【報告書】「G20の化石燃料政策における言動不一致(原題:Talk is Cheap)」発表のご案内

G20諸国による化石燃料への巨額な投融資の実態
エネルギー事業に対する公的支援に関する初の分析報告書を公開

『G20の化石燃料政策における言動不一致:気候変動対策に逆行する巨額投融資の実態』
(原題:Talk is Cheap: How G20 Governments are Financing Climate Disaster)
http://priceofoil.org/2017/07/05/g20-financing-climate-disaster

2017年7月5日、オイル・チェンジ・インターナショナル、フレンズ・オブ・ジ・アースU.S.(FoE U.S)、シエラクラブ、および世界自然保護基金(WWF)ヨーロッパ政策オフィスが発表した新たな報告書により、G20諸国が、風力や太陽光などのクリーンなエネルギーに投資する額の4倍以上の公的資金を毎年化石燃料に投じていることが明らかとなりました。G20諸国による化石燃料への公的投融資額は年平均で718億米ドル、本報告書が調査対象とした2013年から2015年までの期間の合計額は2,153億米ドルに達していました。エネルギー事業に20加盟国が投じた全ての公的資金のうち50%は、石油およびガス開発関連に投じられています。
また,G20諸国のうち化石燃料への公的投融資額が最大だったのは日本であり、2013年~2015年の投融資額は、クリーンなエネルギーが年平均で27億米ドルであったのに対し、165億米ドルに上りました。

本報告書により、G20諸国における公的金融機関(海外開発援助機関や輸出信用機関など)および多国間開発銀行からエネルギー関連事業への公的支援に関する詳細が初めて明らかになりました。この調査によれば、エネルギー関連事業の資金拠出のうち、クリーンなエネルギーへの投融資は15%にすぎないのに対し、毎年、何百億ドルもの資金が石油・ガス・石炭関連企業に投じられています。さらに、最善の科学的知見によれば、気候変動を防ぐためのパリ協定の目標を達成するためには、少なくとも85%の化石燃料を地中に留めておく必要があると示されているにもかかわらず、G20諸国政府は毎年135億ドルもの公的資金を石油・ガス・石炭といった「燃やせない資源」の探査に過剰投資しています。この調査結果は、これらの国々の政府自らが高く評価したパリ協定が示す目標、特に低排出発展の方向に沿うように資金の流れを変えていくという目標に対して明らかに矛盾するものです。

「G20の化石燃料政策における言動不一致:気候変動対策に逆行する巨額投融資の実態(原題:Talk is Cheap: How G20 Governments are Financing Climate Disaster)」と題した本報告書は、リンク先のページにて閲覧可能です。また、本報告書の作成にあたっては、前述の共著団体に加えCANヨーロッパ、Urgewald(ドイツ)、Re:Common (イタリア)、国際環境NGO FoE Japan(日本)、気候ネットワーク(日本)、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)(日本)、および韓国環境運動連合(KFEM)(韓国)からも賛同を得ています。

「私たちの調査結果は、G20諸国がクリーンなエネルギーに移行すべき時が来たと言いつつ、いまだに投融資先を変えていないことを示しています。気候変動を否定するトランプ大統領に対抗してG20諸国の他の国々の政府が立ち上がり、真摯にパリ協定下の公約を守るのなら、時代遅れの化石燃料産業への公的支援を止めるべきです。」とオイル・チェンジ・インターナショナルのシニア・キャンペーナーで本報告書の著者の一人でもあるアレックス・デュカス(Alex Doukas)は述べています。「最善の気候科学は、早急にクリーンエネルギーへの投資に切り替える必要があると指摘していますが、G20諸国政府からの公的資金の流れは逆行しています。化石燃料への資金の流れを止め、支援先を変えさせなければなりません。」

報告書では、オイル・チェンジ・インターナショナルの” Shift the Subsidies”データベースを利用して、公的金融機関からの資金の分析を行いました。ここで対象とした公的金融機関とは、政府管轄あるいは政府支援を受けている金融機関であり、輸出信用機関や開発金融機関などを含んでいます。政府が意思決定権の過半を占める機関による国内および国際的な化石燃料探査と生産に対する補助金の交付、株式資本の投入、貸付金、保証および保険を重点的に調査しました。その結果として明らかになった、クリーンなエネルギー、化石燃料、その他も含むあらゆるエネルギー事業への公的資金の詳細を本報告書に記しています。

「G20諸国のリーダーは気候変動について協議するかもしれませんが、軽薄な内容になるのは明白です。」「自国における再生可能エネルギーへの投資をお互いに称賛し合いながら、発展途上国の汚い化石燃料事業に数十億ドルもの融資を行っているのです。G20諸国のリーダーによる化石燃料企業への公的支援は、人々の健康と地球環境を損なうことになるので、G20諸国は、汚い化石燃料からクリーンなエネルギーにシフトするとはっきり断言すべきです。」とFoE U.S.国際政策アナリストのケイト・デアンゲリス(Kate DeAngelis)は述べています。

本報告書は、化石燃料に公的資金を投入することは気候変動対策に3つの悪影響を及ぼすと示しています。まず一点目は、化石燃料への公的支援が「負の炭素価格」となって化石燃料の生産を促進するとともに、化石燃料生産の動機付けとなってしまうことです。二点目は、炭素を多量に排出する状況が固定化し、クリーンなエネルギーへのシフトをより困難かつ割高にしてしまいます。三点目は、本来経済的ではない汚いエネルギーを経済的に見せることで、補助金なしでは運営できない「ゾンビ」エネルギー事業を生み出してしまうことです。

「G20諸国がパリ協定を批准した時、世界が気候変動による最悪の影響を回避すべく、実効性のある解決策を取りつつ炭素排出量を削減すると約束を交わしました。にもかかわらず、我々が現在知る限り、G20諸国は矛盾したことを言っています。風力や太陽光のようなクリーンなエネルギーが容易に入手できるだけでなく、世界中の人々や地域社会にとってコスト面でも健康面でも優れている現状において、公的資金を石炭燃料に投じて無駄にし続けることは、どの国にとっても受け入れられるべきではありません。」と、シエラクラブ上級活動主任のニコル・ジヒオ(Nicole Ghio)は発言しています。

「政策決定者は、パリ協定によって公的資金を省エネや持続可能な再生エネルギーに振り向けなければならないことを再認識すべきです。そうすれば将来のエネルギー課題への効果的な答えが見つかることでしょう。」とWWFヨーロッパ政策オフィスのセバスチャン・ゴディノット(Sebastien Godinot)は述べています。

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プレスリリースのダウンロードはこちら(日本語
Executive Summary – 要旨(日本語

参考

Oil Change International “Talk is Cheap: How G20 Governments are Financing Climate Disaster” (英文プレスリリース

本報告書に関する連絡先

「環境・持続社会」研究センター
田辺有輝 tanabe@jacses.org
電話番号 03-3556-7325