インドネシア・バタン石炭火力 「国家人権委員会も新たな勧告。日本は公的融資拒否を」 NGOから要請書を提出(2016年6月1日)

2016年6月1日

国際協力銀行(JBIC。日本政府100%出資)が約21億ドルという巨額の融資を検討中のインドネシア・中ジャワ州バタン石炭火力発電事業(2,000メガワット。総事業費約45億ドル。伊藤忠商事・J-Power出資)は、6月6日、6回目の融資調達期限を迎えます。

その期限を前に、6月1日、日本のNGO4団体(※)から日本政府・JBICに対し、公的融資の供与を拒否するよう求める要請書を提出しました。(※4団体=国環境NGO FoE Japan、インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、気候ネットワーク)

同事業は肥沃な農地や豊かな漁場など、生計手段の喪失を懸念する住民、また、土地売却を拒んでいる地権者らの根強い反対により、4年以上、本格着工が遅れてきました。反対派住民や地権者に対する脅迫・暴力・不当逮捕など人権侵害も深刻で、インドネシアの独立した政府機関である国家人権委員会も、度々、人権の状況改善を求める勧告書を出してきました。

この5月11日にも、国家人権委員会は新たな勧告書を発出。今年3月に住民の合意がないまま未収用の農地へのアクセスがフェンスの設置により封鎖され、農民の収穫が妨げられた件(現地の状況を撮した動画:https://youtu.be/0IaRB2ywO88)について、「事業者とコミュニティーの間で、土地のアクセスと使用について、永久的な合意が形成されるまで、コミュニティーが稲やその他の作物を収穫できるよう、農地へのアクセスを提供する」ことを事業者に要請しました。しかし、現在も事業者による適切な対応はなされぬままです。

事業者がフェンスで外周を囲んでしまった事業予定地すぐ傍の水田では、地元住民らによる抗議活動が今も続けられています。また、漁民も5月中旬に地元の海域で始まった事業者による掘削作業に対して、漁場への影響を懸念し、反対の声をあげ続けています。今年5月11日には、約3,500人がジャカルタの日本大使館前で、同事業を含む、日本の支援するインドネシアでの石炭火力発電事業に対して抗議活動を行ないました。

<現地からの写真>
  
写真左:未収用の農地へのアクセスを遮断したフェンス傍にテントを張り、抗議を続ける住民(2016年4月、現地より)
写真右:5月中旬に海域で始められた掘削作業の様子。漁民らは自分たちの漁場への影響を懸念(2016年5月、現地より)

  
写真:5月11 日、バタンなど、インドネシア各地の石炭火力発電事業に反対する住民、また、インドネシアの環境団体が日本大使館前で大規模な抗議活動を行なった。参加者は約3,500 人。日本からの融資を行なわないよう訴えた。(2016年5月11日、グリーンピース・インドネシアより)

日本政府・JBICは、インドネシア土地収用法の下での住民の声を無視した強制執行を容認するのではなく、『環境社会配慮確認のためのJBICガイドライン』で融資供与の要件とされている「社会的合意」や「適切な住民参加」が確保されず、また、人権侵害の繰り返されている同事業への融資を拒否することが求められています。

NGOからの要請書はこちらからダウンロードできます。