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石炭火力は本当に安いのか? 政府報告書より

安倍政権は、石炭火力発電を推進する立場を取っています。と同時に、マスメディアでは石炭火力発電のコストは安いと報道されています。石炭火力は本当に安いのでしょうか?

異なる発電種類の発電コストを比較することは容易ではないです。
例えば火力発電の場合、その燃料単価が変われば当然ながら発電コストも変化します。また初期設備投資額が大きな発電所の場合、その発電所をどれぐらいの期間にわたり運転するかにより、その減価償却費が異なります。
よって、一定の条件(仮定)を置いたうえで、初めてコストの比較が可能となります。

2012年、政府は「コスト等検証委員会」を設置し、発電の種類ごとの発電コストを比較検証し、報告書をまとめています(*)。図1は、その試算結果から、石炭火力発電とLNG火力発電のコスト比較を抜粋したグラフです。

コスト
資本費.pdf

これを見ると、石炭とLNGのいずれも燃料費が最も大きな比率を占めていることが分かります。また、LNGではその比率が7割以上を占めるのに対して、石炭は資本費やCO2対策費が比較的大きな比率を占めています。
燃料費は、石炭の方がLNGよりも安いが、発電コスト全体を見ると、2010年モデル同士での比較では石炭9.5円、LNG10.7円で11%の差、2030年モデル同士での比較では石炭10.3円、LNG10.9円で6%ほど石炭火力が安いにすぎず、それほど大きな差があるとは言えないと思います。
1割程度のコスト差であるならば、盲目的に石炭火力を推進するものでもないと思います。コストは、より慎重に検証されなければなりません。

しかも、試算条件を少し変えるだけで両者のコストは簡単に逆転します。
上述の政府モデルでは、CO2価格は2020年に30ドル/トン-CO2、2030年に40ドル/トン-CO2、と推計されています。ここではこのCO2対策費を少し変更してみます。
仮にCO2対策費を1.8倍し、2020年に54ドル/トン-CO2、2030年に72ドル/トン-CO2で試算したものが図2のグラフです。この試算の場合、2010年モデルで石炭火力とLNG火力が同単価、2030年モデルでは石炭火力のほうがLNG火力よりも0.8円程度高い結果となりました。

コスト2

つまり、石炭火力が「安く見える」のは、適正なCO2対策費を計上していないために過ぎないことが分かります。CO2対策費を計上しないということは、そのツケを将来世代に先送りしているに過ぎません。
今後、環境政策が適切に強化された場合、石炭火力発電事業者は突然、そのCO2対策費を計上する必要が生じます。コスト競争力の劣る石炭火力発電所を持つことのリスクを最もよく分かっているのは、発電事業者自身であるはずです。
石炭火力が安いという思い込み、古びた「伝説」は捨て去らなければなりません。

(*) 試算の詳細は、「コスト等検証委員会報告書」を参照して下さい。主な条件としては、「割引率3%、設備利用率80%、稼働年数40年」となっており、この3条件は石炭火力とLNG火力で共通です。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/npu/policy09/archive02_hokoku.html