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パリのOECD本部で海外石炭火力発電への公的支援の是非を巡って市民社会とのコンサルテーションが開催

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2014年11月18日、パリのOECD本部で輸出信用部会のCSOコンサルテーションが開催された。OECD輸出信用部会とは国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)などの公的金融機関の融資基準や条件を調整するための会議で、通常は非公開で交渉が行われているものの、年1回、NGOや産業界の代表を招いて対話が行われている。今回のコンサルテーションには、政府関係者、NGO、産業界など100名以上の参加があった。

今回の中心的なテーマは、公的金融機関による海外の石炭火力発電事業への支援方針であった。NGOからは、WWF EuropeのSebastien Godinot氏から中国による取り組みの進展、CCSの現状、石炭火力発電事業への支援条件のオプションなどが提示された。続いてFoE USの Doug Norlen氏から、気候変動の国際目標を達成するためのエネルギー開発のあり方やNGOの共同声明の紹介があった。JACSESの田辺からは、日本のNGOの共同提言書に基づいて、排出基準の設定に反対している日本政府の立場の問題点について紹介した。

一方、European Power Plant Suppliers Association(EPPSA)などの産業界からは、中国が参加していない中では時期尚早であるとしてOECD各国による公的支援継続の要請があった。各国の政府関係者は聞き役に徹しており、NGOや産業界の発表に対する具体的な返答はなかった。日本政府からは、経済産業省、財務省、外務省から10名以上の政府関係者が出席しており、この問題に対する関心の高さ(危機感)が感じられた。

コンサルテーション開催前には、冒頭の写真の通り、OECD本部前でNGOによるダイレクトアクションが行われ、政府関係者が入場するゲートに巨大な操り人形とバナーを設置した(OECDが産業界に操られているという意味のようだ)。

公的金融機関による海外の石炭火力発電事業への支援方針については、2015年12月に同じくパリで開催されるCOP21までに策定することが期待されており、今後の交渉進展が注目される。ただ、OECDでの交渉は原則非公開となっているため、具体的な進捗は明らかになっていない。

今回、OECDでのコンサルテーションに初めて参加したが、環境や社会問題に関する重要なテーマを議論しているにもかかわらず、市民社会に開かれているのは年1回、3時間半のコンサルテーション(しかも意見表明のみ)ではあまりに閉鎖的すぎると感じた。OECDの交渉の透明性向上も必要だろう。

文責:「環境・持続社会」研究センター(JACSES)田辺有輝