶滅、平和、世界的な軍縮体制および非暴力の促進に努めている。グリーンピースの活動は、環境問題に対する共同活動への参加の必須性を信じている活動家、サポーター、贈与者、およびボランティアらによって支えられている。地球は今、パラダイムを変化させる力を持った個人、コミュニティー、そして団体を今まで以上に必要としている。 (リンク