JBIC事業の問題

ファクトシート3:JBICが支援する石炭火力発電所事業の概要と問題

第1部 JBICが支援する石炭火力発電所と国内発電所の公害対策の比較

更新:2016年10月17日更新、国際環境NGO FoE Japan 波多江秀枝(PDF

JBIC等が支援する石炭火力発電所のうち、環境影響評価等の関連文書が入手できた15件(検討中3件、見込み2件を含む)について、二酸化硫黄、窒素酸化物、ばい塵に係る公害対策、排出濃度を調べ、同様の関連情報を入手できた日本国内の石炭火力発電所5件と比較したところ、JBIC等の支援案件の発電所における各排出濃度が国内の発電所のものよりも非常に高い傾向にあることが明らかとなった(別表参照)。特に、運転開始の時期に注目すると、各JBIC等支援案件の運転開始時期にすでに国内の発電所で導入されていた当時の「利用可能な最良の技術(Best Available Technology: BAT)」が、すべてのJBIC等支援案件において導入されていないことがわかる。

JBIC等支援案件で性能の劣る公害対策技術しか導入されていないことは、各JBIC等支援案件の影響を受ける地域住民が、日本の住民よりも高濃度の危険な汚染物質に晒されており、彼らの健康、および、同地域の農作物の生産性等がより深刻な悪影響を受けている可能性があることを意味している。

このように、JBICなどは、融資案件において、BAT、あるいは、グッド・プラクティスの導入を支援しているとは言えず、また、JBIC等支援案件の周辺地域に暮らす住民の健康に十分な配慮がなされるよう、JBICやJICAとして事業者に対策を求めたり、影響力を行使するなど、必要な措置をとっているとは言えない実態がある。また、JBIC等支援案件の周辺地域の住民が、日本の住民が晒されているレベルよりも、非常に高いレベルの汚染物質に晒されていることは、日本の官民が国内外のダブル・スタンダードに甘んじていることの証左であり、JBIC等支援案件の影響を受ける地域住民にとっては、受け入れがたいことである。

別表:JBIC支援(予定)の海外の石炭火力発電所と日本の石炭火力発電所との環境対策技術比較(PDF

第2部 各地の事業の問題及び地元住民・NGO等の取り組み

国際協力銀行(JBIC)が融資を検討あるいは支援をしている石炭火力発電事業では、気候変動への影響、現地の環境破壊、農業・漁業など住民の生活手段への影響、住民の健康保全などに関し、さまざまな環境社会問題が指摘されている。こうした問題に対して懸念の声をあげる地元住民が、当該国の警察・軍から嫌がらせや脅迫を受けるなど、深刻な人権侵害が生じているケースもある。

JBICが支援しようとしている石炭火力発電事業は、地元住民らの要望に応えたものとは限らない。JBICは、多額の公的資金を投じ、海外の石炭火力発電事業の推進に大きな役割を担ってきたが、今後は現地住民の意見を 受け止めるとともに、脱石炭に向かう世界の動向に目を向け、石炭火力発電事業への融資を止めることが求められている。

以下に、個別の事業の問題、各地の事業に対する地元住民・NGO等の取り組みについて紹介する。

インドネシア・中部ジャワ州バタン石炭火力発電事業

インドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業

インド・メジャ石炭火力発電事業

インド・クドゥキ石炭火力発電事業

インド・ダリパリ石炭火力発電事業

ベトナム・ハイフォン石炭火力発電事業

ミャンマー・アンディン石炭火力発電事業

ミャンマー・ガヨーカウン石炭火力発電事業

ミャンマー・タラブウィン石炭火力発電事業

クロアチア・プロミンC石炭火力発電事業

モンゴル・ウランバートル第5熱電供給プラント(CHP5)建設事業

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