【緊急声明】チレボン拡張計画 住民訴訟を目前に控えたJBICの拙速な貸付に厳重抗議 ―違法・気候変動リスクも軽視し、事業ありきで丸紅・JERA支援―

本日、日本の官民が推進してきたインドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業の拡張計画(1000 MW。丸紅、JERA出資)について、国際協力銀行(JBIC)が1回目の貸付を行ないました。来週には、同事業に反対する住民・NGOグループが同拡張計画に関する訴訟を開始予定のなか、住民の懸念や権利、また、違法リスクを軽視しつづけるJBICの拙速な融資の貸付に対し、NGO3団体より以下の緊急声明を発出しました。

(写真)4月19日、バンドゥン地裁前で判決を待つカンチ・クロン村の原告住民ら

 

 

 

以下、緊急要請の本文です。

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2017年11月14日

国際環境NGO FoE Japan
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
気候ネットワーク
【緊急声明】 インドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業・拡張計画
住民訴訟を目前に控えたJBICの拙速な貸付に厳重抗議
―違法・気候変動リスクも軽視し、事業ありきで丸紅・JERA支援―

11月14日、国際協力銀行(JBIC)は、インドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業・拡張計画(1000 MW。丸紅・JERAが出資)に対し新たに発行された環境許認可の有効性が依然問われているなか、初回の融資貸付に踏み切りました(JBICの融資契約額は7億3100万ドル)。

来週には、同計画に反対する住民・NGOグループが新しい環境許認可の取消しを求める行政訴訟を開始する予定であり、同計画は、現地国法、および、JBIC自身のもつ『環境社会配慮確認のためのJBICガイドライン』(ガイドライン)に違反する可能性があります。現地住民による訴訟を軽視する姿勢は後述する融資契約の締結時と同様です。今回、JBICは10月にインドネシア現地で同住民・NGOグループと会合を持ち、住民の懸念や違法リスクについて直接意見を聞いたばかりでした。しかし、それにもかかわらず、同計画の推進ありきで貸付を行なったJBICの決定は拙速であり、このように住民の声や権利、および、違法性を軽視し続けるJBICに対し、私たちは強い抗議の意を表明します。

また、JBICの今回の貸付は、ドイツ・ボンで開催中の第23回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP23)で、パリ協定に沿った劇的な炭素排出削減に向けて議論を続けている世界の各国政府・企業・市民社会の努力に水を差すものです。同チレボン拡張計画は、気候変動対策の観点から石炭火力発電所への融資撤退を決めた仏クレディ・アグリコル銀行がすでに銀行団からの撤退を決めた案件でもありますが、結果として、世界の脱炭素化の流れに逆行する日本の官民が同計画の推進を支える形となっています。JBIC、および、協調融資を行なうみずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行は、国際的に厳しい目が向けられていることを認識すべきです。

JBICは今年4月18日、2016年12月に住民が元の環境許認可(2016年5月発行)の取消を求めて訴訟を起こし、違法リスクについて繰り返し注意喚起していたにもかかわらず、地裁の判決一日前に融資契約を締結という前代未聞の決定を行ないました。しかし、翌19日に住民勝訴の判決が出され、元の環境許認可の取消しが宣言されたことから、JBICは今日まで融資の貸付を控えざるを得ませんでした。同訴訟は被告である西ジャワ州政府が一旦控訴したものの、8月には控訴が取り下げられ、判決内容は確定に至っています。

融資契約では通常、JBICガイドラインの遵守が貸付の要件として含まれており、同ガイドラインでは、「相手国及び当該地方の政府等が定めた環境に関する法令の遵守」や「相手国政府等の環境許認可証明書の提出」が規定されています。

JBICが今回、貸付実行に問題はないと判断した根拠となっている新しい環境許認可(2017年7月17日発行)は、元の環境許認可の改訂を事業者が申請したために発行されたものです。しかし、元の環境許認可は地裁の判決に基づき無効であることから、この「無効な」許認可の改訂プロセスを進めることに対し、疑問の声が上げられてきました。インドネシアの法令や規則には、無効となった環境許認可を改訂するための手続きは一切規定されていません 。

また、新しい環境許認可の発行前には住民協議が行なわれておらず、非常に不透明な形でプロセスが進められており、インドネシア国内法の手続きにも則っていないことが指摘されています。この点も、事前に十分な情報が公開されたうえで、地域住民等との協議を行なうよう規定するJBICガイドラインに違反しています。

チレボン石炭火力発電事業では、すでにJBICが融資を供与して稼働中の1号機(丸紅が出資。660 MW)によって、小規模漁業、貝採取、製塩、農業などを生計手段とする住民の生活に甚大な影響が及んでいます。住民は2号機の同拡張計画が進み、発電所が建設・稼働することになれば、さらに被害がひどくなると懸念し、同拡張計画の中止を求めてきました。

日本政府・JBICは、住民や国内外の懸念の声、および、違法リスクを真摯に受け止め、これ以上、地域住民の生活・社会環境が悪化することのないよう、同拡張計画への貸付をこれ以上行なうべきではありません。また、国際的な石炭関連事業からの融資撤退(ダイベストメント)の動きを直視し、パリ協定の1.5度目標達成にも逆行する石炭火力発電所の輸出促進の方針をただちに見直すべきです。

以上

 

連絡先:国際環境NGO FoE Japan(担当:波多江)
Tel:+81 3 6909 5983 Email: hatae@foejapan.org

 

(※)インドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業
1号機は、丸紅(32.5%)、韓国中部電力(27.5%)、Samtan(20%)、Indika Energy(20%)の出資するチレボン・エレクトリック・パワー社(CEP)がインドネシア国有電力会社(PLN)との間で30 年にわたる電力売買契約(PPA)を締結。総事業費は約8.5億米ドルで、融資総額5.95億ドルのうちJBICが2.14億ドルを融資した。2012年に商業運転が開始されている。2号機は、丸紅(35%)、JERA(10%)、Samtan(20%)、Komipo(10%)、IMECO(18.75%)、Indika Energy(6.25%)の出資するチレボン・エナジー・プラサラナ社(CEPR)がPLNとの間で25年にわたるPPAを締結。総事業費は約22億米ドルにのぼり、うち8割程度について、JBIC、韓国輸銀、日本・オランダの民間銀行団が融資を供与する(JBICはうち7.31億ドル)。現場では本格着工に向け、アクセス道路の整備や土地造成作業などが進められており、2021年に運転開始見込み。

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