STOP 日本の化石燃料融資にNO!

インドネシア住民がJBICに異議申立書を提出 「チレボン石炭火力発電所で生活悪化」 拡張事業には融資しないで!(2016年11月10日)

1月10日、インドネシア西ジャワ州で丸紅等の出資する合弁企業が進めてきたチレボン石炭火力発電事業(※1)について、影響住民3名が国際協力銀行(JBIC。日本政府100%出資)ジャカルタ事務所にて異議申立書を提出しました。また、住民らは年内もしくは来年初めにも着工が迫っている同拡張事業に対し、JBICが融資供与を決定しないよう求める抗議アクションを日本大使館前で決行しました。

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写真左:JBICジャカルタオフィスに異議申立てを提出した住民たち、右:日本使館前での抗議アクション

  • 『西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業に関する異議申立書』本文(英訳)(PDF)
  • 同異議申立書の別添資料

同事業では、すでにJBICの融資が投じられて建設された1号機(660 MW。丸紅出資)の影響で、小規模漁業など地元住民の生計手段に深刻な被害が出ている他、現在、JBICが融資を検討中の拡張事業(2号機。1,000 MW。丸紅、中部電力出資)についても、土地収用問題、環境許認可の違法性などが指摘されてきました。

住民らは、今回提出した異議申立書のなかで、「1号機の建設によって沿岸地域の環境が破壊されたため、漁獲量が減少したり、貝が採れなくなった。」「1号機の石炭貯蔵場から塩田に飛来してくるばい塵のため、塩の質が落ちた。」など、さまざまな収入源に依存できた同事業の以前に比べ、生活が困窮化している状況を訴えています。また、こうした深刻な影響にもかかわらず、ほとんどの住民が事業者からの補償や生計回復措置を提供されておらず、提供されたとしても、生計回復に十分かつ有効なものではなかったと指摘しています。

JBICはこれまで、こうした訴えを住民のレターなどで知らされてきましたが、「同事業に問題は見られない」との姿勢を繰り返し示してきました。この点について、住民は同異議申立書のなかで、JBICが『環境社会配慮確認のためのJBICガイドライン』(以下、ガイドライン)に規定されている「(JBIC)自らの調査を実施」することもなく、また、事業者も「具体的な指摘事項の精査」を「透明でアカウンタブルなプロセスにより」行なっていないとして、ガイドラインの違反を指摘しています。また、JBICの融資がなければ、同事業の推進は難しかったとし、JBICの融資者の責任としてJBICが外部専門家による調査を実施し、適切な対応が現場でとられるまでは、さらなる現場での被害を食い止めるためにも1号機の運転を中止し、2号機に対する融資決定を行なわないよう要請しています。

今週、モロッコ・マラケシュで始まったCOP22(第22回気候変動枠組条約締約国会議。11月7~18日)では、「パリ協定」の発効により、国際的な枠組みの中で温室効果ガス排出ゼロに向けた具体的な交渉が進められる予定です。そのような状況のなか、CO2の主な排出源である石炭火力発電プラントの輸出や投融資を依然として推進している日本には、国際社会からも厳しい目が向けられています。

日本政府・JBICは、チレボン石炭火力発電事業の影響を受ける住民の異議申立てを真摯に受け止め、これまでに起きている問題の解決を図るとともに、チレボンでの新規の火力発電所の建設について、地元住民の懸念、また、国際社会からの指摘を軽視することなく、早急に融資の検討を取り止めるべきです。

(※1)インドネシア・西ジャワ州チレボン石炭火力発電事業
1号機は、丸紅(32.5%)、韓国中部電力(27.5%)、Samtan(20%)、Indika Energy(20%)の出資するチレボン・エレクトリック・パワー社(CEP)がインドネシア国有電力会社(PLN)との間で30 年にわたる電力売買契約(PPA)を締結。総事業費は約8.5億米ドルで、融資総額5.95億ドルのうちJBICが2.14億ドルを融資した。2012年に商業運転が開始されている。2号機は、丸紅(35%)、Indika Energy(25%)、Samtan(20%)、Komipo(10%)、中部電力(10%)の出資するチレボン・エナジー・プラサラナ社(CEPR)がPLNとの間で25年にわたるPPAを締結。総事業費は約20億米ドルにのぼり、うち8割程度について、現在、JBIC、韓国輸銀、日本・フランスの民間銀行団が融資を検討中。現場では本格着工に向け、アクセス道路の整備や土地造成作業などが進められている。2020年に運転開始見込み。(参照リンク

本件に関するお問い合せ

国際環境NGO FoE Japan(担当:波多江)
インドネシア携帯:+62 812 1004 6756  E-mail:hatae@foejapan.org

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プレスリリース:ンドネシア住民がJBICに異議申立書を提出 「チレボン石炭火力発電所で生活悪化」拡張事業には融資しないで!(PDF)

関連情報

「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドラインに基づく異議申立手続要綱等」について(リンク