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ベトナム ビンタン4拡張案件にJBICが融資を決定

ベトナムの中南部ビントゥアン省(Binh Thuan province)に位置するビンタン(Vinh Tan)石炭火力発電所は、第 1 から第 4 発電所の設備容量の総計が6225メガワット(MW)に上るベトナム最大の火力発電事業です。現在、第 2 発電所が操業を開始しており、 第 4 発電所が試運転中という状況です。
国際協力銀行(JBIC)は2014年に第4発電所への融資を決定し、新たに第4発電所の拡張案件への融資を検討していましたが、2017年4月11日に正式な融資決定を発表しました。

場所:ベトナム・ビントゥアン省
プロジェクト名:ビンタン第4石炭火力発電所の拡張プロジェクト
融資金額:約5000万ドル を限度とするバイヤーズ・クレジット(輸出金融)

ビンタン石炭火力発電所のうち、既に商業運転を開始しているビンタン第2発電所による深刻な粉塵被害や、石炭灰を溜めるアッシュポンドからの水漏れが原因と思われる土壌汚染により近隣の草木が枯れるという被害などが発生しています。地元住民らによる状況改善を求める大規模デモ等も起きており、ベトナム政府機関も事業者であるベトナム電力公社(EVN)に対し改善を要求してきましたが、問題の解決には至っていません。さらに、建設地域の近くには海洋保護区も制定されており、サンゴ礁には貴重な生態系が存在していることから、温排水などによる海洋生態系への影響も懸念されています。

概要

第2発電所 第4発電所 第4発電所 拡張
発電容量 1244MW (622MW*2) 1200MW (600MW*2) 600MW
スペック 超臨界 超臨界 超々臨界圧
総工費 1.3b USD 1.4bUSD (融資総額は8440万ドル)
建設開始 2010年8月 2014年3月 2016年(予定)
商業運転開始予定 U1: 2014年1月
U2: 2014.年9月
U1&2: 2017年
U3: 2019年
2019年(予定)
事業者 EVN EVN EVN
融資 Export-Import Bank of China [1] 韓国EXIM、KSURE(韓国Insurance Trade Company)[2]、JBIC、三菱東京UFJ銀行(NEXIによる付保)[3]、など (JBICが6割、三菱東京UFJ銀行が4割)

[1] https://www.talkvietnam.com/2010/12/chinese-in-us300-million-power-deal/
[2] http://nangluongvietnam.vn/news/en/electricity/beginning-the-construction-of-vinh-tan-4-thermal-power-plant.html
[3] https://www.jbic.go.jp/ja/information/press/press-2014/0717-25265

ビンタン第4石炭火力事業のファクトシートはこちら(日本語)

問題点

  1. ビンタン第2発電所による大気汚染、海洋環境への影響などの問題を抱えたまま第4発電所の試運転が開始され、さらに第4発電所の拡張プロジェクトが進もうとしている
  2. 第2発電所、第4発電所、第4発電所の拡張案件ともに事業者はベトナム電力公社であり、既存の発電所で問題を起こしている事業者が拡張案件についても適正かつ校正な環境社会配慮を行うか疑問
  3. 気候変動の観点から見ても、2015年に採択されたパリ協定の気温上昇を2.0/1.5度に抑える目標を達成するためには、高効率とはいえども最も温室効果ガスを大量に排出する石炭火力発電所の増設への融資は避けるべきであり、化石燃料関連事業からの融資撤退(ダイベストメント)を進める世界の動きにも逆行する

参考情報

ベトナムのビンタン発電所情報: Vinh Tan power station(SourceWatch)(英語)
環境保護団体350のベトナム支部が作成した海洋保護区に関するサイト

ビンタン石炭科料発電所を含むベトナムの石炭問題を取り上げた動画『Warnings from Vietnam Coal Power – Short Film』(英語、17分)

ベトナム電力公社に対するバイヤーズ・クレジット:日本企業によるベトナム社会主義共和国初の超々臨界圧石炭火力発電所向け関連設備の輸出を支援(JBICリンク
ベトナム社会主義共和国/Vinh Tan 4超々臨界圧石炭火力発電拡張プロジェクト(融資保険の引受)(NEXIリンク