諸外国の活動

各国政府と国際金融機関の動向

2014年2月12日:アジア開銀がパキスタンの石炭火力発電所に9億米ドル融資した。
パキスタンのジャムショロ石炭火力発電事業への支援の是非を巡って、アジア開発銀行の理事会で各国理事の間で対立が表面化した。投票の結果、米国・フィンランド・デンマーク・オランダ・ノルウェー・スウェーデンの理事が反対票を投じ、オーストリア・ドイツ・ルクセンブルク・スイス・トルコ・英国の理事が棄権票を投じた。日本他の理事は賛成に回っており、プロジェクトへの融資は決定してしまった。
2013年12月12日:米国輸出入銀行が石炭案件の新ガイドラインを設定
米国輸出入銀行は、炭素集約度の高い案件について環境手続きとガイドラインを見直した。この動きはオバマ大統領の気候行動計画におけるCO2の排出に起因する汚染削減と輸出入銀行の方針との整合性を図るものである。新しいガイドラインでは、将来の石炭発電所の融資については二酸化炭素回収貯留(CCS)技術の導入を求める。一方、最も貧困な国のエネルギー需要を満たすために“柔軟性”も持たせるとしている。
2013年12月10日:欧州復興開発銀行が石炭融資の制限を発表
欧州復興開発銀行(EBRD)は石炭火力発電への融資を制限すると発表した。一方、最も低炭素で、「極めて例外的な条件」では、入手可能な最新技術(BAT)のインフラが使用される場合の石炭火力発電所計画支援の必要性も否定はしていない。
2013年9月20日:米国環境保護庁は新規石炭発電所の規制案を提案
米国環境保護庁(EPA)は、気候変動と公衆衛生に取り組む手段として、大気浄化法に基づく石炭火力発電所の排出基準を発表した。この基準設定は、オバマ大統領の気候行動計画の一部に含まれている。EPAが提案した新規の石炭火力発電所の規制基準は、最もクリーンな技術の採用というだけでなく、CCSの導入も求める水準となる、約500g/kWh (1,100g/MWh)と厳しいものである。
2013年9月4日:米国と北欧5カ国が気候変動と闘うための声明を発表
アメリカと北欧5カ国(デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン)は、気候変動に立ち向かうための共通目標を含む共同声明を発表した。声明の一部では、北欧の5カ国が、例外的な場合を除いては海外の石炭火力発電所への公的な融資を終わらせるとしたアメリカと同じ立場に立つとしている。さらに、アメリカと北欧5カ国は、他の国からの支援を得、多国間の開発銀行が同様の政策をとるために一緒に働きかけを行うとしている。
2013年7月25日:欧州投資銀行が石炭火力発電所の融資基準を見直し
欧州投資銀行は、気候変動に立ち向かうためのより強力な手段をとるために、「欧州投資銀行とエネルギー:成長と安全、持続可能性に向けて」(European Investment Bank “Energy Lending Criteria”)と題したエネルギー製品のための新基準を公表した。ここには、火力発電所に関してはEUと外国の案件の両方で550g/kWhとしたCO2排出制限も含まれている。この基準ではバイオマス混焼技術とCCS利用を除くすべての石炭火力発電所は対象にならない。
2013年7月18日:米国輸出入銀行がThai Binh第2石炭火力発電所への融資を停止
米国輸出入銀行の理事会はベトナムのタイビン第2火力発電所への融資停止を決定した。この1,200MWの発電所がもたらす潜在的なCO2排出量が主要な懸念だったためである。この案件は、オバマ大統領の気候行動計画が実行された最初の例となる。環境保護団体はオバマ大統領宛に、この発電所は大統領の気候行動計画と輸出入銀行の環境政策に反するものであるという内容の手紙を事前に提出していた。
2013年7月6日:世界銀行が石炭融資を制限
世界銀行は「すべての人々ための持続可能なエネルギーの未来へ」(Toward a Sustainable Energy Future for All: Directions for the World Bank Group’s Energy Sector)と題した報告書を発表した。その中で世界銀行は、例外的な状況においてのみ石炭火力発電所の建設案件を融資するとしている。これは石炭以外に適した代替エネルギーがない事案を含み、またこれらの案件は、2010年に発表された「開発と気候変動の戦略的枠組の下での石炭案件のスクリーニング基準」(Operational Guideline for World Bank Groups Staff “Critaria for Screening Coal Progress under the Strategic Framework for Development and Climate Change)に照らし合わされる。
2013年6月25日:オバマ大統領が「気候行動計画」を発表
アメリカのオバマ大統領は、CO2排出削減、エネルギー消費量の抑制、そして代替エネルギーの促進のための「気候行動計画」(The President’s Climate Action Plan)を発表した。大統領は、環境保護庁を通じて、アメリカは既設と新規の石炭火力発電所に対しさらに厳しいCO2排出基準を設定するとしている。また、他の国や国際金融機関にも同じような政策をとるよう呼びかけている。ただし最も貧しい国において経済的に実行可能な代替手段がない場合の例外は設定される。

