インドネシア・北カリマンタン州マリナウ炭鉱 JBIC融資停止を求める抗議アクション

9月8日、インドネシア・北カリマンタン州タラカン市、および、首都ジャカルタで現地NGOが、北カリマンタン州マリナウ炭鉱(出光興産出資。JBIC融資)における沈殿池の一部決壊に伴う河川の汚染被害、推定約30,000人が利用する飲料水の汚染被害、また、先住民族の生活への影響などについて抗議するアクションを行ないました。

今回のアクションは、JATAM(鉱山に関する提言ネットワーク)が中心となり決行。ジャカルタでは日本大使館前で、また、タラカン市では北カリマンタン州庁舎前でJATAMの他、ボルネオ・タラカン学生団体も加わり、同炭鉱の鉱業事業許可の取消しとJBICの融資停止を求めました。

 

 

 

 

写真:約100名がタラカン市中心部を歩き、北カリマンタン州政府庁舎前でマリナウ炭鉱の鉱業事業許可の取消しとJBICの融資停止を求める抗議アクションを行い(上2枚:視聴者前)、また、ジャカルタでも日本大使館前で抗議アクションを行いました。(下3枚:大使館前)

 (JATAM提供)

 

今回の沈殿池の一部決壊による水質汚染事故については、一度、地元政府機関からすでに関連企業に対する制裁措置も発せられています。

以下、現地NGO JATAMのプレスリリース(和訳)です。
—————————————————————————
JATAMプレスリリース

日本が関与する炭鉱に制裁措置
市民社会連合は鉱業事業許可の取消しと国際協力銀行(JBIC)の融資停止を求める

インドネシア・ジャカルタ発 – 鉱山に関する提言ネットワーク(JATAM)は、インドネシア政府が、北カリマンタン州マリナウ県のマリナウ川を汚染し、違反を犯した炭鉱企業4社に対し、行政手続上の制裁や一時停止措置を課すのみでなく、環境における深刻な刑事違反を犯している可能性について調査しなくてはならないと要請した。

マリナウ川を汚染したために炭鉱企業4社は有罪であると立証され、行政手続上の制裁を北カリンマンタン政府によって課せられた。4社はそれぞれ、第一段階の制裁を受けたPT. Arth Mart Kramo (AMNK社)、第二段階の制裁を受けたPT. Kayan Putra Utama Coal (KPUC社) 、および、PT. Baradinamika Muda Sukses (BDMS社)、また、60日の一時停止命令を受けたPT. Mitrabara Adiperdana(MA社)である。

これらの企業は、廃水管理違反を規定する2009 年法律第4 号(新鉱業法:鉱物石炭鉱業法)第96項から第98項に違反していることが立証され、2017年6月半ばから7月初めにかけて、水質基準に違反し、周辺環境、つまり、マリナウ川に廃水を放出した。

JATAMが入手した制裁文書によれば、企業はまた、2009 年法律第32 号(環境管理法)、2010年政令第55号(鉱業・炭鉱商業管理の開発と監督に係る政令)、2017年大臣規則第34号(鉱物石炭鉱業許可に係るエネルギー鉱物資源大臣規則)、環境汚染回避・管理から労働安全に至るエネルギー鉱物資源省の規則など、多くの規定に違反している。

「MA社は日本のエネルギー企業である出光興産が一部所有しており、JBIC(国際協力銀行)が融資を行なっているが、今回の事故に対する責任を有している。融資者として、JBICはマリナウの汚染に対する必要な対応を企業がとるよう、責任をとらなくてはならない。」JATAMの全国キャンペーナーであるMelky Naharは述べた。

JATAM北カリマンタンは、BDMS社からMA社が沈殿池を借用するプロセスが適切なプロセスを踏んでおらず、政府や社会に通知することなく、企業間で話を進めたと述べている。

「BDMS社とKPUC社の沈殿池が崩れて、マリナウ川を初めて汚染した2010年以来、私たちは、こうした汚染が人為的に繰り返し起きてきたのではと疑っている。」とJATAM北カリマンタンのコーディネーターであるTheodorus G. Immanuelは述べた。

