インドネシア インドラマユ住民来日報告ー3月23日 報告会の資料掲載

2017年3月20日から23日、インドネシア西ジャワ州インドラマユ県より、国際協力機構(JICA)が事前調査・基本設計等をすでに支援し、これから建設のための本体借款の供与を検討しようとしている「インドネシア・西ジャワ州インドラマユ石炭火力発電事業」に対して日本支援の新規拡張計画の中止を求めている住民ネットワーク「JATAYU(インドラマユから石炭の煙をなくすためのネットワーク)」のメンバー3名と現地で彼らを支援しているNGOスタッフが来日し、抗議活動、記者会見開催、報告会開催、要請書の提出を行いました。駆け足の数日を報告します。

3月21日(火)記者会見

住民は来日中、外務省、JICAなどと個別面談をもった他、来日時期に合わせ、世界各国の市民社会から賛同を募った要請書を各関連省庁に提出しました。

住民はすでに5回にわたり、JICAに書簡を提出。漁業や農業など生計手段への影響、および、健康被害の懸念から同事業に強く反対していることを訴えてきました。また、JICAの同事業に対する「用地取得及び非自発的住民移転に係る計画策定支援」(技術協力)が住民間の不信を増幅する形で進められており、地域分断を助長しているため、JICAがこれ以上、同事業に援助資金を投じないよう求めています。この状況を踏まえ、今回の来日要請に至った経緯について、記者会見で報告しました。

住民の訴え(抜粋)

・日本政府、JICAに対して石炭火力発電所への融資をしないように求めるために来日した。
・既存の石炭火力発電による悪影響が出ており、さらに拡張案件への融資が進んで建設されることになれば、環境破壊のみならず、住民の経済、健康に大きな影響を及ぼすことは明らか。海洋汚染も広がっている。
・インドネシア国有電力会社が法的プロセスで違反をしている。住民との交渉、環境アセスの進め方に問題あり。
・建設用地の土地収用は多くの住民たちに説明なく進められ、地域の政府、地方自治体が軍や警察を使って住民を脅すこともあり人権侵害も起きている。情報を知りたくてもアクセスできず、土地収用の価格を設定するのも電力会社で一方的に決めて地権者との交渉はない。
・JATAYUで反対運動やデモを行ってきた。この計画への反対を表明する手紙を大統領、知事、JICAの総裁にも提出してきた。今日に至るまで意味のある回答はない。
・JICAインドネシア事務所、JICAコンサルタントにも申入れをしてきたが反対派住民の声は聞き入れられない。
・石炭火力発電所の建設に伴う土地収用で耕作地を失った。生計手段を奪われ、既存の発電所から出る煙による健康被害も出ている。土地も奪われ、収入機会も奪われ、これからどうやって仕事を探せばいいのか。
・漁民は、石炭火力発電所への石炭運搬船の運行により漁網に被害を受けている。運搬船は海洋環境破壊も引き起こしている。
・漁民の収入は発電所ができてから激減した。火力発電所や運搬船からの排水や汚泥が漁場を汚染して魚がとれなくなっている。不漁の影響は漁民だけでなく、地域の仲買人や魚類の運搬をしている関係者等にも影響を及ぼし、収入減や生計手段の喪失につながっている。


現地支援NGOの訴え(インドネシア環境フォーラム「WALHI」西ジャワ州支部)

・2015年パリ協定の目標、2℃未満におさえるということで石炭火力発電所の新規建設に反対している。
・日本政府はインドネシアなどに新規石炭火力発電所の建設を進めている。
・西ジャワ州チレボン石炭火力発電所の融資についてJBICの監督官庁である財務省が現在現地で係争中の訴訟の結審を待たずに決定してもいいと考えていることに憤りを感じる。JBIC自身の環境問題に対するコンセンサスをないがしろにするもの。
・ジャワ島では電力供給の31%が余剰であり、インドネシア全体の供給増にはならない。よって、新たな石炭火力発電所の投資の見直し、中止を要請している。
・今回は、インドネシアの石炭火力発電所建設反対の要請書を関係官庁・機関に提出する。世界の市民団体などから100以上の署名が集まっている。

インドネシアの住民の方たちは、日本が地球温暖化に対して注意を払い、石炭火力発電所の問題にもっと関心をもつことを期待しています。そして、日本人が、将来、大きな影響を及ぼすことがわかっている事業に日本の税金が支払われるということに目を向け、日本の公的資金がこうした事業に使われないよう反対することを求めています。彼らが望むのは、住み慣れた土地から離れず、今まで同様の農業・漁業による生活を続けていくことです。そして、今までどおり家族を養い、子供たちに教育を受けさせることです。

3月23日(木)要請書提出と抗議アクション

3月23日(木)、日本政府がこれから融資を行なおうとしているインドネシア西ジャワ州のチレボン石炭火力・拡張計画(1,000 MW)およびインドラマユ石炭火力・拡張計画(1,000MW)について、インドネシア、日本を含む47ヶ国280団体の署名を集めた国際要請書を、日本政府に提出しました。地域住民が土地収奪や環境悪化、人権侵害、地域社会の分断の犠牲となり、また、パリ協定の下で世界が取り組んでいる温室効果ガス排出削減努力を蔑ろにするインドネシアの大型石炭火力2案件への公的融資を早急に拒否するよう求めました。

外務省前での抗議アクション

外務省に要請書を手交する住民

JICAに要請書を手交する住民

 

 

 

 

 

また、国際環境NGO FoE Japan、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、気候ネットワーク、350.org Japanなど、日本の市民団体とともに、外務省前、および、JICA前での抗議アクションを決行。「農地や漁場を奪い、住民を貧困化させる事業に日本の税金・公的資金を投じないよう」訴えました。

【インドネシア住民が来日報告】
「村の生活と環境を壊す石炭火力への援助支援を止めて!―インドラマユから日本のODA を問い直す―」

今回のセミナーでは、インドラマユ現地で中国支援の既存の発電所の運転中止と日本支援の新規の発電所の建設中止を求めている住民ネットワークのメンバー、そして、彼らを支援しているNGOスタッフから、発電所建設事業に対する住民の懸念や取り組みについて報告を聞きました。また、報告会当日は現地の運動を撮影した動画も紹介されました。

プログラム

1.インドラマユ石炭火力発電事業の概要と日本の関わり
2.インドラマユ石炭火力発電事業に関する現地報告と日本への訴え
1)漁民の苦悩と新規発電所建設への懸念
2)軽視されてきた小農民の懸念
3)住民の事業反対運動とJICA支援の問題点
3.インドネシアにおける日本支援の石炭火力発電事業の課題
4.質疑応答

動画:インドラマユでの炭素との闘い (インドネシア環境フォーラム/WALHI西ジャワ制作)

ダウンロード

当日のセミナー配布・発表資料の一部を含む各種資料は、下からダウンロードいただけます。

インドラマユ石炭火力発電事業の概要(PDF) FoE Japan 波多江秀枝
インドネシアにおいて日本が資金提供する「クリーンな」石炭火力発電所の影で~インドラマユとチレボン(PDF)
WALHI西ジャワ ワヒュ・ウィディアント氏
・インドラマユ住民ネットワーク(JATAYU)からJICAへの要請書(過去に提出されたもの含む活動記録へのリンク, FoE Japan)
・インドネシア・西ジャワ州石炭火力発電事業への融資拒否を日本政府に求める国際要請書(日本語、全280団体の署名を記載した英語原文

報告会の開催案内はこちらからご覧いただけます。