インドネシア・バタン石炭火力 住民の異議申立てへの対応に関する意見書をJBICに提出

電源開発(J-Power)、伊藤忠が出資を決め、国際協力銀行(JBIC)、民間銀行団が巨額の融資を検討中の「インドネシア・中ジャワ州バタン石炭火力発電事業」(総事業費約4,800億円)について、7月29日、影響を受ける住民23名が同事業に伴う「生活悪化」や「人権侵害」の問題を訴え、JBICに異議申立書を提出しましたが、これまで、JBICは自身のもつ「異議申立手続要綱」に定められた住民への「受理通知」の送付など多くの手順を守っていません。

こうした現状を踏まえ、本日、日本のNGO4団体(国際環境NGO FoE Japan、インドネシア民主化支援ネットワーク<NINDJA>、「環境・持続社会」研究センター<JACSES>、気候ネットワーク)からJBICに対し、意見書を提出。決められた手続に沿った適切な対応を早急にとるよう要請するとともに、本件に関する住民の異議申立てが却下される場合であっても、異議申立手続を準用した対応を検討・実行するよう要請しました。

>以下、意見書の全文です。(PDFはこちら

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2015年9月3日

国際協力銀行

経営会議 御中

インドネシア・中ジャワ州バタン石炭火力発電事業に関する
住民の異議申立てへの対応について 現在、貴行が融資を検討中の「インドネシア・中ジャワ州バタン石炭火力発電事業」について、去る7月29日、影響を受ける住民23名が『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドラインに基づく異議申立手続要綱(平成27 年1 月改訂)』(以下、要綱)に則った形で、異議申立書を提出した件は、すでにご承知のことと存じます。この度は、本件につき、要綱で規定されたプロセス・情報公開、および、投融資契約調印前に異議申立てがなされた場合の経営会議の権限について、以下のとおり、意見を提出させていただきます。

貴行におかれましては、下記の点をご査収いただき、2週間以内に書面による御回答・御認識を示していただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

1. 異議申立手続のプロセス、情報公開について

本件の異議申立てがなされて以降、以下の表で示すとおり、多くの点で要綱の規定が遵守されていません。早急に要綱の規定に沿った適切な対応がとられるよう要請致します。

要綱上の規定内容:

V. 異議申立手続のプロセス

(p.7)審査役は、申立書に申立人の氏名および連絡先が記載されている限り、申立書を受領後、原則として5営業日以内に、申立人等に対し受理の通知を行う。

現状:

本件において、審査役から申立人に対する「受理通知」は、今日まで行われぬままである。

要綱上の規定内容:

V. 異議申立手続のプロセス

(p.7)審査役は、別添の検討フォームに従い、予備調査において要件合致性を判断する。(検討フォームには、「異議申立受付期間以前に異議申立がなされており、投融資担当部署に移送することが適当。」等、要件の一つとして「期間」が含まれている。)

現状:

本件において、審査役が要綱に規定されている「予備調査」のプロセスを踏んだかは不明である。

要綱上の規定内容:

V. 異議申立手続のプロセス

(p.7)予備調査は、異議申立受理後、原則として1ヶ月程度で終了させ、手続開始・却下の決定が下される。

(p.8)却下の場合、却下の事実とその理由を経営会議および申立人に対し書面で連絡する。

現状:

本件において、審査役から申立人に対する「却下通知」など、書面での連絡は、今日まで行われぬままである。

要綱上の規定内容:

V. 異議申立手続のプロセス

(p.8)却下の場合も、審査役は、当該案件の審査・モニタリングに有用であると考える場合、投融資担当部署に対して異議申立を移送することができる。審査役の投融資担当部署に対するかかる移送は、経営会議および申立人に対して通知される。

現状:

本件において、「投融資担当部署への異議申立移送」に関する審査役から申立人に対する通知は、今日まで行われぬままである。

要綱上の規定内容:

VI. 情報公開

(p.11)審査役は、ウェブサイトにて、異議申立の受付状況、手続進捗状況を公開する。

現状:

本件の「異議申立の受付状況、手続進捗状況」は、今日まで、ウェブでの公開はなされぬままである。

なお、要綱「IV. 異議申立の手続開始要件」「3.期間」で規定されているとおり、「異議申立は、全てのガイドライン不遵守の指摘に関し、投融資契約調印後、貸出が終了するまでの期間に行うことができる」と明記されているため、貴行が融資を検討中である本件の異議申立てが、手続開始の要件を満たさぬと判断されるであろうことは承知致しております。しかし、「IV. 異議申立の手続開始要件」は、予備調査において用いられる別添検討フォームにも記載があり、同
要件の充足については予備調査で検討されることが予定されている点、また、申立書「受理」の要件はあくまでも、申立人の氏名・連絡先のみである点を重ねて強調させていただきます。

2. 投融資契約調印前に異議申立てがなされた場合の経営会議の権限について

上述のとおり、要綱では、異議申立の手続開始要件を「投融資契約調印後、貸出が終了するまでの期間」と規定しており、本件の異議申立てについては、「投融資担当部署に移送され、経営会議に報告される」可能性が高いと考えております。一方、2003年3月28日にパブリック・コンサルテーション・フォーラム議長より提出された議長総括(注1)には、以下の記載がございます。

「国際協力銀行の総裁は、国際協力銀行法上、本行業務を総理する権限を有し、従って、融資契約の調印以前であっても、例外的に、本行による重大なガイドライン不遵守の疑いが外部より指摘された場合に、投融資担当部署の報告を踏まえ、その環境・社会に与え得る影響の大きさ、影響発生の蓋然性、プロジェクトによるベネフィットなどを広く総合的に勘案して、異議申立手続のうち適用可能な部分を準用して、環境ガイドライン担当審査役に調査などの活動を命じることは、総裁の権限の範囲内の事項である。」

当時、審査役は貴行総裁の直属でしたが、現在は貴行経営会議の直属となっていることに鑑み、貴経営会議が上記議長総括に基づき、審査役にガイドライン不遵守の疑いに関する調査を命じるなど、異議申立手続を準用した対応を検討・実行するよう要請致します。

以上

国際環境NGO FoE Japan

インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)

「環境・持続社会」研究センター(JACSES)

気候ネットワーク

 

【連絡先】

国際環境NGO FoE Japan(担当:波多江秀枝)

 

Cc: 財務大臣 麻生 太郎 様

(注1)http://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/page/2013/08/522/A04-02-05-01_i.pdf

(以上)

 

バタン石炭火力発電事業の詳細については、こちら