10秒後に新サイトが表示されます。
2020年9月29日より「Dont't Go Back to The 石炭!」のコンテンツは、「Japan Beyond Coal」に移行しました。URL:beyond-coal.jp

Don’t go back to the 石炭〜石炭火力発電に反対 |石炭発電|石炭火力発電|反原発

[:ja]大阪ガスの石炭火力発電ビジネスに厳しい視線[:]

[:ja]

「ガスはクリーン」とアピールしてきた大阪ガス、実は石炭推進!?

大阪ガス株式会社(本荘武宏社長)と言えば、知らない人のいない、関西圏の大手ガス会社です。ガスの供給事業者としておなじみですが、近年は電力小売全面自由化に伴い、一般家庭向けの電力事業も手がけています。「原発の電気を使いたくない」「電気代が安くなるのでは」と考え、電力契約を大阪ガスに切り替えた方もおられるでしょう。

さて、その大阪ガスのウェブサイトでは、天然ガスについて「温室効果ガスであるCO2の排出量も化石燃料の中で最も少ないことから、クリーンなエネルギーとして高い評価を得ています」と説明しています(実際、平均的な天然ガス火力発電の発電量あたりのCO2排出量は、高効率な石炭火力発電と比べて約2分の1です)。世界の温室効果ガスの実質排出ゼロをめざすパリ協定を達成するためには天然ガスであっても将来ゼロにする必要がありますが、それでも石炭より格段に環境負荷が低いことは事実です。

ところが、その大阪ガスは、「ガスがクリーン」と宣伝する裏で、ガスより安価という理由で、環境負荷の高い石炭火力発電事業で利益を得ようとしているのです。

山口県に大阪ガスが石炭火力発電所!?〜市民からは撤退を求める声〜

現在、大阪ガスは、山口県宇部市にて、「(仮称)西沖の山発電所」(60万kW×2基)という石炭火力発電所の新設計画に関与しています(大阪ガス、電源開発、宇部興産の3社が出資)。パリ協定が採択され、発効し、CO2排出削減や大気汚染防止が求められる中で、なぜあえて、いまさら石炭なのでしょうか?

もしこれが建設され、稼働すれば、今後数十年間以上にわたって、推計で毎年720万トンのCO2を追加的に排出することになります(720万トンは一般家庭144万世帯の年CO2排出量に相当)。環境大臣も、この計画には是認できないとの意見を表明したことがありますし、市民の間でも懸念の声があがっています。例えば、2018年6月には、30の市民団体が大阪ガス社長あてに、西沖の山発電所計画からの撤退を求める手紙を出しています。さらに、同年6月の株主総会当日、会場前で石炭計画からの撤退を求めるアクションも行われました。

現在、この計画は、環境への悪影響をチェックする「環境アセスメント」の制度のうち、最初の「方法書」という段階が終わったところです。一般的な環境アセスメントの進み具合であれば、2017年夏頃にでも、方法書の次の段階である「準備書」に進んでいてもおかしくないのですが、2018年8月現在、環境アセスメントの手続きは進んでいないままです。山口宇部の石炭計画に対する懸念の高まりによって、事業者が事業の見直しをしていることを期待したいと思います。

大阪ガス社長に、石炭計画からの撤退をお願いするはがきを出そう!

大阪ガスの供給エリアでもある関西地域では、大阪・京都・兵庫を中心に、大阪ガス社長に対してハガキアクションを行い、山口宇部の「西沖の山発電所」計画の中止を求めています。ぜひ参加してください。

▼はがきアクションの詳細はこちら

 

すでに大阪ガス子会社は石炭火力発電所2基を運転中〜環境アセスメント逃れ?〜

他方、大阪ガスの100%子会社で、大阪ガスグループの企業である「株式会社ガスアンドパワー」(伊藤宗博社長)は、すでに名古屋発電所(14.9万kW)、名古屋第二発電所(11万kW)という石炭火力発電所を運転しています。これらには大きく2つの問題があります。

第1に、「環境アセスメント」の対象外となるぎりぎりの規模であることにより、環境アセスメントをすり抜けて建設され、運転が始まったことです。石炭火力発電所の場合、15万kW以上は第1種と呼ばれ、必ず環境アセスメントを実施しなければなりませんし、11.25万kW以上は第2種と呼ばれ、事業ごとに環境アセスメントの必要性が判断されます。逆に言えば、11.25万kW未満の火力発電所は、環境アセスメントを実施する法的義務はありません(このことは法制度上の大きな問題で、規制強化が必要なところです)。名古屋発電所と名古屋第二発電所は、それぞれ第1種と第2種の基準をわずかに下回る規模に設計されたものであり、いわゆる「環境アセスメント逃れ」との批判を免れません。

第2に、環境負荷が大きいことです。いずれもバイオマス混焼で「クリーン」だと説明されていますが、名古屋発電所についてはバイオマスの混焼割合が5%で操業しているとされています。また、名古屋第二発電所のようにバイオマスを3割混ぜたとしても、年間のCO2削減量は、約20万トンです。残り7割は石炭で、ガス火力と比べて大気汚染物質も多く排出されます。環境負荷が甚大であることには変わりありません。

「ガス会社の電気を選べば脱原発」は間違っていた!?

電力自由化後、「脱原発を応援したいから、とりあえず関西電力をやめて大阪ガスにした」という方もいるようです。しかし、日本ガス協会の会長である広瀬道明氏(東京ガス社長)は、就任の記者会見において「ガス会社にとっても原発は再稼働してもらう必要がある」と話したと報じられました(2018.6.14日経新聞)。日本ガス協会の副会長は、大阪ガス社長の本荘武宏氏です。

大阪ガスのように、クリーンなエネルギーを標榜しながら、原発再稼働を支持し、石炭火力発電をも手がけている。果たして、そのような企業の電気を選ぶことは、脱原発、または脱石炭になるのでしょうか?

脱原発・脱石炭で、サステイナブルな大阪ガスに

原発の事故リスクや、核廃棄物の問題をこれ以上悪化させないために、パリ協定のもと脱炭素をめざすために、そして大気汚染公害の教訓を踏まえてきれいな青空を次世代につたえるためには、脱原発・脱石炭に舵を切ることが不可欠です。
そのためには、大阪ガスは、石炭との「切っても切れない関係」を断ち切るべきです。大阪ガスとそのグループ企業は、再生可能エネルギーの電源開発にも取り組んでいます。再エネ100%の方向にこそ、めざすべき未来があります。
サステイナブルなエネルギーを供給できないエネルギー企業の経営が、サステイナブルであるはずがないのです。

参考

プレスリリース】環境アセスメント逃れの小規模石炭火力発電所計画、汚染排出データ未公表のまま着工(2016/7/15)
大阪ガス株式会社プレスリリース 名古屋第二発電所の営業運転の開始について(2017/9/4)

 

[:]