科学者たちからの声明

2013年11月18日:27の科学者が「高効率石炭火力」の主張に反論
世界から集まった27の科学者たちは「CCSなしの石炭火力は温暖化の気温上昇を2度以下で抑えようとする方針と相容れないものである」(New unabated coal is not compatible with keeping global warming below 2 °C )と石炭協会の主張に反論した。

石炭融資を終わらせるためのNGOと市民社会の動き

コソボ:ユニット6、Kosovo Aにおける600MW級石炭火力発電所のリプレースへの市民社会の反対(2013-)
コソボ市民社会コンソーシアムはアメリカのケリー国務長官に対して、世界銀行がコソボの新規亜炭の火力発電所への融資をとりやめるよう働きかけるように求めた書簡 (Kosovo groups ask for U.S. help to stop coal-fired power project) を提出した。この20億ドル(約2050億円)の新しい600MWの発電所は、2017年に引退するコソボA基のリプレースのためのものである。世界銀行と欧州復興開発銀行は、両方の金融機関が石炭火力発電所に対して厳しい基準を設定したにもかかわらず、この計画の融資を停止するかどうかについてはまだ決定をしていない(A Lesson for Dr. Kim and the World Bank as It Ponders the Kosovo Coal Project)。
クロアチア:プロミンC石炭火力発電所への反対運動(2012-)
2012年の10月からバンクウォッチ、地元のNGOであるZelena Akcija(地球の友のメンバー団体)そして地元住民と協力しているGreen Istriaが、クロアチアの法廷でクロアチアのラビンにあるプロミンC (Plomin coal power plant)と呼ばれる石炭火力発電計画について反対運動を行っている。発電所に対する訴状では、このプロジェクトが、国の土地利用計画に対し違法である旨と、潜在的な環境と健康へのリスクについての訴えが含まれている。
ボスニア・ヘルツェゴビナ:トゥズラ石炭火力発電所計画への懸念(2012-)
ボスニア・ヘルツェゴビナでは、トゥズラ発電所の敷地に450MW級の石炭火力発電所の建設が予定されいる。コストは約11.4億ドル(約1167億円)となっている。これに対し最終的に残った入札予定者(UPDATE 1-Two bidders left for Bosnian 450 MW coal fired project) が、中国系のコンソーシアム(China Gezhouba Group Corporationを含む)と日本の日立である。中央・東ヨーロッパ・バンクウォッチネットワークおよび、ボスニア・ヘルツェゴビナ環境センターといった地元NGOはこの案件への融資を停止させようと活動を行っている。
インドネシア:ベタン石炭火力発電所(2011)
グリーンピース・インドネシアと地元住民たちは、JBIC No Coal! Go Green! プロジェクトにおいても問題視しているバタン石炭火力発電所計画への反対 (Fact Sheet,doc) を続けている。2011年に石炭火力発電所が最初に発表されてから、地元住民とNGOは懸念を表明してきた。2013年には計画への抗議のために、ジャカルタの日本大使館の前に人々が集まり、安倍晋三首相に対し2,000MW級の火力発電事業を中止することを求めたッセージを渡した。この出来事の後、地元の軍と警察は暴力的に抗議を行う人々を弾圧し、結果としてけが人が発生する事態となった。