石炭発電の問題

ファクトシート1:石炭火力発電をめぐる問題

作成:2014年2月3日・気候ネットワーク、平田仁子 (PDFリンク

「電気」と地球環境

 人々の暮らしに欠かせない「電気」

さまざま用途でつかわれる「電気」は、私たちの暮らしや産業にとって欠かせない。しかし世界には、まだ電気を利用することができない環境にある人たちが13億人もいる。エネルギー貧困から脱することは、世界の多くの国・人々の発展のために重要なことである。

地球環境をこわす「電気」 ~ 気候変動

「電気」を作る方法の主力は、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を使う方法である。化石燃料の利用は大量の二酸化炭素(CO2)を排出する。そのことが、地球環境のバランスをくずし、気候変動(地球温暖化)問題を引き起こすことになった。

産業革命以来のCO2などの排出によって、これまでに地球の平均気温は、工業化前と比べて0.85℃上昇し、2100年までには1.15~5.65℃上昇すると予測されている。この気温上昇が、熱波や氷の溶解、干ばつや洪水といった異常気象を引き起こし、人々の暮らしや経済基盤をおびやかす。特に貧しい国の人々ほど、大きな影響をうけることになる。国連ではこの気温上昇を2℃を下回るよう目指している。

持続的な「電気」へのシフト ~ 石炭でも原子力でもなく

「電気」を作ることは、CO2排出の大きな原因の一つである。そのため、「電気」の作り方を、化石燃料から、風や太陽など環境に負荷を与えないエネルギーに切り替えていかなければならない。また、福島第一原発事故の経験から、化石燃料だけでなはなく、原子力発電が持続的ではないことは明らかである。危険な放射性廃棄物を将来にわたって残し、リスクの大きい原発で「電気」を作ることは、人々の豊かな暮らしを支えるものとはいえない。

石炭火力発電の問題

石炭火力発電は、たとえ最新鋭でもなお汚い。

化石燃料である石油・石炭・天然ガスを燃やして「電気」を作る場合、いずれも多くのCO2を排出するが、なかでも石炭はとびぬけて多くのCO2を排出する。

日本では現在、さまざまな高効率の石炭火力発電技術が開発されているが、いずれの技術も、従来よりは良くなっても、なお最も多くCO2を排出する発電方法であることは変わりない。ようやく実用化されつつある石炭のガス化の技術(IGCC)ですら、天然ガスの2倍以上のCO2を排出する。気温上昇を2℃以下に抑制するためには、気候変動問題の最大の要因の一つである石炭火力発電の利用を抑制するしかない。

石炭_CO2

石炭火力発電の抑制への動きと、逆行する日本

諸外国の動向

各国では、世界の石炭火力発電の利用を減らしていくために、税金をかけたり、CO2排出量の上限を定めたりする政策を導入している。アメリカやEUなどの先進主要国の公的金融機関は、これからはCO2排出を処理する技術(CO2固定貯留技術)などを備えない限り国内で新しい石炭火力発電所を建設してはならないという考えを示している。また、アメリカ、北欧、EUなどは、途上国への融資においても、石炭火力発電への融資は基本的にやめる方針である。

石炭火力発電を推進する日本

これに対し日本は、今後も日本国内で(CO2排出を処理する技術を備えなくても)高効率の石炭火力発電技術をも建設していく計画を立てている。石炭火力発電所の建設が福島の復興を支えるとして、福島での建設計画も打ち出している。これらの計画は、日本の将来のCO2排出削減を決定的に困難にする懸念すべきものである。

それだけでなく、日本は途上国を中心に、世界の国々に対して積極的に石炭火力発電技術を輸出することを、日本の経済成長戦略に位置づけている。その方針の下、国際協力銀行は、世界最高額の石炭火力発電の融資を行っている(→ファクトシート2)。一部の個別案件では、気候変動問題や各地の地域の人々への人権・環境配慮を欠いたまま、計画が進められている(→ファクトシート3)。

日本の、そして国際協力銀行(JBIC)の方針転換が、世界の地球環境を守る

深刻な影響があるのになお石炭火力発電を世界に広げていこうとする日本の方針は、地球環境の今以上の破壊をもたらす。それを回避するために、日本、そして国際協力銀行(JBIC)はただちに、その方針転換を図らなくてはならない。そして、石炭や原子力という大規模集約型の発電方法から、地域分散型の再生可能エネルギーを中心とした支援に切り替え、途上国のこれからの発展を支えていくことが求められている。