Theodorusによれば、2010年にマリナウの地域住民がマリナウ川の汚染に対する抗議行動を行なったものの、2011年に同様の汚染が再び起き、マリナウ川とSesayap川が有毒な廃水で汚染された。2012年にも同様のことが繰り返し起きた。

「2017年7月4日、マリナウ川とSesayap川の汚染が再発したが、私たちは、BDMA社、MA社、KPUC社、AMNK社の4企業によって引き起こされたものだと疑っている。」とTheodorusは述べた。

この汚染の結果、インドネシア地方水道公社(PDAM)はSesayap川から導水していた水を3日間(2017年7月5、6、7日)、住民の消費用として使えなかった。

2017年7月6日、マリナウの保健所の所長は、「マリナウの飲料水は消費できない」と述べ、飲料水質の約款・監督に関する2002年第907号保健省令に言及している。同省令では、濁度が5 NTU(ネフェロ分析濁度ユニット)を超えてはならないとしているが、マリナウ川の濁度のレベルは1,993 NTUに達しており、基準の約399倍もの数値になっていた。こうした水が流れ続け、川は非常に濁った状態であった。これは2017年7月8、9日に起きたことだ。

マリナウのPDAMは、マリナウ県の5つの郡、および、23ヶ村に水を供給している。「水源が汚染されたことで影響を受けた住民は約30,000人と推定される。」とTheodorusは述べた。

マリナウ県の炭鉱活動が始まって以来、地域住民はさまざまな破壊的な力を感じてきた。特に環境に関連した問題であった。これらの炭鉱の事業権は居住地区に近接しており、二つの主要河川であるマリナウ川とSesayap川はマリナウの(人々の)日々のニーズを満たすために利用されている。

炭鉱企業によってもたらされた破壊的な行為は、まず、マリナウのPDAMが清潔な水を確保して、汚染された環境を回復するため、より多くのコストをかけなくてはならないことである。第二に、マリナウの住民はほぼ1週間にわたり、水に対する権利を奪われ、水の供給が完全に止まった3日後、2017年7月8、9日には泥まみれの水が流れ、住民の健康が危険に晒されたことである。

第三に、鉱山事業権の敷地内にあるダヤックのコミュニティーの村3つ、Punan Rian村、Langap村、Seturan村が移転させられている(1回の退去だった村もあれば、2回退去させられている村もある)。移転のプロセスや措置は曖昧にされ、同地域は鉱山のために切り開かれると言われた。これは人権侵害である。第四に、Sesayap川には希少な哺乳類であるカワイルカ(Pesut)が生息しており、生息地の汚染によって個体数が減少し、また、炭鉱活動により自由な移動ができなくなっている。

以前、2017年4月にJATAMは、MA社とBDMA社(どちらもバラムルチ・グループの一員)に関し、環境アセスメント(AMDAL)の策定において「コピーアンドペースト」が見つかったことなど、違反事例を環境林業省の法執行局長に報告している。

注:
Baca: Jatam Temukan Modus Salin Rekat Amdal Tambang Batubara di Kaltara (JATAM、北カリマンタンの炭鉱の環境アセスメント(EIA)で「コピペ」を発見)
Tanggul Limbah Jebol, Tambang Batubara Sokongan Jepang Cemari Sungai di Malinau (日本の関与する北カリマンタン州マリナウの炭鉱が河川を破壊)
Daftar Perusahaan Tambang yang Dihentikan Sementara di Kalimantan Utara (北カリマンタン州の炭鉱企業に対する一時制裁リスト)

ダウンロードはこちらから

【プレスリリース】日本が関与する炭鉱に制裁措置
市民社会連合は鉱業事業許可の取消しと国際協力銀行(JBIC)の融資停止を求める(PDF)
【Press Release】Japan’s Coal Mine Gets Sanctioned, Coalition of Civil Society Urge IUP to Revoke and Demand JBIC Stop Funding(PDF)

関連情報

関連動画 (Facebook)】沈殿池一部決壊に伴い、マリナウ川に流入する汚染水の様子(7月初)
関連情報】JBICプレスリリース(2016年12月22日)インドネシア共和国・マリナウ炭鉱の権益取得に対する融資