インドネシア住民・NGOが「再」環境訴訟を開始! 日本の官民が進めるチレボン石炭火力・拡張計画 地裁で環境許可取消も、疑問の残る新許可で事業強行

2017年12月4日

12月4日、日本の官民が推進するインドネシア西ジャワ州・チレボン石炭火力発電事業・拡張計画(※)について、現地住民・NGOが、新しく発行された環境許認可の有効性を問う行政訴訟を再び起こしました。今後、バンドン地方行政裁判所で来年1月から公判が開始され、4月には判決が出される見込みです。

 

 

 

 

 

(写真)新たな環境許認可の有効性を問う訴状をバンドゥン行政裁判所に提出する住民弁護団(2017年12月4日)

同事業では稼働中の1号機により、小規模な漁業や塩づくりなど住民の生計手段にすでに甚大な被害がもたらされてきました。住民はさらなる被害を食い止めようと、2016年12月、拡張計画(2号機)に反対する環境訴訟を地元で開始。その結果、2017年4月19日の判決で2号機の環境許認可は取消され、拡張計画が違法であることが確定しました。

しかし、丸紅やJERA(東京電力と中部電力の合弁会社)が出資する事業者は、2017年7月に現地住民・NGOが知らぬ間に新たに発行された環境許認可を根拠に、現在も拡張計画の建設作業を続けています。また、住民勝訴の判決一日前に融資契約を締結という前代未聞の決定を行なった国際協力銀行(JBIC。日本政府100%出資))と民間銀行は、新許認可に対する住民訴訟が再び起こされることを知りつつ、2017年11月14日に拡張計画への融資の支払いを始めました。

こうした動きは、ドイツ・ボンで開催されたCOP23の期間中であったこともあり、日本が世界の脱炭素化の流れに逆行して石炭火力発電所への投融資を続けていることに対し、改めて国際的な非難の目が向けられることにもなりました。

日本政府やJBICは、訴訟で一度勝利し、それでも計画が止まらず、さらに現在、新許認可の有効性を問う環境訴訟を再び起こした現地住民の意見・権利を尊重し、同拡張計画への融資供与を早急に見直すべきです。

以下、現地NGOのプレスリリース(和訳)です。

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プレスリリース
インドネシアの住民と環境団体が現地政府を提訴
チレボン石炭火力事業・拡張計画の新たな環境許認可の有効性に疑問

要点:
・ バンドゥン地裁によって違法と宣言された旧許認可の代わりに、新しい環境許認可が2017年7月17日に事業者であるチレボン・エネルギー・プラサラナ社(CEPR社)に対して発行された。バンドゥン行政裁判所は、地方空間計画に違反が見つかったため、同許認可は「法的に欠陥がある」と宣言した。
・ 環境団体は、新しい環境許認可が、環境に関する2009年法律第32号で規定されている司法手続きや内容に違反していることを確認した。特に、上述の「法的欠陥」への対処がなされていない。
・ 新しい環境許認可は、協議会も一切開かれぬまま、透明性、アカウンタビリティー、参加を確保した形での意思決定の原則を完全に無視して発行され、違法な石炭火力発電所の建設が遅れることがないよう、性急な形で発行された。

2017年12月4日バンドゥン発 ― 国際協力銀行(JBIC)と韓国輸出入銀行(KEXIM)がインドネシア西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業・拡張計画に対する1回目の貸付をすでに行なったなか、同事業に対する新たな訴訟が起こされた。

住民とインドネシア環境フォーラム(WALHI)は同西ジャワ州支部を通じ、バンドゥン法律扶助協会(LBH)、および、コミュニティーや草の根組織とともに、2017年12月4日、訴状を提出した。

同訴訟は、1000 MWの拡張計画を進める事業者に対し発行された環境許認可に対し、同原告団の異議を表明したものである。同許認可は、2017年4月のバンドゥン行政地裁によって違法と宣言された旧・許認可の代わりに発行されたものである。

同訴状は、気候正義のための提言チームにより正式にバンドン行政裁判所に提出され、被告は西ジャワ州投資・ワンドア統一サービス局となっている。

新しい環境許認可は、チレボン拡張計画について環境面での問題はないと7月13日に宣言した同局の決定に続き、7月17日に同局により発行された。

気候正義のための提言チームのWilly Hanafiは、「西ジャワ州投資・ワンドア統一サービス局は環境許認可の発行にあたり、手続きに従わなかった。また、旧・環境許認可に関する先の訴訟において指摘した影響を受けるコミュニティーの参加について、実質的な改善を図る意思もなかった。」と述べた。

同許認可は、住民参加がまったくないなか発行されており、環境アセスメントや環境許認可の手続きにおいて、住民参加を要件としている2012年大臣規則第17号に明確に違反している。

チレボン石炭火力発電所の拡張計画は、チレボン・エネルギー・プラサラナ社によって進められ、日本の輸出信用機関であるJBICが主に支援している。JBICは、インドネシア法を尊重する市民社会の注意喚起もあり、議論を呼んでいる同事業の司法問題を以前から認識してきた。

JBICは、同事業に対する貸付を一時停止し、同事業の評価を行なうために専門家も活用してきた。このことは、同事業が違反している法律について、JBICがよく知っていることを示している。

同事業に対する別の融資者は、韓国輸出入銀行である。韓国で最近あった国家監査において、韓国輸銀の総裁は、戦略金融委員会から海外の石炭関連事業への投資リスクについて質問を受けている。

一方、WALHI西ジャワ州支部代表のDadan Ramdanは、「チレボン石炭火力・拡張計画に対する許認可の発行は、手続的にも実質的にも不備がある。」と述べた。彼は、同事業に融資するJBICとその他の銀行団が今回の訴訟を受けて貸付を止めるよう求めるとともに、注意喚起を行なった。「私たちは、環境に影響を及ぼすだけの石炭火力発電所を必要としていない。」と彼は述べた。

連絡先:
• WALHI西ジャワ州支部 Dadan Ramdan
• バンドン法律扶助協会(LBH) Willy Hanaf

 

(※)インドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業
1号機は、丸紅(32.5%)、韓国中部電力(27.5%)、Samtan(20%)、Indika Energy(20%)の出資するチレボン・エレクトリック・パワー社(CEP)がインドネシア国有電力会社(PLN)との間で30 年にわたる電力売買契約(PPA)を締結。総事業費は約8.5億米ドルで、融資総額5.95億ドルのうちJBICが2.14億ドルを融資した。2012年に商業運転が開始されている。2号機は、丸紅(35%)、JERA(10%)、Samtan(20%)、Komipo(10%)、IMECO(18.75%)、Indika Energy(6.25%)の出資するチレボン・エナジー・プラサラナ社(CEPR)がPLNとの間で25年にわたるPPAを締結。総事業費は約22億米ドルにのぼり、うち8割程度について、JBIC、韓国輸銀、日本・オランダの民間銀行団が融資を供与する(JBICはうち7.31億ドル)。現場では本格着工に向け、アクセス道路の整備や土地造成作業などが進められており、2021年に運転開始見込み。