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神戸製鋼 ESGリスク世界第2位 国内外で失われた信頼、回復の兆しなし

6月後半、多くの企業が株主総会を開催しました。中には「物言う株主」から厳しい意見を突きつけられている企業もあるようです。最近の傾向として、企業の業績、不正や汚職などへの関与はもちろん、ESG(環境・社会・ガバナンス)に対する会社の姿勢も問われるようになってきています。

■ 「世界で最も物議を醸した企業」報告書

2018年2月、ESGリスクに関する情報提供を行っているRepRiskが2017年版「世界で最も物議を醸した企業報告書 2017年(Most Controversial Companies 2017)」を発表しました。RepRiskは2006年からESGリスクのデータ収集・分析を行っており、世界の主要企業が掲載されている「ESG Risk Platform」のデータに基づいて各社のリスク値を計測しています。環境問題、社会問題に留まらず、詐欺や不祥事などのガバナンス問題についても得点付けされ(リスクが最も低いのはゼロ、最も高いのが100、75以上はリスクが高い企業と考えられる)、総合的な評価が出されています。

■ 2位にランクインしたのは、神戸製鋼

世界最大の企業データベース「ESG Risk Platform」には、10万社を超える世界の主要企業と25000件を超える事業計画が登録されています。それらの企業・事業から分析された「世界で最も物議を醸した企業 2017年」で2位になったのが、神戸製鋼です。リスク値は87でしたので、かなりリスクが高い企業であると判定されています。トップ3を見てみると、1位のワインスタイン・カンパニーは、米独立系の映画制作会社でセクハラ糾弾運動「#Me Too」の震源地となった企業。セクハラ事件騒動の末、米国破産法の適用を申請するまでに至っています。2位がグループ会社の品質データ改ざん事件が発覚した神戸製鋼(KOBELCO)。販売先が多国籍におよんでいたため、国際的な騒動となりました。そして、3位のJ&F Investimentosは、不純物混入食肉販売の実態が明らかになった上、ブラジル農務省に対する賄賂も発覚した企業です。どこの社も、納得できる原因で選出されています。

さて、栄えある?第2位にランクインした神戸製鋼は、国内3位の鉄鋼メーカーで、国外企業向けにもさまざまな製品を販売しています。製品は航空機や新幹線、自動車などの製造業の根幹に使われる素材系が多く、出荷先は国内外のべ688社に上ったとされています。その影響を被った企業も、世界全体で600社を超えることとなり、世界ESGリスクランク2位に選出される結果となったのです。

■ 大きな訴訟リスクを抱える神戸製鋼

なお、同社のリスクは信用失墜だけではありません。大きな訴訟リスクを抱えています。
2017年11月と12月にカナダのブリティッシュ・コロンビア州上位裁判所と、オンタリオ州上位裁判所において、同社グループ会社の製造した自動車向け金属製品に関する訴訟が提起されました。さらに、2018年3月5日にはアメリカの子会社が自動車メーカー向けに製造販売した金属製品に関して、神戸製鋼と自動車メーカーを相手に補償を求める訴訟がカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提起されています。現在、アメリカ司法省からの調査を受けています。遅れること、日本でも、6月5日に東京地検特捜部と警視庁が、同社による製品の強度や耐久性のデータの改ざんが不正競争防止法(虚偽表示)違反の疑いがあるとして神戸本社や東京本社の家宅捜索を行いました。アメリカ、カナダの訴訟は集団訴訟になる可能性もあること、日本での不正競争防止法違反が認められれば処罰を受ける可能性も高い状況です。同社は、不正問題の影響を100億円程度と見込んでいるようですが、実際にどうなるかは不透明な状況です。
神戸製鋼は、6月21日に第165回定時株主総会を開催しました。株主総会では株主からデータ改ざん問題に関する質問が出たものの、会社側が訴訟の行方や調査の進行、損害賠償額や罰金額について見通すことは困難な状況であり、株主や取引先の不安は続きそうです。

■ 地元住民の反対をよそに石炭火力発電所新増設計画を強行する神戸製鋼

会社として信頼できない――これは、製造業としての神戸製鋼に限ったことではありません。神戸製鋼は2002年度より電力供給事業にも着手しており、発電所の増設・建設計画を進めています。神戸市灘区の神戸発電所(2基、計140万kW、石炭)は2002年/2004年から稼働中ですが、栃木県の真岡発電所(2基、計124.8万kW、ガス)は現在建設中で2019年/2020年に稼働予定となっています。
そして、大きな問題となっている計画中の神戸製鉄所火力発電所(仮称)。神戸市の住宅密集地近くの高炉跡地に発電規模130万kWの石炭火力発電所増設計画を進めていますが、地域住民はCO2排出による温暖化や大気汚染排出による環境悪化を懸念しており、強い反対運動が起こっています。環境影響評価準備書のデータに意図的な改ざんはなかったとされたものの、度重なる修正は数百箇所に及び、事業主体としての能力と責任に疑念がもたれる結果となりました。
また、既設の神戸発電所1号機(70万kW)において、排ガス中のばいじん濃度が神戸市との環境保全協定で定めた値を上回る事象がありました。しかし、その事実の公表は新設計画の進捗への影響を避けるかのようなタイミングで公表されました(約3週間遅れ)。一連の製品データ改ざん問題で情報開示の姿勢が厳しく批判されているにもかかわらず信頼を回復させようという努力が見られないどころか、逆に不信感を増幅させる企業姿勢です。世界的にもESG評価が極めて低いと評価された神戸製鋼の信頼回復は、未だスタートラインにも立てていません。

参考情報

神戸の石炭火力発電を考える会(https://kobesekitan.jimdo.com/)

【抗議声明】(株)コベルコパワー神戸の神戸発電所1号機に係る環境保全協定値超過について、 神戸製鋼、神戸市が即時に市民に公表しなかったこと、及び 協定に基づく指導・措置の内容を明らかにしていないことについて(2018/04/13)(リンク

参考報道

神鋼石炭火力発電所 ばいじん値超過 3週間公表せず(2018年4月13日 神戸新聞