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武豊の石炭火力発電所建設にも環境大臣がNOと認めず -電力業界の気候変動対策の枠組み構築後の初めての見解-

2015年8月14日、環境省は、中部電力が愛知県知多郡武豊町で計画している「武豊火力発電所リプレース計画 計画段階環境配慮書」(中部電力株式会社)に対して、国の目標・計画との整合性を判断できないとして、再び「是認できない」という環境大臣意見を経済産業大臣に提出しました。

本事業は、武豊火力発電所の重油・原油を燃料とする2~4号機を廃止し、石炭を燃料とする5号機(107万kW)にリプレースするものです。

意見書の重要性

この意見は2つの意味で重要です。1つは、新設ではなく古い火力のリプレース(更新)案件で、環境大臣がNOを突きつけた初めてのケースであるという点です。高効率の発電所に置き換えるとしても石炭火力はCO2排出の観点から是認できないということになります。

もう1つは、約1ヶ月前の7月17日、電気事業連合会とJ-Power、日本原子力発電、さらに新電力23社が、電力業界全体で温室効果ガスの削減をするための自主的枠組みが公表され、これらの参加企業は、同日発表された「電気事業における低炭素社会実行計画」に取り組んでいくと発表後の初めての意見だということです。環境省はこれまでこの自主的枠組みの構築を要請してきましたが、今回、これが構築された後もなお、その内容に課題が多いとして、やはり国の温室効果ガス削減目標に照らして整合性がないという立場を表明したことになります。

リプレースであっても、自主的枠組みを作っても、結局、石炭火力建設は、温室効果ガス削減という命題に対して、何ら十分な答えを出せないことを環境大臣意見は示しています。

環境大臣の意見書公表をふまえ、気候ネットワークは大臣意見に賛意を表明するプレスリリースを発表し、経済産業大臣に対しては当該事業の再考を促すような判断を求めるとともに、事業主体である中部電力に対して当該事業を抜本的に見直し、クリーンな再生可能エネルギーの事業計画に切り替えるべきと述べています。
今こそ、石炭火力建設計画を根底から見直すときではないでしょうか。

電力業界の自主的枠組みとは

さて、この電力業界の自主的枠組みとは、2013年4月の「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」で構築が求められていながら、2年以上もの間作られていなかったもの。やっとのことでできたことは前進のようにも見えますが、今回の環境大臣の意見でも明らかなよう、実効性はほとんど認められません。

まず、0.37kg-CO2/kWhとは目標が低すぎます。電力業界として低炭素化を進めるのに、1997年に立てた計画にも及ばない水準を2030年目標とするとは、気候変動の解決への道筋と整合しないどころか、大きな後退です。次に、枠組みに参加する事業者に小売りをする発電事業者のみしか含まないことです。たとえば関電に電気を売る予定で石炭火力を新設する神戸製鋼などはこの枠組みに入っていません。現時点では上述の事業者だけで販売電力量の99%以上をカバーしているとしていますが、これから新電力が増加してシェアが下がれば、発電部門の対策としては不十分です。さらに、そもそも自主的であるところに実効性への大きな課題があります。電気事業連合会は過去にも自主的に気候変動対策に取り組みましたが、削減目標を達成できずじまいでした。この期に及んでまた自主的な枠組み・取組みに任せていても、過去の二の舞になるだけでしょう。

また、実行計画は石炭火力発電所の建設計画や原発再稼働の見込みについて具体的に触れられていないため、計画が妥当なものか判断できず、こちらも不十分なものだと言わざるを得ないでしょう。

7月27日、環境省が開催したこの枠組みの実効性に関するヒアリングでは、有識者から、「この枠組みはいずれ破綻するリスクが大きい」など、非常に厳しいコメントが相次ぎました。この自主的枠組みの構築の結果が、政府が効果的な政策を打ち出していくことが必要なことを示しています。発電部門からの温室効果ガス削減は急務です。枠組みも実行計画も、確かな実効性のあるものとなるように再考されるべきです。

参照リンク:

武豊火力発電所リプレース計画に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(2015/8/14)

「電気事業における低炭素社会実行計画」の策定について(2015/7/17)

気候ネットワークプレスリリース
環境大臣、愛知の石炭火力新設計画も是認せず 石炭火力発電所新規建設計画のゼロベースの見直しを(2015/8/17)