インドネシア・バタン住民がJBICに異議申立て 「石炭火力計画で生活悪化と人権侵害」 工事中止と農地・漁場の回復を!(2016年12月5日)

12月5日、日本の官民が連携して推進している「インドネシア・中ジャワ州バタン石炭火力発電事業」(※)に5年間反対し続けてきた住民のリーダー11名が、今年6月に約21億ドルもの巨額融資を決定した国際協力銀行(JBIC。日本政府100%出資)のジャカルタ事務所を訪問。本事業がすでに深刻な生活破壊と人権侵害を引き起こしており、『JBIC環境社会ガイドライン』に違反しているとして、工事の即時中止と農地・漁場の回復、また、住民との直接対話を通じた同ガイドライン違反の精査とJBICの融資決定の再考を求める「異議申立書」(18名が代表して署名。900名を超える住民が同申立書への支持を示す署名も添付)を提出しました。

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『中ジャワ州バタン石炭火力発電事業に関する異議申立書』本文(英文)はこちら

また同日、住民と現地NGOは日本大使館前でも抗議アクションを決行。事業者が立てたフェンスによって事業予定地内の農地に行けなくなった様子を再現しながら、住民の生活を破壊し、気候変動に甚大な影響をもたらす石炭火力発電事業への支援を日本が直ちに止めるよう求めました。

同事業は生計手段や健康への影響を懸念する住民らが反対運動を根強く続け、4年近く着工が遅れてきました。また、用地買収の過程で軍・警察等の脅迫や反対派住民への暴力・不当逮捕・嫌がらせなど深刻な人権侵害も起き、インドネシアの独立した政府機関である国家人権委員会が人権状況の改善を求める勧告を複数回にわたり発出。こうした状況下でのJBICの融資決定には、国内外から強い抗議の声があげられていました。

JBICの融資決定後、事業予定地では工事作業が着々と進められているものの、地元住民は事業への強い反対の意思を示し続けています。農地がフェンスで囲まれてしまったため農業ができなくなった農民は非常に厳しい生活を強いられていますが、少なくとも46名の地権者は依然として土地売却を拒否。事業者側による土地の強制収用後も土地補償金の受領を拒否しています。また、沿岸での埠頭の建設が始まり、漁場への影響も顕著になってきているなか、漁民は同事業に対する抗議アクションを繰り返し行なっています。事業への反対を続けている農民・漁民は、今回のJBICに対する異議申立書のなかでも要求しているとおり、自分たちの生活の糧である農地・漁場の原状回復を望み、これまでと同様の生活を続けたいと訴えています。

JBICに対する住民の異議申立ては、先月、生計手段や健康への影響を指摘した西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業(既設660MW、新設計画1000MW)に続き、2件目となります。(注:チレボンの申立てについては、現在、JBIC異議申立審査役が予備調査中。予備調査後の本調査で、同審査役が3ヶ月以内にJBICガイドライン違反等の調査報告をまとめることになっている。)

日本政府・JBICは、バタンやチレボン住民の異議申立てを真摯に受け止め、これまでに起きている問題の解決を図るとともに、地元住民の懸念、また、国内外からの指摘を軽視することなく、新設の石炭火力発電所建設に対する融資を早急に見直すべきです。

(※)インドネシア・中ジャワ州バタン石炭火力発電事業
電源開発(J-POWER)と伊藤忠が参画を決定。総額約45億米ドルかかると見込まれている資金のうち約34億ドルを国際協力銀行(JBIC)・民間銀行団が融資(うちJBICは約60% にあたる約 21億ドル)。建設されると東南アジア最大級の石炭火力発電所(1,000MW×2基)となる。(ファクトシート

本件に関するお問い合せは

国際環境NGO FoE Japan(担当:波多江)
インドネシア携帯:+62 812 1004 6756  E-mail:hatae@foejapan.org